平成17年度 環境の状況及び施策に関する報告書

第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり
 


第5章 廃棄物・リサイクル対策の推進

第1節 循環型社会形成の推進

 21世紀を迎えた現在、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄により石油などの天然資源の枯渇、廃棄物処分場の不足、不法投棄やダイオキシン類などの有害物質の発生など、深刻な社会経済問題が生じている。さらに、地球温暖化対策のための温室効果ガスの削減に取り組むことが求められており、また、最終処分場のひっ迫や天然資源の消費抑制のため、循環型社会の形成が急務とされている。

推進体制の整備

 国では、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)のいわゆる3R対策を基本理念とする循環型社会の形成を、今後の廃棄物・リサイクル対策の基本的方向と位置付け、「循環型社会形成推進基本法」をはじめとして「食品リサイクル法」「建設リサイクル法」など、リサイクル関連法を整備した。(図2−5−1)
 これを受け、県においても循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、各部局が一体となった栃木県循環型社会推進本部を12年度に設置した。
 また、循環型社会の形成に向け広く県民の声を反映させるため、学識経験者・消費者・事業者等で構成する循環型社会推進懇談会を13年7月に設置した。

図2−5−1 循環型社会形成推進基本法等の整備

循環型社会推進施策の実施

(1) 循環型社会推進指針の策定

 本県における循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、循環型社会形成の基本原則、役割分担、具体的な施策などを明示し、15年3月に策定した。 

(2) 地域循環モデル構築支援事業費補助金

 同指針で示した「とちぎの地域循環モデル」の構築促進と、本県における循環型社会の早期実現を目的として15年8月に創設した。16年度は対象事業を拡充し、3団体に対して補助を行った。

ア 地域循環モデル調査研究事業
事業内容 地域の産業特性や業界団体の課題等を反映した新たなリサイクルシステムのあり方や実現するための手法等に関する調査研究
補助対象者 2以上の団体等から構成される協議会
補助限度額 750千円(補助率 1/2以内)

イ 地域循環モデル事業化対策事業
事業内容 地域循環モデル調査研究事業等による成果を踏まえた、新たなリサイクルシステムの構築
補助対象者 2以上の団体等から構成される協議会等
補助限度額 8,000千円(補助率 1/2以内)

ウ とちぎエコタウンモデル事業
事業内容 産業団地等を拠点として、環境関連産業の振興並びに立地促進による、環境と産業とが共存できるまちづくりの推進
補助対象者 市町村、一部事務組合
補助限度額 3,000千円(補助率 1/2以内)

(3) 栃木県リサイクル製品認定制度

 本県で発生した廃棄物等を原材料として製造されるリサイクル製品を「とちの環エコ製品」として県が認定し、その普及と使用促進を通して、廃棄物等の発生抑制と利用促進、リサイクル産業の育成を図り、本県の地域特性を活かした循環型社会の構築に寄与することを目的として16年度に創設した。認定は、実施要綱に基づく申請があり、同要綱に定める認定要件を満たした製品に対して行う。

○第1回認定製品数 17製品(認定期間 17年3月25日〜20年3月31日)

バイオマス利活用の推進

 本県におけるバイオマスの利活用を総合的に推進するため、17年3月に、バイオマスの現状と今後の利活用の取組方向や、県、市町村、県民、事業者等の役割などについて明らかにした「栃木県バイオマス総合利活用マスタープラン」(とちぎ“バイオマスの環”推進プラン)を策定した。今後、このプランに基づき、循環型社会の形成に向け、地域の特性を活かしたバイオマスの利活用を総合的に推進する。

リサイクル関連法への主な取組

(1) 食品リサイクルへの取組

 食品リサイクルに関わる施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、食品リサイクル部会を開催し、県内の取組状況や今後の方向等について検討を行った。
 第1回 食品リサイクルに関する関係各課・場所の事業等取組状況についての情報交換・検討会
 第2回 県内の食品廃棄物リサイクル施設の事例調査・検討会

(2) 建設リサイクルへの取組

 リサイクルの低迷する建設副産物を対象とした重点的取組として、建設発生土に関しては、国土交通省策定「建設発生土等の有効利用に関する行動計画」の施策に基づく公共工事土量調査の実施及び「建設副産物の処理基準(案)」運用の徹底を図った。
 また、再加熱アスファルト混合物に関しては、「再加熱アスファルト混合物の利用基準」を策定した。
 法の適正な執行を図るため、普及啓発活動を継続実施するとともに、適正な施行の指導を図るため、対象工事現場のパトロールを実施した。

ア 「建設発生土等の有効利用に関する行動計画」における具体的施策の実施
(ア) 実態把握及び工事間利用促進を図るため、公共工事土量調査を実施した。
(イ)「建設副産物の処理基準(案)」を運用し指定処分の徹底を図るため、「砂利採取場への残土処理」を試行し調整困難な建設発生土の受入先を確保した。

イ 「再加熱アスファルト混合物の利用基準」の策定
 再生合材における再生骨材混入量を定めた。

ウ 普及啓発活動の継続実施
 建設リサイクル法の周知徹底を図るため、各種啓発活動(県広報経済、テレビCM、リーフレット配布、講習会等)を実施した。

エ 現場パトロールの実施
(ア) 届出工事現場における分別解体の指導
(イ) 未届工事の監視

(3) 自動車リサイクルへの取組   

 「自動車リサイクル法」の完全施行(17年1月)に当たり、法の適正な執行を図るため、既存解体業者の現地調査や各種説明会、普及啓発活動を実施した。
 また、「栃木県使用済自動車等の解体業及び破砕業に関する指導要綱」を策定し、16年4月から同指導要綱に係る事前協議を開始した。
同年7月からは、解体業及び破砕業の許可制度を開始した。

ア 説明会の実施
  対象:自動車整備事業者、自動車販売業者、既存解体業者、既存破砕業者等
  内容:自動車リサイクル法の概要、指導要綱の概要及び事前協議の手続方法

イ 普及啓発活動の実施
  自動車リサイクル法の概要を周知するため、テレビCMを放映した。

(4) エコスラグの有効利用促進への取組

 「エコスラグ有効利用ガイドライン(案)」を策定し、アスファルト混合物の細骨材としての有効利活用に向けた取り組みを具体化させた。


表紙へ