平成15年度 環境の状況及び施策に関する報告書

第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第5章 廃棄物・リサイクル対策の推進

第1節 循環型社会形成の推進

 21世紀を迎えた現在、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄により石油などの天然資源の枯渇、廃棄物処分場の不足、不法投棄やダイオキシン類などの有害物質の発生など、深刻な社会経済問題が生じている。さらに、地球温暖化対策のための温室効果ガスの削減に取り組むことが求められており、また、最終処分場のひっ迫や天然資源の消費抑制のため、循環型社会の形成が急務とされている。

 

推進体制の整備

 国では、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)のいわゆる3R対策を基本理念とする循環型社会の形成を、今後の廃棄物・リサイクル対策の基本的方向と位置付け、「循環型社会形成推進基本法」をはじめとして「食品リサイクル法」、「建設リサイクル法」など、リサイクル関連法を整備した。(図2−5−1)
 これを受け、県においても循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、各部局が一体となった栃木県循環型社会推進本部を12年度に設置した。
 また、循環型社会の形成に向け広く県民の声を反映させるため、学識経験者・消費者・事業者等で構成する循環型社会推進懇談会を13年7月に設置した。

図2−5−1 循環型社会形成推進基本法等の整備

 

循環型社会推進指針の策定

 本県における循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、循環型社会形成の基本原則、役割分担、具体的な施策などを明示した「栃木県循環型社会推進指針」を14年度に策定した。
 15年度は、県民・事業者・行政が連携を図りながら、地球温暖化対策や循環型社会の構築に取り組むため、「とちの環県民会議」を設立することとしている。

 

リサイクル関連法への取組

(1) 容器包装リサイクル分別収集への取組
 ア 容器包装廃棄物のリサイクルの積極的推進に向け、市町村が実施する容器包装の分別収集を促進するために、15年4月を始期とする5年間を計画期間とした「栃木県分別収集促進計画(第3期計画)」を14年7月に策定した。

 イ 容器包装廃棄物の分別収集を計画的に推進するために、普及啓発等の事業を実施する市町村に対して補助を実施した。
 ○容器包装リサイクル促進事業
   補助基準額 3,000千円
   補  助  率 1/2
   14年度は6市町に対して補助を行った。

(2) 家電リサイクルへの取組
 対象機器となる廃家電品の適切な排出を図るため、促進事業を実施する市町村に対して補助を実施した。
 ○家電リサイクル促進事業
   補助基準額 3,000千円
   補  助  率 1/2
   14年度は3市町に対して補助を行った。

(3) 食品リサイクルへの取組
 食品リサイクルに関わる施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、食品リサイクル部会やシンポジウムを開催するとともに、食品リサイクルモデル整備事業を実施した。
 ア 食品リサイクル部会の開催
   第1回 食品リサイクルに関わる再生利用率の取組課題について
   第2回 食品関連事業者の食品廃棄物等発生状況について
 イ 環境と調和した農業生産シンポジウムの開催
   テーマ 「循環型社会の形成に向けた環境保全型農業の役割」
   内 容  事例発表、パネルディスカッション
 ウ 食品リサイクルモデル整備事業の実施
 栃木県南公設地方卸売市場において大量に発生する食品廃棄物を堆肥化し、再生利用するためのリサイクル施設を市場内に設置した。

(4) エコスラグの有効利用促進への取組
 一般廃棄物及び下水汚泥から製造する溶融スラグ(エコスラグ)の有効利用を促進するため、14年9月に溶融スラグ有効利用促進部会を設置し、「栃木県エコスラグ有効利用促進指針」を15年3月に策定した。
 ア 溶融スラグ有効利用促進部会の開催
   第1回 栃木県版利用促進指針(案)の検討
   第2回 栃木県版利用促進指針(案)の検討、意見集約
   第3回 エコスラグの有効利用に関する普及啓発について

 イ 栃木県エコスラグ有効利用促進指針の策定
 県及び県内の市町村(一部事務組合を含む。)が製造するエコスラグの有効利用を促進するため、その品質確保の判断基準や、エコスラグを製造・使用する際の配慮すべき事項などを定めた。

