第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり


第6章 化学物質対策の推進

第2節 環境ホルモン対策

 

背景

 内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)については、野生生物の生殖異常などの報告がなされているが、その環境中における挙動や健康影響・生態影響については、科学的に未解明な部分が多い。
 しかし、環境ホルモンは、ヒトや野生生物の内分泌作用を攪乱し、生殖機能障害、悪性腫瘍等を引き起こす可能性のある物質であって、生物の生存の基本的条件に関わるものであり、世代を超えた深刻な問題を引き起こすおそれがあることから、これに対する環境保全対策が重要となってくる。
 環境省では、9年3月に「外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班」を設置し、既存の知見の収集整理及び今後の課題についての検討を行い、同年7月に中間報告書をとりまとめた。
 そして、10年5月「外因性内分泌攪乱化学物質問題への環境庁の対応方針について」(いわゆる環境ホルモン戦略計画SPEED'98)を策定し、内分泌攪乱作用が疑われる約70種の化学物質について、基本的な考え方並びに実態調査、試験研究及び情報提供の推進等の具体的な対応方針を示し、さらに12年11月には、新しい知見等を追加・修正した「環境ホルモン戦略計画SPEED'98 2000年11月版」を公表した。

取組の状況

 環境ホルモンについては、科学的に未解明な部分が多いことから、化学物質対策連絡会議において、情報収集及び情報交換等により情報の共有化を図ってきた。
 15年度は14年度に引き続き、水質の環境ホルモンの調査を次の5河川において実施した。その結果は表2−6−7のとおりで、ほとんどが検出下限値未満であり、検出された物質の濃度も、全国の調査結果と比較すると低い値であった。なお、現在のところ、いずれの物質も環境基準等は設定されていない。

表2−6−7  環境ホルモン実態調査結果(14年度)  (単位:μg/l)

 

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