第2節 水環境の保全
概況
(河川水質)
○人の健康の保護に関する項目(健康項目)については、すべての地点で環境基準を達成していた。
○生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)の1つであるBODの達成状況は、県全体で 94%であり、前年度(86%)より大きく改善した。
(湖沼水質)
○最も厳しい基準が適用されている中禅寺湖では、CODと全りんとも環境基準を達成していない。
○湯の湖では、CODと全りんについて環境基準を達成しているが、全窒素は達成していない。
(地下水水質)
○地下水汚染については、新たに2地区で汚染が確認され、7地区で汚染が終息し、19年3月末現在で地下水汚染の地区数は、81地区となっている。 |
(1) 環境基準等
水質汚濁に係る環境基準は、「環境基本法」により人の健康の保護に関する基準と生活環境の保全に関する基準とが定められている。これは、公共用水域及び地下水の水質保全のための行政上の目標として位置付けられている。
このうち、人の健康の保護に関する環境基準は、すべての公共用水域及び地下水に一律に適用され、カドミウム等23項目(「健康項目」)について定められていたが、11年2月にほう素、ふっ素並びに硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の3項目が追加され、現在は26項目が定められている。また、12年1月の「ダイオキシン類対策特別措置法」の施行により、ダイオキシン類についても環境基準が定められた。
また、生活環境の保全に関する環境基準は、上水道、農業用水など、公共用水域の利水目的に応じて河川、湖沼の水域ごとに類型指定が行われている。
本県においては、川俣ダム貯水池が15年3月に国の類型指定を受け69水域となり、17年1月には11水系の類型改定等による見直しを行った。(表2−1−14)
15年11月には水生生物保全の観点から全亜鉛が追加され、国において類型あてはめ方法等が検討されている。
この他に環境基準に準ずるものとして、公共用水域及び地下水を対象とした「要監視項目」27項目及び「公共用水域等における農薬の水質評価指針」27項目が定められている。
表2−1−14 環境基準類型指定状況
区分 |
河川
・湖沼数 |
水
域
数 |
類型別水域数内訳 |
環境
基準
地点数 |
AA |
A |
B |
C |
D |
E |
T |
U |
V |
河
川 |
那珂川水
系 |
14 |
15 |
2 |
13 |
|
|
|
|
|
|
|
16 |
鬼怒川・小貝川水系 |
16 |
20 |
4 |
10 |
3 |
3 |
|
|
|
|
|
21 |
渡良瀬川水系 |
18 |
29 |
1 |
10 |
14 |
3 |
1 |
|
|
|
|
30 |
小計 |
48 |
64 |
7 |
33 |
17 |
6 |
1 |
|
|
|
|
67 |
湖沼 |
5 |
5 |
3 |
2 |
|
|
|
|
2 |
2 |
1 |
5 |
合計 |
53 |
69 |
10 |
35 |
17 |
6 |
1 |
|
2 |
2 |
1 |
72 |
(注)
1 渡良瀬川上流水域について、当該水域数には計上しているが、同水域の環境基準地点(高津戸=群馬
県みどり市所在)は地点数に含まれていない。
2 類型のうち、T〜Vについては窒素及びりんに係る類型を示す。
3 押川(久慈川水系)は那珂川水系に、西仁連川(利根川に直接流入する)は渡良瀬川水系に含む。
4 現在の類型は、17年1月28日に改定されたものである。
(2) 河川水質の現況
ア 概況
本県の河川は、ごく一部を除き那珂川、鬼怒川・小貝川及び渡良瀬川の三大水系に分けられ、その流域は、県土のほぼ3分の1ずつに等分される。
県内の公共用水域の水質汚濁の状況を監視するため、「水質汚濁防止法」に基づき策定した「公共用水域の水質測定計画」により、18年度は環境基準の類型指定されている48河川と環境基準点のない13河川の合計61河川130地点において水質調査を実施した。その結果、人の健康の保護に関する項目(健康項目)については、すべての地点で環境基準を達成していた。
生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)について、河川の有機性汚濁の指標であるBODで環境基準の達成状況を見ると、県全体の達成率は94%であり、前年度(86%) より大きく改善している。(図2−1−17)
図2−1−17 水系別のBOD環境基準達成率の推移