(5) 建設リサイクルへの取組
 建設リサイクル法の完全施行(14年5月30日)に当たり、法の適正な執行を図るため、各種説明会の開催及び普及啓発活動を実施するとともに、法の施行後には、適正な施工の指導を図るため、対象工事現場のパトロールを実施した。
 ア 「建設リサイクル法に関する事務処理の手引き」の作成
 法の適正な執行を図るため、行政向け事務処理の手引きを作成し、関係機関に配布した。

 イ 建設リサイクル法の完全施行に向けた各種説明会の実施
 ○建設リサイクル法講習会の開催(対象:解体工事請負業者等)
 ○届出受付窓口業務担当者に対する説明会の開催(対象:土木事務所、特定行政庁)

 ウ 普及啓発活動の継続実施
 建設リサイクル法の周知徹底を図るため、各種啓発活動(県広報掲載、テレビCM、リー フレット配布、建設リサイクル法啓発シール配布、講習会等)を実施した。

 エ 現場パトロールの実施
 ○届出工事現場における分別解体の指導
 ○未届工事の監視

 

第2節 廃棄物・リサイクルの状況

 

一般廃棄物

 一般廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、市町村の固有事務となっている。
 一般廃棄物は、家庭から排出されたごみ及びし尿が主体であり、収集されたごみ及びし尿の大部分は、市町村又は一部事務組合(以下「市町村等」という。)の処理施設で衛生的に処理されている。
 13年度末におけるこれらの処理能力は、ごみ処理施設にあっては2,898t/日であり、し尿処理施設にあっては2,182kl/日である。

(1) ごみ処理
 ごみの総排出量は、年間約77万1千tにのぼり、集団回収された約3万tを除く約74万1千tが市町村等により処理されている。(図2−5−2)

図2−5−2 ごみ処理のフロー(13年度)     (単位:t)

 市町村等がごみ処理に要した年間の経費は、総額約360億円で、その内訳は、建設・改良費が約149億円(41.4%)であり、処理及び維持管理費は約199億円 (55.1%)となっている。

(2) 資源化・最終処分の状況
 ごみの排出量771,078tのうち資源化された量は、市民団体等による回収で市町村が関与している集団回収が30,485t、市町村等から再生業者等へ直接搬入された直接資源化が39,444t、市町村等の中間処理施設における資源化が70,324tの合計年間140,253tであった。資源化されたものの大半は紙類、金属類、ガラス類で、全体の約9割を占める。
 なお、排出量に占める資源化量の割合(再生利用率)は18.2%で、ここ数年頭打ちの状況にある。
 最終処分量は82,541tで、排出量に占める割合(最終処分率)は10.7%で、この割合は年々減少している。(表2−5−1)
 「容器包装リサイクル法」に基づく分別収集は、分別対象品目の差はあるものの県内全市町村で実施されており、42,597tが分別収集された。スチール製容器や無色ガラス製容器の減少に対し、ペットボトルの増加傾向が顕著である。(表2−5−2)

表2−5−1 資源化・最終処分の状況        (単位:t/年)

年度 10 11 12 13
総排出量 710,231 725,987 731,053 757,362 771,078
  直接資源化量 39,599 40,020 39,444
中間処理後再生利用量 99,039 103,318 63,935 69,323 70,324
集団回収量 33,573 30,576 27,885 29,100 30,485
総資源化量(率) (18.7%) (18.4%) (18.0%) (18.3%) (18.2%)
132,612 133,894 131,419 138,443 140,253
最終処分量(率) (12.4%) (12.1%) (11.7%) (11.5%) (10.7%)
88,085 87,808 85,490 86,989 82,541

(注)10年度以前は、直接資源化量は中間処理後再生利用量に含まれる。

表2−5−2 容器包装リサイクル法に基づく分別収集量

(単位:t/年)

(3) し尿処理
 13年度のし尿及び浄化槽汚泥の総排出量は489,007klであり、このうち488,858klが市町村の設置するし尿処理施設で処理されている。(図2−5−3)

図2−5−3 し尿処理の状況(13年度)    (単位:kl/年)

 し尿処理に要した年間の経費は、総額約64億円で、その内、建設・改良費が約9億円(14.3%)であり、処理及び維持管理費は約49億円(76.4%)となっている。

(4) 浄化槽の設置状況
 浄化槽は、毎年5〜6千基が設置されているが、13年4月から、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽の設置が義務づけられ、し尿のみを処理する単独処理浄化槽の新設ができなくなった。(図2−5−4)

