第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第7節 廃棄物処理対策の推進

廃棄物の処理状況


 概況

一般廃棄物
○17年度の県内の一般廃棄物(ごみ)のほとんどが、市町村等により処理されている。
○市町村等がごみ処理に要した年間の経費は、約253億円で、うち、建設・改良費が約56億円、処理・維持管理費等が約197億円となっている。
○17年度のし尿及び浄化槽汚泥の総排出量は約42万9千klであり、そのほとんどが市町村等の設置するし尿処理施設で処理されている。
産業廃棄物
○17年度に県内の産業廃棄物の量(農業、鉱業からの排出量を除く。)は、約399万tであり、 16年度の379万tに比べ約5%増加した。
○このうち、中間処理などによって約9割を超える量が減量化や資源化され、残った約10万t (2.5%)について埋立てなどの最終処分が行われた。
最終処分率は、ほとんどの種類で10%未満となっているが、廃プラスチック類並びにガラス・コンクリート及び陶磁器くずについては、21.9%と比較的高くなっている。
○県内における産業廃棄物処理施設の設置数は、中間処理386施設、最終処分場44施設(うち残余容量があるのは19施設)となっている。
(不法投棄)
○県内の17年度における10t以上の産業廃棄物の不法投棄件数は25件であり、投棄量は6,794tであった。

(1) 一般廃棄物

 一般廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、市町村の自治事務となっている。
  一般廃棄物は、家庭から排出されたごみ及びし尿が主体であり、収集されたごみ及びし尿の大部分は、市町村又は一部事務組合(以下「市町村等」という。)の処理施設で衛生的に処理されている。

ア ごみ処理の状況

  17年度のごみの総排出量は、年間約78万7千tにのぼり、集団回収された約3万2千tを除く約75万5千tが市町村等により処理されている。(図2−1−49)

イ ごみ処理施設の状況

 17年度末におけるごみ処理施設の処理能力は、2,783t/日である。     
  市町村等がごみ処理に要した年間の経費は、総額約252億95百万円で、その内訳は、建設・改良費が約56億5百万円(22.2%)であり、処理及び維持管理費等は約196億90百万円 (77.8%)となっている。

最終処分の状況

  17年度の最終処分量は約8万6千tで、排出量に占める割合(最終処分率)は10.9%となっている。(表2−1−54、図2−1−50)

表2−1−54 最終処分の状況                        (単位:t)
区分 12 13 14 15 16 17
総排出量 757,362 771,078 788,381 790,450 779,834 787,219
最終処分量 86,989 82,541 79,622 78,631 82,249 85,688
最終処分率 11.5% 10.7% 10.1% 9.9% 10.5% 10.9%

図2−1−50 ごみの最終処分率の推移
 

エ し尿処理の状況

  17年度のし尿及び浄化槽汚泥の総排出量は約42万9千k?であり、そのほとんどが市町村等の設置するし尿処理施設で処理されている。(図2−1−51)            
  また、し尿処理に要した年間の経費は、総額約40億58百万円で、その内、建設・改良費が約33百万円(0.8%)であり、処理及び維持管理費は約40億25百万円(99.2%)となっている。

浄化槽の設置状況

  浄化槽は、毎年5千基前後が設置されている。なお、13年4月から、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽の設置が義務付けられ、し尿のみを処理する単独処理浄化槽の新設ができなくなっている。(図2−1−52)

図2−1−52 新設浄化槽の設置状況

(2) 産業廃棄物

  産業廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、排出事業者自らの責任において適正に処理することとされている。

ア 処理の状況

  17年度に県内の工場、事業場等から排出された産業廃棄物の量(農業、鉱業からの排出量を除く。)は、約399万tと推計される。近年排出量は増加傾向にあり、16年度は若干前年度を下回ったが、17年度は再び上昇に転じた。このうち、中間処理などによって約9割を超える量が減量化や資源化され、残った約10万t(2.5%)について埋立てなどの最終処分が行われた。
 なお、本県には管理型最終処分場が設置されていないため、その処分を他県に依存している。

最終処分の状況

  17年度の最終処分率は2.5%であり、種類別では、ほとんどが10%未満だが、廃プラスチック類、ガラス・コンクリート及び陶磁器くずについては、ともに21.9%と高い率となっている。
(図2−1−53、図2−1−54)

図2−1−53 産業廃棄物の最終処分率の推移(農業・鉱業に係るものを除く)

図2−1−54 産業廃棄物の種類別処理状況(農業・鉱業に係るものを除く)(17年度)

産業廃棄物処理施設の設置状況

  17年度末の中間処理施設は386施設あり、事業者が設置しているものが58施設、処理業者が設置しているものが328施設である。事業者が設置しているものでは脱水・乾燥施設(36施設、2,225t/日)、焼却施設(16施設、189t/日)が多く、処理業者が設置しているものでは破砕・切断施設(207施設、60,180t/日)、焼却施設(24施設、587t/日)が多い。(表2−1−55)
  安定型最終処分場は、17年度末現在44施設が設置されているが、残余容量があるものは19施設である。処理業者の報告等によれば残余容量は約329万m3であり、16年度末の約142万m3より約187万m3増加した。(表2−1−56)
  産業廃棄物処理業者による産業廃棄物処理施設等の設置に当たっては、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」に基づく事前協議及び廃棄物処理施設等協議会において、技術的な審査及び関係法令の調整を行っている。