水系別のBODの環境基準達成率は、那珂川水系100%、鬼怒川・小貝川水系95%、渡良瀬川水系90%となっており、鬼怒川・小貝川水系は達成率は横ばいであったが、那珂川水系、渡良瀬川水系は達成率が上昇した。
類型別のBODの環境基準達成状況は、達成率でみるとAA類型は前年度同様100%、A、B、C類型は前年度より上昇したが、D類型では前年度と同じであった。(表2−1−15)
表2−1−15 類型別のBOD環境基準達成率の推移 (単位:%)
類型 |
年度
水域数 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
AA |
7 |
100 |
100 |
75 |
100 |
50 |
75 |
100 |
75 |
100 |
100 |
A |
33 |
97 |
91 |
80 |
91 |
91 |
94 |
100 |
94 |
94 |
100 |
B |
17 |
71 |
59 |
59 |
71 |
59 |
77 |
76 |
71 |
82 |
94 |
C |
6 |
50 |
33 |
50 |
83 |
50 |
67 |
83 |
50 |
50 |
67 |
D |
1 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
0 |
0 |
0 |
E |
0 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
- |
- |
計 |
64 |
86 |
77 |
72 |
86 |
77 |
86 |
92 |
81 |
86 |
94 |
(注)1 達成率=環境基準達成水域数/類型指定水域数×100
2 各環境基準点(渡良瀬川上流水域は補助地点)において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成水域とした。なお、75%値については、関係用語の解説205頁を参照。
3 類型ごとのBODの環境基準は、AA:1mg/ℓ以下、A:2mg/ℓ以下、B:3mg/ℓ以下、C:5mg/ℓ以下、D:8mg/ℓ以下、E:10mg/ℓ以下である。
生活環境項目別の環境基準適合状況を前年度と比較すると、pH、BODの達成率は高くなっているが、DO、SS、大腸菌群数は低くなっている。
生活環境項目について各水系を比較すると、那珂川水系は他水系と比較してBODの適合率が97.4%と高いが、大腸菌群数の適合率は2.8%と低い。(表2−1−16)
表2−1−16 項目別環境基準適合状況 (単位:%)
水系名 |
地点数 |
pH |
DO |
BOD |
SS |
大腸菌群数 |
那珂川 |
33 |
95.7 |
97.9 |
97.4 |
98.3 |
2.8 |
鬼怒川・小貝川 |
45 |
99.6 |
98.5 |
91.2 |
97.2 |
9.4 |
渡良瀬川 |
44 |
98.6 |
98.8 |
89.9 |
96.8 |
16.2 |
計 |
122 |
98.2 |
98.4 |
92.4 |
97.4 |
9.6 |
前年度 |
122 |
97.7 |
99.3 |
89.8 |
99.6 |
19.2 |
(注)1 環境基準類型指定の全調査地点を対象とした。
2 適合率=環境基準適合検体数/調査実施検体数×100
過去5か年における主要河川の県内末流地点における水質をBODの年平均値で見ると、全体的な傾向は渡良瀬川を除き、良好な状態に向かっている。(図2−1−18)
図2−1−18 主要河川県内末流地点の水質の推移(BOD 年平均値)

イ 各水系の概要
(ア) 那珂川水系の水質
那珂川水系に属する河川の15水域における環境基準類型指定状況はAA又はA類型で、他水系に比較し、水質的に良好な河川が多い。
環境基準達成状況をBODで見ると、15水域全てにおいて環境基準を達成しており、達成率は100%となった。(表2−1−17)
表2−1−17 那珂川水系の環境基準達成状況
T 環境基準を達成した水域
類型 |
水域名 |
環境基準地点 |
適合率
(%) |
75%値
(mg/ℓ) |
平均値
(mg/ℓ) |
5年間
平均値
(mg/ℓ) |
AA
|
那珂川(1)
高雄股川 |
恒明橋
高雄股橋 |
92
92 |
<0.5
<0.5 |
0.6
0.6 |
0.8
0.7 |
A |
那珂川(2)
湯川
余笹川
黒川
松葉川
箒川
蛇尾川
武茂川
荒川
内川
江川
逆川
押川 |
新那珂橋
野口
湯川橋
川田橋
新田橋
末流
箒川橋
宇田川橋
更生橋
向田橋
旭橋
末流
末流
