第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第7節 廃棄物処理対策の推進

1 廃棄物の処理状況

(1)一般廃棄物

一般廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、市町村の自治事務となっている。
 一般廃棄物は、家庭から排出されたごみ及びし尿が主体であり、収集されたごみ及びし尿の大部分は、市町又は一部事務組合(以下「市町等」という。)の処理施設で衛生的に処理されている。

ア ごみ処理の状況
 18年度のごみの総排出量は、年間約78万5千tにのぼり、集団回収された約3万3千tを除く約75万2千tが市町等により処理されている。(図2−1−47)

図2−1−47 ごみ処理のフロー(18年度)

イ ごみ処理施設の状況
 18年度末におけるごみ処理施設の処理能力は、2,911t/日である。
 市町等がごみ処理に要した年間の経費は、総額約229億56百万円で、その内訳は、建設・改良費が約31億2百万円(13.6%)であり、処理及び維持管理費等は約198億40百万円(86.4%)となっている。
ウ 最終処分の状況
18年度の最終処分量は約8万4千tで、排出量に占める割合(最終処分率)は10.7%となっている。(表2−1−60、図2−1−48)
表2−1−60 最終処分の状況  (単位:t)
区分 12 13 14 15 16 17 18
総排出量 787,362 771,078 788,381 790,450 779,834 787,219 784,896
最終処分 86,989 82,541 79,622 78,631 82,249 85,688 84,297
最終処分 11.5% 10.7% 10.1% 9.9% 10.5% 10.9% 10.7%

図2−1−48 ごみの最終処分率の推移

エ し尿処理の状況
 18年度のし尿及び浄化槽汚泥の総排出量は約40万5千㎘であり、そのすべてが市町村等の設置するし尿処理施設で処理されている。
 また、し尿処理に要した年間の経費は、総額約38億66百万円で、その内、建設・改良費が約70百万円(1.8%)であり、処理及び維持管理費は約37億96百万円(98.2%)となっている。
オ 浄化槽の設置状況
 浄化槽は、毎年5千基前後が設置されているが、13年4月から、し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽の設置が義務付けられ、し尿のみを処理する単独処理浄化槽の新設ができなくなった。(図2−1−49)

図2−1−49 新設浄化槽の設置状況


(2)産業廃棄物

産業廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、排出事業者自らの責任において適正に処理することとされている。

ア 処理の状況
 18年度に県内の工場、事業場等から排出された産業廃棄物の量(農業、鉱業からの排出量を除く)は、約401万tと推計される。近年排出量は増加傾向にあり、18年度は前年度を上回った。このうち、中間処理などによって約9割を超える量が減量化や資源化され、残った約10万t(2.6%)について埋立てなどの最終処分が行われた。
 なお、本県には管理型最終処分場が設置されていないため、その処分を他県に依存している。
イ 最終処分の状況
 18年度の最終処分率は2.6%であり、種類別では、ほとんどが10%未満だが、廃プラスチック類21.8%、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず20.7%については高い率となっている。(図2−1−50、図2−1−51)

図2−1−50 産業廃棄物最終処分率の推移(農業・鉱業に係るものを除く)


図2−1−51 産業廃棄物の種類別処理状況(農業・鉱業に係るものを除く)(18年度)

ウ 産業廃棄物処理施設の設置状況
 18年度末の中間処理施設は404施設あり、事業者が設置しているものが50施設、処理業者が設置しているものが354施設である。事業者が設置しているものでは脱水・乾燥施設(30施設、1,862t/日)、焼却施設(14施設、190t/日)が多く、処理業者が設置しているものでは破砕・切断施設(223施設、64,811t/日)、焼却施設(24施設、586t/日)が多い。(表2−1−61)
 安定型最終処分場は、18年度末現在46施設が設置されているが、残余容量があるものは16施設である。処理業者の報告等によれば残余容量は約312万‰であり、17年度末の約328万‰より約16万‰減少した。(表2−1−62)
 産業廃棄物処理業者による産業廃棄物処理施設等の設置に当たっては、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」に基づく事前協議及び廃棄物処理施設等協議会における技術的な審査及び関係法令の調整を行っている。

表2−1−61 中間処理施設の設置状況(18年度末)
  事業者 処理業者 合計
施設数 処理能力(t/日) 施設数 処理能力(t/日) 施設数 処理能力(t/日)
焼却 14 190 24 586 38 776
溶融・焼成 - - 16 4,770 16 4,770
脱水・乾燥 30 1,862 5 649 35 2,511
油水分離・ろ過 1 32 8 966 9 998
中和 1 262 12 1,773 13 2,035
破砕・切断 4 665 223 64,811 227 65,476
堆肥化 - - 19 1,181 19 1,181
固形化 - - 5 628 5 628
圧縮・減容 - - 24 2,723 24 2,723
その他 - - 18 3,379 18 3,379
合計 50 3,011 354 81,466 404 84,477
(注) 事業者の設置数は廃棄物処理法の許可対象施設のみの数、処理業者の設置数は、許可対象外の施設数を含む。