図2−5−4 新設浄化槽設置状況

 

産業廃棄物

 産業廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、排出事業者自らの責任において適正に処理することとされている。
 産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、汚泥、廃プラスチック類等20種類である。これらの廃棄物は、排出事業者の責任において適正に処理しなければならないが、無許可業者による不適正な処理の事例も見受けられるので、更に適正処理の推進について指導・監視の強化を図る必要がある。

(1) 排出量と処理の状況
 ア 排出量
 1年間に産業廃棄物を1000t以上、特別管理産業廃棄物を50t以上排出する多量排出業者から徴収した実績報告等を基に推計した県内における13年度の総排出量は、約729万tである。
 種類別では、動物のふん尿が約300万t(41.1%)で最も多く、次いで汚泥約249万t(34.1%)、がれき類約77万t(10.6%)、鉱さい約50万t(6.8%)、廃プラスチック類約13万t(1.8%)の順になっている。
 業種別では、農業が約301万t(41.2%)で最も多く、次いで製造業149万t(20.4%)、電気・ガス・水道業約99万t(13.6%)となっている。(図2−5−5)

図2−5−5 栃木県内から排出された産業廃棄物の推計量(13年度)

(種類別) (業種別)

 イ 再生利用率
 品目毎の再生利用状況は、金属くず91.8%、がれき類90.5%が高い数値を示す反面、廃プラスチック類41.1%、木くず36.9%の再生利用率が低い。(表2−5−3)
 農業・鉱業に係るものを除いた全体の数値は、10年度以降ほぼ同じ推移を示している。(表2−5−4)
 なお、特に排出量の多い動物のふん尿については、従来から肥料(堆肥等)としての再生利用が行われてきたところであるが、一部で不適正な保管、処理が行われている。11年11月に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行されたことにより、今後、堆肥としての利用と適正処理が一層促進されるものと期待される。

 ウ 最終処分率
 種類別では、ほとんどが10%未満だが、廃プラスチック類26.2%、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず16.5%については高い率となっている。(表2−5−3)
 全体的には、10年度以降同じ率で推移している。(表2−5−4)

表2−5−3 産業廃棄物の種類別処理状況(農業・鉱業に係るものを除く)

表2−5−4 産業廃棄物の年度別処理状況(農業・鉱業に係るものを除く)

(2) 産業廃棄物処理施設の設置状況
 設置数は中間処理461施設、最終処分48施設である。内訳は処理業者による施設が中間処理297施設、最終処分47施設であり、それ以外の事業者による設置数は、中間処理164施設、最終処分1施設である。
 中間処理施設は、処理業者では破砕(178施設)と焼却(31施設)で全体の7割以上を占めている。事業者では脱水(102施設)と焼却(48施設)とで全体の9割以上を占めている。(表2−5−5)
 最終処分場48施設の13年度末における残余容量がある施設は28施設であり、残余容量の合計は、処理業者等の報告によれば約226万mであり、12年度末の約176万mより50万m増加した。(表2−5−6)
 産業廃棄物処理業者の産業廃棄物処理施設等の設置にあたっては、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」に基づく事前協議及び廃棄物処理施設等協議会において、技術的な審査及び関係法令の調整を行っている。

表2−5−5 中間処理施設の設置状況           (単位:t/日)

(注)事業者の設置数は廃棄物処理法の許可対象施設のみの数、処理業者の設置数は、許可対象外の施設数を含む。

表2−5−6 安定型最終処分場の設置状況    (単位:千m)

(3) 産業廃棄物処理業の許可状況
 産業廃棄物の収集・運搬、中間処理(焼却、破砕等)及び最終処分(埋立)の業を行おうとする者は、知事(宇都宮市長)の許可を受けなければならないこととされている。
 14年3月末現在の産業廃棄物収集運搬業の許可を有する者は2,673業者で、そのうち1,024業者(38%)は、県内に主たる事務所を有する業者である。(表2−5−7)
 産業廃棄物処分業の許可を有する者は198業者で、そのうち29業者が最終処分を事業の範囲として許可を受けている。

