平成17年度 環境の状況及び施策に関する報告書

第6部 共通的基盤的施策の推進
 

 

第3節 調査及び研究の実施


保健環境センターにおける調査研究

 環境汚染の実態把握と未然防止を図るため、以下の課題について調査研究を行っている。

(1) 大気環境関係

ア 栃木県における揮発性有機化合物濃度調査及びPRTR排出量との比較に関する研究
 16年度は、県内の大気汚染状況を詳細に把握するために、新たに29物質を加えた38種の揮発性有機化合物について調査を行った。また、PRTR届出排出量データ等を用い、シミュレーションにより県域の揮発性有機化合物濃度を計算した。シミュレーションによる計算値がどの程度実態を反映しているかを判断するため、一部の物質について計算と測定値の関係を比較検討した。

イ 酸性雨及び浮遊粒子状物質調査
 関東地方環境対策本部大気環境部会事業として、関東甲信静の各地方研究機関と共同で、年間沈着量実態調査及び金属腐食調査を行った。また夏季、冬季に浮遊粒子状物質のサンプリングを道路沿道、一般環境で行った。
 全国環境研究所協議会第4次酸性雨調査に参加し、湿性・乾性降下物を採取、分析した。

ウ 大気環境に関する行政依頼検査
 大気環境調査として、有害大気汚染物質調査、酸性降下物量調査、降下ばいじん量調査、文部科学省委託による環境放射能調査を実施した。
 また、前記調査の他、最終処分場悪臭調査、苦情による騒音(低周波騒音を含む)調査、新幹線騒音調査を行った。17年度も同様の調査を実施する。

(2) 水環境関係

ア 底生動物による河川水域環境評価に関する研究
 従来の底生動物調査法は継続性や信頼性といった点で問題があるため、全国公害研協議会は新たな調査方法(スコア法)を提唱している。
 そこで、スコア法導入にあたって、従来法との整合性や同調査法による評価と水質や環境要因との関係について調査を行った。17年度も引き続き調査を行う。

 イ 公共用水域汚濁機構解明調査
  公共用水域水質調査において環境基準の超過が頻繁に見られる水域について、水質汚濁負荷特性を明らかにし、汚濁負荷削減のための基礎資料とするための調査を実施した。17年度も引き続き調査を行う。

 ウ 新たに追加された要監視項目に関する調査
 水質汚濁に係る要監視項目について、15年度に水生生物の保全の観点から3物質、16年度に人の健康の保護に関する項目として5物質が追加された。
 このため、15年度追加の3物質について県内河川を対象に実態調査を行った。17年度は16年度に追加された5物質について調査を行う。

エ 外因性内分泌攪乱化学物質の分析法の検討
 県内で検出された内分泌攪乱を疑われる物質について、簡便、迅速かつ精度の高い分析法の確立に努めてきた。
これまで分析法を確立した23物質について、分析法をとりまとめるとともにそれらを活用して県内河川の実態調査を行った。

オ 化学物質汚染実態調査
 未規制化学物質2物質について、環境省の委託を受けて宇都宮市内を流れる田川の水質及び底質を対象に調査を実施した。17年度も引き続き調査を実施する。

カ 酸性雨モニタリング(陸水)調査
 酸性雨による中長期の影響を把握するため、刈込湖(日光市)において環境省の委託を受けて湖沼の水質の分析や集水域や気象に関する事項の情報収集等を行った。17年度も引き続き調査を行う。

キ 水環境に関する行政試験検査
 工場・事業場排水、ゴルフ場排水及び鉱山排水の水質分析を実施するとともに、ダム湖等の公共用水域の水質調査、未規制物質調査、水生生物調査、水道水の水質調査を実施した。
また、地下水汚染等、緊急時、異常時の水質分析を行った。17年度においても、引き続き水環境に関する水質分析、調査を行う。

(3) 廃棄物関係

ア 廃棄物最終処分場における水収支と溶出特性に関する研究
 処分場の適切な維持管理に資することを目的として、埋立て期間中の水収支及び浸出水中の化学物質の溶出特性を調査し、適切なモニタリング指標による処分場の安定度の評価手法を構築するための研究を14年度から行っている。

イ 廃棄物に関する行政試験検査
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」「栃木県産業廃棄物処理に関する指導要綱」「栃木県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」等に基づき、処分場の浸出水・排水、周辺地下水の水質検査及び廃棄物・土壌の溶出検査を行っている。

消費生活センターにおける調査研究

 商品試買テスト(電球型蛍光ランプの性能と演色性について)
近年、多様化する生活スタイルに応え、白熱電球に比べ消費電力の少ないことを全面に、8倍程の価格で電球型蛍光ランプが販売されている。そこで、環境に配慮し、より経済的で快適な使用方法を提案するために、両者の特徴を消費電力、明るさ、耐久性、演色性に関して比較した。
 なお、このテストは北関東三県共同試買テストとして、茨城県及び群馬県と共同で実施した。

環境審議会

 「環境基本法」第43条の規定に基づき、都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して基本的事項を調査審議させるため、環境の保全に関し学識経験者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置くこととされている。
 本県では、「栃木県環境審議会条例」に基づき、栃木県環境審議会(以下この節において「審議会」という。)を設置している。
 審議会は、30人の委員(学識経験者等)と4人の特別委員(国の地方行政機関の長又は職員)で組織されている。委員、特別委員とも任期は2年となっている。
 16年度は、6月、9月、2月に会議を開催し、知事が「平成18年度公共用水域及び地下水の水質測定計画」について諮問を行ったほか、「栃木県公害防止条例の見直しの基本的な考え方」についての答申等が行われた。


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