表2−1−62 安定型最終処分場の設置状況
年度 施設数 残余容量(千m3
13 48(28) 2,261
14 46(28) 2,334
15 47(26) 2,016
16 44(19) 1,416
17 45(21) 3,285
18 46(16) 3,122

(注)施設数の( )書きは、残余容量のある処分場の数(内数)である。


エ 産業廃棄物処理業の許可状況
 産業廃棄物の収集・運搬、中間処理(焼却、破砕等)及び最終処分(埋立)の業を行おうとする者は、知事(宇都宮市長)の許可を受けなければならないこととされている。
 18年度末現在、栃木県知事の産業廃棄物収集運搬業の許可を有する者は3,211業者で、そのうち1,891業者は、県内に主たる事務所を有する業者である。(表2−1−63)
 また、栃木県内で産業廃棄物中間処理業の許可を有する者は209業者、産業廃棄物最終処分業の許可を有する者は16業者である。
表2−1−63 産業廃棄物処理業者の許可状況
区分 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
産業廃棄物収集運搬業 2,831 3,048 3,215 3,319 3,211
  県内 1,080 1,115 1,092 1,428 1,891
県外 1,751 1,933 2,123 1,891 1,320
産業廃棄物処分業 174 182 175 177 192
宇都宮市 22 21 21 19 33
  中間処理 150 159 155 160 177
宇都宮市 21 20 20 18 32
最終処分 24 22 20 17 15
宇都宮市 1 1 1 1 1
特別管理産業廃棄物収集運搬業 335 329 352 357 360
  県内 65 52 54 68 93
県外 270 277 298 289 267
特別管理産業廃棄物処分業 5 4 4 5 5
宇都宮市 1 1 1
  中間処理 5 4 4 5 5
宇都宮市 1 1 1
最終処分
宇都宮市
(注) 収集運搬業については、県許可業者と宇都宮市許可業者のほとんどが重複していることから、県許可業者数のみを計上した。
処分業については、県許可業者と宇都宮市許可業者数を計上した。
「県内」とは、主たる事務所が県内にある処理業者をいい、それ以外を「県外」という。

オ 産業廃棄物処理業者の処理実績

産業廃棄物処理業者の18年度の処理実績は次のとおりである。

(ア)産業廃棄物収集運搬業者実績
 産業廃棄物収集運搬業者によって県外から搬入された産業廃棄物は約133万t(中間処理目的約116万t、最終処分目的約17万t)、一方、県内から県外に搬出された産業廃棄物は約54万t(中間処理目的約50万t、最終処分目的約4万t)である。(表2−1−64)
(イ)産業廃棄物処分業者実績
 県内の中間処理業者が処理した産業廃棄物は約362万tである。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約220万t、県外の事業者からの受託量が約142万tとなっている。
 県内の最終処分業者が処理した産業廃棄物は約30万tである。その内訳は、県内の事業者からの受託量が約6万t、県外の事業者からの受託量が約24万tとなっている。(表2−1−65)
表2−1−64 収集運搬業者の運搬地域別処理実績(18年度) (単位:千t)
区分 県内→県内 県内→県外 県外→県内 合計
中間処理目的 1,439 501 1,157 3,097
最終処分目的 75 41 175 292
1,514 542 1,332 3,389
(注) 各項目毎に四捨五入しているため合計は内訳と一致しない。

表2−1−65 処分業者の排出地域別処理実績(18年度) (単位:千t)
区分 県内排出 県外排出 合計
  割合 (%)   割合 (%)
中間処理業者 2,199 60.7 1,425 39.3 3,624
最終処分業者 56 18.8 242 81.2 298

(3)不法投棄の状況

廃棄物の不法投棄の発生件数は依然として高水準で推移し、特に産業廃棄物の不法投棄については、夜間に短時間で投棄・覆土したり、管理者が不在となった廃工場等に投棄する、又は廃棄物を有価物と称して大量に持ち込むなど、より一層組織化・巧妙化する傾向にある。
 県内の18年度における10t以上の産業廃棄物の不法投棄件数は39件であり、投棄量は4,393tであった。(表2−1−66)

表2−1−66 不法投棄の状況
区分 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
産業廃棄物不法投棄件数(件) 29 53 27 40 25 39
産業廃棄物不法投棄量(t) 3,008 6,159 7,545 17,567 6,794 4,393
(注) 投棄件数及び投棄量は県が把握した産業廃棄物の不法投棄のうち1件当たりの投棄量が10t以上の事案を集計対象とした。