(4) 産業廃棄物処理業者の処理実績
 産業廃棄物処理業者の13年度の処理実績は次のとおりである。
 @ 産業廃棄物処分業者実績
 県内の中間処理業者が処理した産業廃棄物は約350万tである。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約226万t、県外の事業者からの受託量が約124万tとなっている。
 県内の最終処分業者が処理した産業廃棄物は約30万t。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約11万t、県外の事業者からの受託量が約19万tとなっている。(表2−5−8)

 A 産業廃棄物収集運搬業者実績
 産業廃棄物収集運搬業者によって県外から搬入された産業廃棄物は約92万t(中間処理目的約83万t、最終処分目的約9万t)、一方、県内から県外に搬出された産業廃棄物は約51万t(中間処理目的44万t、最終処分目的7万t)である。(表2−5−9)

表2−5−7 産業廃棄物処理業者の許可状況

表2−5−8 処分業者の排出地域別処理実績

表2−5−9 収集運搬業者の運搬地域別処理実績

 

第3節 廃棄物・リサイクル対策

 

一般廃棄物

 一般廃棄物の質の多様化と量の増大に対応するためには、ごみの減量化・再生利用を促進するとともに施設の整備促進及び維持管理面の指導を強化する必要があることから、次のことを重点的に指導した。

(1) ごみの減量化・リサイクルの推進
 「栃木県廃棄物処理計画」に基づいて、ごみの減量化・リサイクルについての意識の高揚や直接的な行動、さらには環境づくりを総合的かつ効率的に推進していくため、14年度は、3R推進月間(10月)にマイ・バッグ・キャンペーンを展開したほか、次の事業を実施した。
○ クリーンアップフェアの開催
 県民一人ひとりが地球環境問題への認識を深め、廃棄物問題をはじめ、環境の保全への幅広い理解と協力を得ることを目的として、クリーンアップフェアを開催した。
 期 間:14年10月26日(土)〜10月27日(日)の2日間
 会 場:栃木県子ども総合科学館
 主 催:栃木県・栃木県クリーンアップフェア実行委員会
 来場者:10,500人
 15年度も10月に、同会場において、クリーンアップフェアを開催する。

○ ごみ減量化・リサイクル演劇開催事業

 次世代を担う子供たち及び一般県民のごみ問題に対する意識の高揚を図るため、ごみ減量化やリサイクルをテーマにした演劇を県内で上演した。
 演劇名:「ふくろう仙人となんか妖怪」
 巡回公演(小中学生対象):111回  32,683人
 一般公演(一般県民対象): 17回 6,850人
 15年度は、巡回公演100回のリサイクル演劇開催を予定している。
○ ごみ減量化、リサイクル広報活動事業
 テレビ・ラジオスポットCM等で県民にごみの減量化、リサイクルの推進について呼びかけた。

(2) ごみ処理の適正化の推進
 ア ごみの適正処理の指導
 ごみ処理施設及び最終処分場の整備について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。

 イ ごみ処理の広域化の推進
○ 広域化の計画の概要(栃木県廃棄物処理計画)
 ・広域行政圏を基礎とした10の地域ブロックを設定した
 ・設定した地域ブロック内の既存施設の稼働状況や更新時期等を踏まえ、整備時期を3グループ化した

○ 市町村等の廃棄物処理施設の広域化の推進

 ・地域ブロック広域化基本計画の作成
 広域化の着実な推進を図るため、ごみ処理施設及び最終処分場の適正な施設整備と維持管理を指導するとともに、各地域ブロックごとの広域化基本計画作成に対し、支援を行うため「地域ブロック広域化基本計画作成費補助事業」を11年度に創設した。
 14年度 地域ブロック広域化基本計画作成事業実施団体
       宇都宮地域ごみ処理広域化推進協議会
 ・市町村振興資金貸付金
 市町村が実施するダイオキシン類削減のための施設の改造に要する経費について市町村振興資金の中にダイオキシン類対策特別枠を設けて市町村を支援した。

