第6部 共通的基盤的施策の推進

 

第2節 調査及び研究の実施

 

保健環境センターにおける調査研究

 環境汚染の実態把握と未然防止を図るため、以下の課題について調査研究を行っている。

(1) 大気環境関係

  ア 栃木県における浮遊粒子状物質(SPM)の挙動について

 環境大気中の浮遊粒子状物質(SPM)は、呼吸器系の各部位に沈着し、健康影響の原因になるとされ、特に粒径2.5μm以下のものが死亡率や疾病の増加と関係があるとされている。
 13年度から小山市及び黒磯市で、SPM濃度と、SPM中の炭素成分、水溶性成分、金属成分濃度を測定し、発生源の推定、夏季濃度が高くなる気象要因について調査を行った。

  イ 酸性雨及び浮遊粒子状物質調査

 関東地方環境対策本部大気環境部会事業として、関東甲信静の各地方研究機関と共同で、梅雨期影響調査、年間沈着量実態調査、土壌影響及び金属腐食調査を行った。また夏季、冬季に浮遊粒子状物質のサンプリングを道路沿道、一般環境で行った。
 全国環境研究所協議会第4次酸性雨調査に参加し、湿性降下物・乾性降下物を採取、分析した。
 環境省委託調査により酸性雨モニタリング(土壌調査・植生調査)を林業センター、農業試験場の協力を得て行い、調査結果を報告した。

  ウ 大気環境に関する行政依頼検査

 大気環境調査として、有害大気汚染物質調査、金精峠における夏季酸性霧調査、酸性降下物量調査、降下ばいじん量調査、文部科学省委託による環境放射能調査を実施した。
 また、前記調査の他、最終処分場悪臭調査、苦情による騒音(低周波騒音を含む)調査、新幹線騒音調査を11ヶ所で行った。16年度も同様の調査を実施する。

(2) 水環境関係

  ア 湯の湖・中禅寺湖のコカナダモに関する調査

 湯の湖におけるコカナダモの繁茂は景観の悪化を招くなど多くの問題を抱えている。
 15年度は、コカナダモの栽培試験や刈取り影響調査等を実施し、コカナダモの刈取りの有効性について検討した。

  イ 化学物質環境汚染実態調査

 環境省の委託を受けて、未規制化学物質5物質について、宇都宮市内を流れる田川の水質及び底質を対象に調査した。

  ウ 水環境に関する行政試験検査

 工場・事業場排水、ゴルフ場排水及び鉱山排水の水質分析を実施するとともに、ダム湖等の公共用水域の水質調査、未規制物質調査、水生生物調査、水道水の水質調査を実施した。
 また、異常水質・地下水汚染等、緊急時の水質分析を行った。
 16年度においても、引き続き水環境に関する水質分析、調査を行う。

(3) 廃棄物関係

  ア 廃棄物最終処分場における水収支と溶出特性に関する研究

 処分場の適切な維持管理に資することを目的として、埋め立て期間中の水収支及び浸出水中の化学物質の溶出特性を調査し、適切なモニタリング指標による処分場の安定度の評価手法を構築するための研究を14年度から行っている。

  イ 廃棄物の有効利用に関する調査研究

 溶融スラグは焼却灰の無害化・減量化が図れることから、溶融化処理施設の設置が進められている。今後、大量に排出される溶融スラグの有効利用に対応するため、12年度から安全性の確認試験及び環境面での利用方法の研究を行っている。

  ウ 廃棄物に関する行政試験検査

 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、「栃木県産業廃棄物処理に関する指導要綱」、「栃木県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」等に基づき、処分場の浸出水・排水、周辺地下水の水質検査及び廃棄物・土壌の溶出検査を行っている。

消費生活センターにおける調査研究

 商品試買テスト(乾燥機能付き全自動電気洗濯機)

 洗濯容量7kg、乾燥容量2〜7kgの乾燥機能付き全自動電気洗濯機4機種と、乾燥容量3kgの専用乾燥機である衣類乾燥機1機種を対象に、洗濯時使用水量・使用電力、乾燥時使用電力といった省エネ性能等について、テストを行った。
 なお、このテストは、独立行政法人 製品評価技術基盤機構の事業である「消費生活センター支援テスト」の一環として、製品評価技術基盤機構の技術的支援を受け、実施したものである。

環境審議会

 「環境基本法」第43条の規定に基づき、都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して基本的事項を調査審議させるため、環境の保全に関し学識経験者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置くこととされている。
 本県では、「栃木県環境審議会条例」により、栃木県環境審議会(以下この節において「審議会」という。)を設置している。
 審議会は、30人の委員(学識経験者等)と4人の特別委員(国の地方行政機関の長又は職員)で組織されている。委員、特別委員とも任期は2年となっている。
 15年度は、8月と2月に会議を開催し、知事が「水質汚濁に係る環境基準の類型指定の見直し」について諮問を行ったほか、「栃木県公害防止条例の見直しの基本的な考え方」についての中間報告等が行われた。

 

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