越地橋 |
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
83
92
100
100 |
1.1
1.0
0.7
1.1
1.1
1.0
1.1
1.1
1.0
1.0
1.8
1.0
0.9
0.9 |
0.9
0.9
0.8
0.8
0.9
0.8
0.8
0.8
1.2
0.7
1.5
0.8
0.7
0.7 |
1.0
0.9
0.9
1.1
1.1
1.0
1.0
0.9
1.6
1.1
1.4
1.7
1.2
0.9 |
計 |
水域数 |
15 (14) |
構成比 |
100% (93%) |
(注)1 環境基準地点において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成水域とした。
2 5年間平均とは、14年度〜18年度の75%値の平均値である。
3 計欄の( )は、前年度の数値を示す。
※表2−1−18、表2−1−19において同じ。
那珂川本川の水質流程変化をBODを指標として見ると、全域で1.0r/ℓ前後の推移となっており、良好な水質を維持している。(図2−1−19)

(イ) 鬼怒川・小貝川水系の水質
鬼怒川・小貝川水系に属する河川の20水域における環境基準類型指定状況は、AA類型からC類型までの4類型である。
環境基準達成状況をBODで見ると、19水域で環境基準を達成しており、達成率は前年度と同様95%であった。(表2−1−18)
T 環境基準を達成した水域
類型 |
水域名 |
環境基準地点 |
適合率
(%) |
75%値
(mg/ℓ) |
平均値
(mg/ℓ) |
5年間
平均値
(mg/ℓ) |
AA |
鬼怒川(1)
男鹿川
板穴川
大谷川 |
川治第一発電所前
末流
末流
開進橋 |
100
100
92
92 |
0.6
0.7
0.6
0.5 |
0.6
0.6
0.6
0.6 |
0.6
0.6
0.9
0.7 |
A |
鬼怒川(2)
湯川
西鬼怒川
江川下流
田川上流
赤堀川
小貝川
五行川
野元川
行屋川 |
鬼怒川橋
川島橋
末流
西鬼怒川橋
末流
大曽橋
木和田島
三谷橋
桂橋
末流
常盤橋 |
100
92
100
100
92
92
92
92
75
100
92 |
0.6
0.9
0.9
0.8
1.5
1.4
1.0
1.4
1.9
0.9
1.6 |
0.6
1.0
0.7
0.8
1.4
1.1
0.9
0.9
1.5
0.7
1.1 |
0.9
1.2
1.0
1.0
1.5
1.8
1.2
1.3
1.5
1.2
1.6 |
B |
志渡渕川
江川上流
田川下流 |
筋違橋
高宮橋
梁橋 |
100
100
92 |
1.2
1.7
2.3 |
0.9
1.2
3.0 |
2.0
1.8
3.1 |
C |
御用川
釜川 |
錦中央公園
つくし橋 |
75
100 |
4.6
1.5 |
4.1
1.3 |
6.0
2.2 |
計 |
水域数 |
19 (19) |
構成比 |
95% (95%) |
U 環境基準を達成しない水域
類型 |
水域名 |
環境基準地点 |
適合率
(%) |
75%値
(mg/ℓ) |
平均値
(mg/ℓ) |
5年間
平均値
(mg/ℓ) |
C |
田川中流 |
明治橋 |
58 |
5.2 |
4.1 |
5.0 |
計 |
水域数 |
1 (1) |
構成比 |
5% (5%) |
鬼怒川本川の水質流程変化をBODを指標として見ると、県内全域で1.0mg/ℓ前後の推移となっており良好な水質を維持しているが、県内を流れる田川が県境を越えて合流する付近から悪化しているような状況にある。(図2−1−20)

(ウ) 渡良瀬川水系の水質
渡良瀬川水系に属する河川の29水域における環境基準類型指定状況は、AA類型からD類型までの5類型にわたっている。
環境基準達成状況をBODで見ると、26水域で達成し、達成率は90%と前年度(76%)から大きく上昇した。(表2−1−19)
表2−1−19 渡良瀬川水系の環境基準達成状況
T 環境基準を達成した水域
類型 |
水域名 |
環境基準地点 |
適合率
(%) |
75%値
(mg/ℓ) |
平均値
(mg/ℓ) |
5年間
平均値
(mg/ℓ) |
AA |
大芦川 |
赤石橋 |
100 |
0.6 |
0.6 |
0.7 |
A
|
渡良瀬川上流
神子内川
小俣川上流
松田川上流
旗川上流
才川
秋山川上流
永野川上流
思川上流
黒川 |
沢入発電所渡良瀬川取水堰
末流
新上野田橋
新松田川橋
高田橋
末流
小屋橋
堀米橋
星野橋
大岩橋
保橋
御成橋 |