(3) 散乱ごみ対策
 道路や観光地におけるごみ等の散乱は、地域の環境を損なうばかりでなく、収集・運搬の面でも廃棄物行政の大きな課題となっている。このため、関東地方知事会を構成する11都県では、昭和57年から毎年5月30日(ごみゼロの日)を中心に統一した環境美化キャンペーンを展開している。
 14年度も全市町村及び関係諸団体の協力を得て、県内全域での散乱ごみの一斉収集・啓発活動及び小・中・高校生を対象としたポスター・標語の募集を実施した。(表2−5−10、表2−5−11)
 15年度も引き続き、同様の環境美化キャンペーンを展開し、普及啓発に努める。
○ 14年度ごみの散乱防止と再資源化を進めるための標語コンテスト
  最優秀作品
  (小学校低学年)みつけたら ちょっと とまって ごみひろい
  (小学校高学年)一つだけ 一つくらいが ゴミの山
  (中学校)     良心も 一緒に捨てていいのかな

表2−5−10 5月30日(ごみゼロの日)を中心とした一斉収集・啓発の結果(14年度)

表2−5−11 ポスター・標語の応募状況(14年度)

(4) し尿処理施設
 し尿処理施設の整備及び高度処理への改善について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。
 浄化槽に関しては、「浄化槽法」及び「栃木県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」に基づき、保守点検業者の立入検査及び浄化槽保守点検業者に対する講習会等を実施し、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。

 

産業廃棄物(宇都宮市分を除く。)

 本県では、環境の保全を図り、循環型社会の形成を推進するため、産業廃棄物の適正処理対策や、下水汚泥の資源化、木材の残廃材や建設副産物の再利用など各種の施策を行っている。

(1) 産業廃棄物適正処理対策
 ア 県内に立地している事業所の立入検査
 産業廃棄物処理施設を設置している排出事業者など県内に立地している事業所(自社処分場を含む。)を対象に600件の立入検査をし、産業廃棄物の発生状況、保管状況、処理処分及び委託の方法等について監視指導を行った。

イ 中間処理・最終処分業者の立入検査
 処理業者の設置している焼却施設等の中間処理施設及び最終処分場を対象に、延べ746件の立入検査を実施し、適正な維持管理の確保について監視指導を行った。

ウ 指導状況等
 事業所及び産業廃棄物処理業者に対し1,346件を立入検査し指導した結果、そのうち146件の文書指導(勧告)をした他、4件の改善命令、2,086件の報告の徴収を求めた。また、18件の産業廃棄物処理業許可の取消し及び4件の産業廃棄物処理業停止を命じた。
 今後も、排出事業者、処理業者双方に産業廃棄物の適正な処理、処分について指導していく。(表2−5−12、表2−5−13)

表2−5−12 産業廃棄物関係立入検査結果(13年度)

表2−5−13 行政処分の状況(13年度)

(注)1  産業廃棄物収集運搬業許可取消しを受けた業者のうち、1業者については特別管理産業廃棄物収集運搬業許可取消しを受けたため、取消しを受けた業者は17業者である。
2  産業廃棄物収集運搬業停止命令を受けた2業者は、それぞれ産業廃棄物処分業停止命令も受けたため、停止命令を受けた業者は2業者である。
3  処理業者からの報告徴収には、全処理業者を対象とした実績報告を含む。

 エ 「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」による規制・指導
 産業廃棄物の適正処理を推進し生活環境の保全を図るため、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」により、産業廃棄物処理施設を設置する際の事前手続等について指導を行っている。
 なお、10年6月、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正に対応するとともに、法がより有効に機能するための行政指導のあり方を規定するため、指導要綱を改正した。
 ○ 県によるあっせん制度の導入
 ○ 専門的知識を有する者からの意見聴取手続の導入
 ○ 設置許可必要施設の手続の簡略化

(2) 不法投棄等、不適正処理対策
 ア 廃棄物監視員市町村交付金
 不法投棄、不適正処理の防止及び最終処分場の適正な維持管理を確保するため、廃棄物監視員を設置する市町村に対し、その経費の一部を補助する廃棄物監視員市町村交付金により不適正処理・処分の防止対策を講じている。14年度は、計29市町に交付した。

 イ 不法投棄の監視委託等
 不法投棄が多発する夜間、休日の監視パトロール、ヘリコプターを利用したスカイパトロールを実施することにより、不法投棄の未然防止及び原因者の特定の円滑化を図っている。
 また、13年度には、監視カメラの設置、携帯情報端末を利用した監視連携システムを導入した。