表2−1−55 中間処理施設の設置状況(17年度末)

 
事業者 処理業者 合計
施設数 処理能力(t/日) 施設数 処理能力(t/日) 施設数 処理能力(t/日)
焼却   16     189   24     587   40     776
溶融・焼成    -      -   17    1,574   17    1,574
脱水・乾燥   36   2,225    4     626   40    2,851
油水分離・ろ過    1      32    7     868    8     900
中和    1    275   12    1,841   13    2,116
破砕・切断    4     665   207   60,180   211   60,845
堆肥化    -      -   17    1,126   17    1,126
固形化    -      -    4     450    4     450
圧縮・減容    -     -   20    1,217   20    1,217
その他    -      -   16    2,687   16    2,687

合計

  58    3,386   328   71,156   386   74,542

(注)事業者の設置数は廃棄物処理法の許可対象施設のみの数、処理業者の設置数は、許可対象外の施設数を含む。
 

表2−1−56 安定型最終処分場の設置状況
年度   施設数 残余容量 (千m)
12    45 (26) 1,756    
13    48 (28) 2,261    
14    46 (28) 2,334    
15    47 (26) 2,016    
16    44 (19) 1,416    
17    44 (19) 3,285    

(注)施設数の( )書きは、残余容量のある処分場の数(内数)である。

産業廃棄物処理業の許可状況

  産業廃棄物の収集・運搬、中間処理(焼却、破砕等)及び最終処分(埋立)の業を行おうとする者は、知事(宇都宮市長)の許可を受けなければならないこととされている。
  17年度末現在、栃木県知事の産業廃棄物収集運搬業の許可を有する者は3,319業者で、そのうち1,428業者は、県内に主たる事務所を有する業者である。(表2−1−57)
  また、栃木県内で産業廃棄物中間処理業の許可を有する者は178業者、産業廃棄物最終処分業の許可を有する者は18業者である。

表2−1−57 産業廃棄物処理業者の許可状況
  13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
産業廃棄物収集運搬業 2,378 2,831 3,048 3,215 3,319
  県内 961 1,080 1,115 1,092 1,428
県外 1,417 1,751 1,933 2,123 1,891
産業廃棄物処分業 171 174 182 175 177
宇都宮市 22 22 21 21 19
  中間処理
 
143 150 159 155 160
宇都宮市 21 21 20 20 18
最終処分 28 24 22 20 17
宇都宮市 1 1 1 1 1
特別管理産業廃棄物収集運搬業 295 335 329 352 357
  県内 63 65 52 54 68
県外 232 270 277 298 289
特別管理産業廃棄物
処分業
5 5 4 4 5
宇都宮市 1 1
  中間処理
 
5 5 4 4 5
宇都宮市 1 1
最終処分
宇都宮市

(注) 1 収集運搬業については、県許可業者と宇都宮市許可業者のほとんどが重複していることから、県許可業者数のみを計上した。
   2 処分業については、県許可業者と宇都宮市許可業者数を計上した。
   3 「県内」とは、主たる事務所が県内にある処理業者をいい、それ以外を「県外」という。

産業廃棄物処理業者の処理実績

  産業廃棄物処理業者の17年度の処理実績は次のとおりである。

(ア) 産業廃棄物収集運搬業者実績

  産業廃棄物収集運搬業者によって県外から搬入された産業廃棄物は約140万t(中間処理目的約124万t、最終処分目的約16万t)、一方、県内から県外に搬出された産業廃棄物は約60万t(中間処理目的約54万t、最終処分目的約6万t)である。(表2−1−58)

(イ) 産業廃棄物処分業者実績

  県内の中間処理業者が処理した産業廃棄物は約375万tである。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約231万t、県外の事業者からの受託量が約144万tとなっている。
  県内の最終処分業者が処理した産業廃棄物は約25万tである。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約6万t、県外の事業者からの受託量が約18万tとなっている。(表2−1−59)

表2−1−58 収集運搬業者の運搬地域別処理実績(17年度)      (単位:千t)
区分 県内→県内 県内→県外 県外→県内 合計
中間処理目的 1,982 535 1,239 3,756
最終処分目的 33 61 161 255
2,015 596 1,400 4,011

(注) 各項目毎に四捨五入しているため合計は内訳と一致しない。
 

表2−1−59 処分業者の排出地域別処理実績(17年度)  (単位:千t)

区分
県内排出 県外排出
合計
  割合 (%)   割合(%)
中間処理業者 2,311 61.6 1,440 38.4 3,751
最終処分業者 64 25.9 183 74.1 247

(3) 不法投棄の状況

  廃棄物の不法投棄の発生件数は依然として高水準で推移し、特に産業廃棄物の不法投棄については、夜間に短時間で投棄・覆土したり、管理者が不在となった廃工場等に投棄する、又は廃棄物を有価物と称して大量に持ち込むなど、より一層組織化・巧妙化する傾向にある。
  県内の17年度における10t以上の産業廃棄物の不法投棄件数は25件であり、投棄量は6,794tであった。(表2−1−60)

表2−1−60 不法投棄の状況
区分 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
産業廃棄物不法投棄件数(件) 30 29 53 27 40 25
産業廃棄物不法投棄量(t) 2,216 3,008 6,159 7,545 17,567 6,794

(注)投棄件数及び投棄量は県が把握した産業廃棄物の不法投棄のうち1件当たりの投棄量が10t以上の事案を集計対象とした。