100
100
75
100
100
100
100
83
100
100
100
100 |
0.6
0.6
1.8
0.7
0.9
1.3
0.9
1.3
0.5
0.8
0.7
0.8 |
0.6
0.6
1.6
0.7
0.8
1.0
0.7
1.1
0.6
0.7
0.6
0.8 |
1.1
0.8
3.4
0.9
1.1
1.4
0.7
1.4
0.8
0.8
0.9
1.2 |
B
|
渡良瀬川(2)
渡良瀬川(3)
渡良瀬川(4)
小俣川下流
袋川上流
旗川下流
出流川
三杉川
巴波川下流
永野川下流
思川下流
姿川
西仁連川 |
葉鹿 橋
渡良瀬大橋
三国橋
末流
助戸
末流
末流
末流
巴波橋
落合橋
乙女大橋
宮前橋
武井橋 |
100
100
75
100
100
92
100
75
83
83
92
92
83 |
0.9
1.4
2.6
1.6
1.4
1.8
2.4
3.0
2.0
1.8
1.9
1.8
2.2 |
0.8
1.1
2.2
1.4
1.1
1.4
1.7
2.7
2.2
2.5
1.6
1.6
2.2 |
1.1
2.0
2.9
2.9
2.2
2.6
3.3
3.4
2.2
2.0
1.7
2.1
2.8 |
C |
矢場川
秋山川下流 |
矢場川水門
末流 |
83
83 |
3.8
1.5 |
3.1
2.9 |
4.1
5.7 |
計 |
水域数 |
26 (22) |
構成比 |
90% (76%) |
U 環境基準を達成しない水域
類型 |
水域名 |
環境基準地点 |
適合率
(%) |
75%値
(mg/ℓ) |
平均値
(mg/ℓ) |
5年間
平均値
(mg/ℓ) |
B |
松田川下流 |
末流 |
33 |
16 |
11 |
12 |
C |
巴波川上流 |
吾妻橋 |
58 |
6.2 |
6.4 |
8.0 |
D |
袋川下流 |
袋川水門 |
58 |
10 |
7.6 |
9.6 |
計 |
水域数 |
3 ( 7) |
構成比 |
10% (24%) |
渡良瀬川本川の水質流程変化をBODで見ると、上流域では比較的良好な水質を示しているが、渡良瀬大橋付近から急に悪化し、新開橋(藤岡町)付近から2.4mg/ℓとなっている。
(図2−1−21)

ウ 水生生物による水質調査
本県では、昭和59年度から17年度まで、水質階級の指標となる生物の生息数等を調査し、水質の判定を行い、生物学的水質階級を評価する方法で水生生物による水質調査を行ってきた。しかし、その調査手法の複雑さや信頼性の点から見直しを行い、18年度から、大型底生動物による河川水域環境評価マニュアル(スコア法)に手法を変更した。
スコア法では、平均スコア値(ASPT値)を指標とするが、これは河川の水質状況に加え、周辺環境もあわせた総合的な河川の環境の良好性を相対的に表す指標となっており、より広い意味での評価を行うことができる。このASPT値は1〜10までの値で示され、値が高いほど、汚濁の程度が少なく自然状態に近いなど、人為影響も少ない河川環境であることを示している。
この評価方法により、18年度には鬼怒川・小貝川水系の16地点の調査を実施した。その結果、最も評価の高かったのは、大谷川の開進橋でASPT値は8.2、最も低かったのは、志渡渕川の筋違橋でASPT値は5.1であった。(表2−1−20)
表2−1−20 鬼怒川・小貝川水系各地点における底生動物による河川水質評価一覧
No. |
河川名 |
地点名 |
ASPT値 |
No. |
河川名 |
地点名 |
ASPT値 |
1 |
板穴川 |
末流 |
7.6 |
9 |
田川下流 |
梁橋 |
5.9 |
2 |
湯川 |
末流 |
7.9 |
10 |
赤堀川 |
木和田島 |
7.1 |
3 |
大谷川 |
開進橋 |
8.2 |
11 |
五行川 |
桂橋 |
7.8 |
4 |
志渡渕川 |
筋違橋 |
5.1 |
12 |
野元川 |
末流 |
7.5 |
5 |
西鬼怒川 |
西鬼怒橋 |
6.9 |
13 |
行屋川 |
常盤橋 |
6.3 |
6 |
江川上流 |
高宮橋 |
6.1 |
14 |
鬼怒川 |
鬼怒橋 |
7.4 |
7 |
江川下流 |
末流 |
6.6 |
15 |
鬼怒川 |
川島橋 |
7.8 |
8 |
田川中流 |
明治橋 |
5.7 |
16 |
小貝川 |
三谷橋 |
6.4 |
(注)調査は、5月と11月に実施した。
(3) 湖沼水質の現況
ア 概況
近年、全国的な傾向として、窒素、りん等の栄養塩類が湖沼へ流入することにより、植物プランクトン等が大量繁殖し、水質の悪化や魚類のへい死、上水道における異臭味の発生等の障害が生じる富栄養化現象が見受けられる。