 ウ 栃木県環境保全対策基金の造成
 産業廃棄物の適正処理を促進するとともに、産業廃棄物の処理に起因する損害に対し補償を行うため、(社)栃木県産業廃棄物協会に創設された栃木県環境保全対策基金の造成状況は次のとおりである。
基金造成額(15年3月現在)約3.9億円

 エ 産業廃棄物不法投棄緊急対策事業
 産業廃棄物の不法投棄等による生活環境保全上の支障の未然防止のために、12年度応急的緊急的措置を実施するための基金を(社)栃木県産業廃棄物協会に造成した。
 造成額 1億円(県5千万円、協会5千万円)

(3) 資源化・再利用対策
 ア 下水汚泥の資源化
 下水汚泥の有効利用を促進するため、下水道資源化工場を整備した。
この工場は、県内の流域下水道及び公共下水道の終末処理場から発生する下水汚泥を集め、焼却溶融施設によりスラグを製造し、建設資材等に転換して、有効利用を進めるものであり、14年10月に供用を開始した。

 イ 木材の残廃材の再利用
 県内の林業・木材産業が生産活動の中で発生する残廃材の再利用を促進する。
 残廃材は、森林内で生産した素材(丸太)を製材品(柱、板類等)や木材チップに加工する過程で発生する鋸屑、端材等の木質系残廃材が主である。
 これらの木質系残廃材については、各事業体ごとに自社及び委託により処理されており、原木市場・製材工場における主な処理・利用状況は、表2−5−14のとおりである。
 なお、14年度に「栃木県木質資源循環利用推進指針」を策定し、15年度からはこの指針に従った木質系残廃材の循環利活用を検討する地域活動に対して、支援を開始する。

表2−5−14 原木市場・製材工場等における処理・利用状況

単位:千m3/年

種類 排出量

処理・利用方法

チップ原料 成形燃料 燃料 家畜敷料 生育基材 焼却 不明
鋸屑 24 0 1 0 19 0 1 3
樹皮 56 0 0 0 16 15 2 23
上記以外 11 6 0 0 0 0 3 2
91 6 1 0 35 15 6 28

(注)1処理・利用量が少量の項目も“0”に含まれる。
   2指針策定時のアンケート調査による推計値である。

 ウ 建設副産物の再資源化
 建設工事から発生するアスファルト・コンクリート塊等の建設副産物の再資源化・再利用を促進する。
 13年度における栃木県内公共工事(県・市町村)の建設副産物の排出量及びリサイクル率は表2−5−15、表2−5−16のとおりである。

表2−5−15 建設副産物排出量(13年度)

表2−5−16 建設副産物リサイクル率(13年度)    (単位:%)

(4) ダイオキシン類削減対策
 栃木県環境保全資金の融資対象に産業廃棄物処理施設を追加して、処理業者が設置する焼却施設の改造等を支援している。
 
(5) ポリ塩化ビフェニル(PCB)対策
 13年7月にポリ塩化ビフェニルの適正な処理の推進に関する特別措置法が施行され、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管及び処分の状況を都道府県知事等に届け出るとともに、15年以内にこれを適正に処分しなければならないこととなった。

(6) 土砂等適正処理対策
 建設残土等の処理に伴う有害物質の混入や無秩序な埋立て等に対する不安等から、建設残土等の土砂による埋立てについて周辺住民とのトラブルが発生していた。
 このような状況を踏まえ、県民の生活の安全の確保と生活環境の保全のため、11年4月に「土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」を施行し、県内における土砂等の埋立ての適正処理を推進している。
 なお、県条例の規制対象面積未満(3,000m3未満)の埋立てについては47市町村が条例を制定している。

(7) 産業廃棄物関係諸団体
 産業廃棄物を適正に処理するために、産業廃棄物処理業者の資質の向上、産業廃棄物に関する知識の普及・啓発並びに産業廃棄物の適正処理及び再生利用に関する調査研究、研修、情報の収集等を推進する。
 これらの諸活動を主目的として、(財)栃木県環境保全公社及び(社)栃木県産業廃棄物協会が組織されており、それぞれ調査研究活動や研修会等により、産業廃棄物の適正な処理及び再生利用等に向けて活動を展開している。県は両団体の運営管理について適正な指導監督を行うとともに諸事業について必要な援助を行っている。

 

表紙へ