平成17年度 環境の状況及び施策に関する報告書

第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり
 


第4章 騒音・振動・悪臭の防止

第2節 騒音・振動・悪臭防止対策


騒音防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

ア 「騒音規制法」に基づく規制
 
「騒音規制法」では、特定施設を設置する工場・事業場(以下この節において「特定工場等」という。)及び特定建設作業から発生する騒音について、地域を指定して規制を行っている。
 地域の指定は、知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して、37市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

イ 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」に基づく規制
 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」(*)では、「騒音規制法」で規制される地域以外について、特定工場等及び特定建設作業から発生する騒音について、規制を行っている。これにより、県内全域が規制の対象となっている。

ウ 工場等に対する指導等
 特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、騒音公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、騒音防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

(*)「栃木県生活環境の保全に関する条例」は、「栃木県公害防止条例」の全部を改正し、16年10月14日に公布され、一部を除き17年4月1日から施行された。(詳細については、第6部第1節を参照)

(2) 交通騒音対策

 高速自動車道について、関係県と連携し、道路公団に対して騒音の低減対策等を要請している。

(3) 新幹線鉄道騒音対策

 東日本旅客鉄道鰍ノおいては、当面の対策としているピーク騒音レベルを75デシベル以下とするいわゆる「75デシベル対策」として、低騒音の新型車両の導入や防音壁の設置等による発生源対策を推進している。
 10年度からは、「第3次75デシベル対策」として、住宅立地地域(住宅が点在する地域を除く。)のうち75デシベルを超える11箇所について対策を講じ、すべての箇所においてピーク騒音レベルが75デシベル以下となった。
 県においては、環境基準達成に向け、沿線の15市町で構成する「栃木県新幹線公害対策連絡会議」で東日本旅客鉄道鰍ノ対し、騒音の低減対策を要請している。

(4) 航空機騒音対策
 宇都宮市と共同で陸上自衛隊宇都宮分校周辺の10地点で航空機騒音の状況を把握するための調査を実施したが、その結果は、60.7〜72.5 WECPNLの範囲であった。

(5) 音風景の保全
 無駄な音、迷惑がられる音である騒音を低減し、好ましい音環境を実現しようとする取組の一つとして、環境省において「残したい“日本の音風景100選”」を選定している。
 県内においては、栃木市の「太平山あじさい坂の雨蛙」が認定されている。

振動防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

ア 「振動規制法」に基づく規制
 「振動規制法」では、特定工場等及び特定建設作業から発生する振動について、地域を指定して規制を行っている。地域の指定は知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して37市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

イ 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」に基づく規制
 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」では、「振動規制法」で規制される地域以外について、振動の規制基準を設定している。これにより、県内全域が規制の対象となっている。

ウ 工場等に対する指導等
 特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、振動公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、振動防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

悪臭防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

ア 「悪臭防止法」に基づく規制
 「悪臭防止法」では、工場・事業場における事業活動に伴って発生するにおいに対し、アンモニア、硫化水素等22の特定悪臭物質について、地域を指定して規制を行っている。
 規制地域の指定は知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域及び一部の学校、病院、老人ホーム等の周辺について、足尾町及び栗山村を除く42市町村で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

イ 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」に基づく規制
 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」では、特に悪臭が発生する養豚・養鶏施設等8施設を特定施設として定め、県内全域を対象とする届出制とし、施設の種類ごとに規制基準(管理上の基準)を定めている。
 また、県内全域のすべての工場・事業場を対象とした、悪臭を施設の外部へ漏れにくくするための遵守事項(管理上の基準)を定めている。

ウ 嗅覚測定法(三点比較式臭袋法)による指導
 悪臭防止法では、機器を用いて特定悪臭物質ごとの濃度を分析・測定する方法により悪臭を規制しているが、低濃度多成分による複合臭気には対応できない問題点があった。そこで、法が一部改正され、従来の機器を用いた分析・測定方法と、ヒトの嗅覚を用いた測定法(嗅覚測定法)のいずれかを採用できることとなった。嗅覚測定法の積極的な導入を図るため、市町村に対して普及啓発を行っている。

エ 工場等に対する指導等
 悪臭に係る規制事務等は、市町村長の自治事務とされており、立入検査等により実態に即したきめ細かな指導が行われ、悪臭公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、悪臭防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

(2) かおり風景の保全

 良好なかおりとその源となる自然や文化を保全・創出しようとする地域の取組の支援の一環として、環境省において「かおり風景100選」を選定している。
 県内においては、今市市の「今市竜蔵寺の藤と線香」、日光市の「日光霧降高原のニッコウキスゲ」及び那須町の「那須八幡のツツジ」が認定されている。


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