湖沼の水質についての環境基準は、生活環境項目に加え、富栄養化の原因となる窒素、りんについても設定されており、本県ではそれぞれの湖沼の特性に応じて中禅寺湖はAA類型・T類型(全りんのみ)、湯の湖はA類型・V類型、深山ダム貯水池はAA類型・T類型(全りんのみ)、川治ダム貯水池はAA類型・U類型にそれぞれ類型指定されている。
また、15年3月に川俣ダム貯水池(A類型・U類型(全りんのみ))が新たに類型指定を受けた。
イ 各湖沼の水質
(ア) 中禅寺湖の水質
中禅寺湖は面積11.5ku、最大水深163m、湖水の滞留日数は約6年で、標高1,269mに位置している天然堰止め湖であり、湖沼としては貧栄養湖に属している。
COD(湖心:表層75%値)は1.5r/ℓ(基準値1r/ℓ)、全りん(湖心:表層)は0.008r/ℓ(基準値0.005r/ℓ)であり、いずれも環境基準を達成しておらず、過去5年間を見るとほぼ横ばいで推移している。(図2−1−22)
(イ) 湯の湖の水質
湯の湖は面積0.35ku、最大水深14.5mで標高1,478mに位置している天然堰止め湖である。湖水の滞留日数は約30日で、水深も浅く、富栄養化しやすい湖沼といえる。
COD(湖心:全層75%値)は2.4r/ℓ(基準値3r/ℓ)、全窒素(湖心:表層)は0.42r/ℓ(基準値0.4r/ℓ)、全りん(湖心:表層)は0.022r/ℓ(基準値0.03r/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。過去5年間で見ると、COD、全窒素、全りんともほぼ横ばいで推移している。(図2−1−23)

(ウ) 人工湖の水質
人工湖の水質状況を把握するため、「公共用水域の水質測定計画」に基づき、5貯水池について調査を実施している。
深山ダム貯水池では、COD(75%値)は0.9r/ℓ(基準値1r/ℓ)、全窒素は0.40r/ℓ(基準値0.1r/ℓ)、全りんは0.006r/ℓ(基準値0.005r/ℓ、H18暫定目標値0.011r/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。
川治ダム貯水池では、COD(75%値)は1.7r/ℓ(基準値1r/ℓ、H18暫定目標値2r/ℓ)、全窒素は0.51r/ℓ(基準値0.2r/ℓ、H18暫定目標値0.32r/ℓ)、全りんは0.007r/ℓ(基準値0.01r/ℓ、H18暫定目標値0.021r/ℓ)であり、全りんは環境基準を達成している。
川俣ダム貯水池では、COD(75%値)は1.5r/ℓ(基準値3r/ℓ)、全窒素は0.36r/ℓ(基準値0.2r/ℓ)、全りんは0.005r/ℓ(基準値0.01r/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。(図2−1−24)
その他の人工湖の水質については、いずれも前年度並みであった。

(4) 地下水水質の現況
ア 概況
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等による地下水汚染については、新たに2地区で汚染が確認され、7地区で汚染が終息し、19年3月末現在で地下水汚染の地区数は、81地区となっている。なお、昭和60年度からの累計では、19年3月までに140地区の汚染が確認され、そのうち59地区の汚染が終息している。
イ 地下水水質の状況
県内の地下水の水質汚濁の状況を監視するため、「水質汚濁防止法」に基づき策定した「地下水の水質測定計画」により、実態把握のための概況調査及び汚染地区の監視のための定期モニタリング調査を実施した。
(ア) 概況調査結果
県内133地点で概況調査を実施したところ、6地点(鹿沼市、小山市、真岡市、下野市、那珂川町)で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について環境基準を達成しなかった。
(イ) 定期モニタリング調査結果
地下水汚染が確認されている地区において、汚染状況の監視のための定期モニタリング調査を実施した。その結果、テトラクロロエチレンの汚染があった1地区(野木町)において汚染の拡大が見られた。
(ウ) その他の調査による汚染の確認
鹿沼市でトリクロロエチレン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の汚染を新たに確認した。
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