2 廃棄物処理対策

(1)一般廃棄物処理対策

一般廃棄物の質の多様化と量の増大に対応するためには、ごみの減量化・再生利用を促進するとともに施設の整備促進及び維持管理面の指導を強化する必要があることから、19年度は、次のことを重点的に指導した。

ア ごみ処理の適正化の推進
(ア)ごみの適正処理の指導
 市町等に対し、ごみ処理施設及び最終処分場の整備について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。
(イ)ごみ処理の広域化の推進
a 広域化の計画の概要(栃木県廃棄物処理計画)
  • 広域行政圏を基礎とした10の地域ブロックを設定
  • 設定した地域ブロック内の既存施設の稼働状況や更新時期等を踏まえ、整備時期を3グループ化
b 市町等の廃棄物処理施設の広域化の推進
 14年12月から22年度を目途に施設整備を進める第2期グループの地域ブロックに対し、助言・指導を行った。
イ 散乱ごみ対策
(ア)とちぎの環境美化県民運動
 本県では、「環境美化キャンペーン」(昭和57〜17年度)を始めとして、数多くの環境美化活動に取り組んできたが、空き缶等のポイ捨ては後を絶たず、環境美化はもとより資源の有効利用の観点からも、一層の意識啓発と実践が求められている。
 8年度からは、県民一人ひとりの実践によって、地域環境の美化と資源の有効利用を推進するとともに、環境美化活動を通して地域社会における県民の交流や協力を深め、“とちぎの人間力”の形成に資するため、毎年5月の最終日曜日を「県民統一行動日」に設定し、県と市町との連携、協力の下、散乱ごみ収集の県下一斉実施等を行う「とちぎの環境美化県民運動」を実施している。19年度は5月27日(日)を県民統一行動日に設定した。(表2−1−67)
表2−1−67 県民統一行動日の取組結果(19年度)
散乱ごみ等一斉収集及びごみの持ち帰り運動 参加人員 227,927人
散乱ごみ等収集量 223.45トン
県・市町連携行動(栃木市) 参加人員 400人
散乱ごみ等収集量 3.5トン


(イ)ごみの散乱防止と再資源化を進めるためのポスター・標語コンテスト
 19年度も全市町及び関係諸団体の協力を得て、県内全域での散乱ごみの一斉収集・啓発活動及び小・中・高校生を対象としたポスター・標語の募集を実施した。(表2−1−68)
 ○ 19年度ごみの散乱防止と再資源化を進めるための標語コンテスト
  最優秀作品
  (小学校低学年) 「これリサイクル?」家族みんなの 合い言葉
  (小学校高学年) 捨てないで! いつでも意識は リサイクル
  (中学校)      僕達の 未来を変える リサイクル
表2−1−68 ポスター・標語(19年度)
区分 ポスター 標語
応募学校数 応募者数 応募学校数 応募者数
小学校 143 2,021 74 2,320
中学校 56 984 7 1,121
高等学校 5 42 0 0
合計 204 3,047 81 3,441

ウ 浄化槽の適正な維持管理の推進

浄化槽に関しては、「浄化槽法」及び「栃木県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」に基づき、保守点検業者への立入検査を実施し、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。浄化槽管理者(設置者)に対しては、浄化槽法11条検査の周知を図り、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。


(2)産業廃棄物処理対策

産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、汚泥、廃プラスチック類等20種類である。これらの廃棄物は、排出事業者の責任において適正に処理しなければならないが、無許可業者による不適正な処理の事例も見受けられるので、更に適正処理の推進について監視指導の強化を図る必要がある。

ア 産業廃棄物適正処理対策
(ア)県内に立地している排出事業者の立入検査
 18年度は、産業廃棄物処理施設を設置している排出事業者など県内に立地している事業所(自社処分場を含む。)を対象に965件の立入検査を実施し、産業廃棄物の発生状況、保管状況、処理処分及び委託の方法等について監視指導を行った。
(イ)中間処理最終処分業者の立入検査
 18年度は、処理業者の設置している焼却施設等の中間処理施設及び最終処分場を対象に、延べ916件の立入検査を実施し、適正な維持管理の確保について監視指導を行った。
(ウ)指導状況等
 18年度に排出事業者及び処理業者に対し1,881件の立入検査を実施し、指導した結果、そのうち176件の文書指導(勧告)を行った。
また、実績報告等3,512件の報告の徴収並びに4件の産業廃棄物処理業許可の取消及び5件の産業廃棄物処理業停止を命じた。
今後も、排出事業者、処理業者双方に産業廃棄物の適正な処理、処分について指導していく。(表2−1−69、表2−1−70)
表2−1−69 産業廃棄物関係立入検査結果(18年度)
  立入検査件数 口頭指導件数 文書指導件数
排出事業者 965 207 95
処理業者 916 186 81
1,881 393 176

表2−1−70 行政処分の状況(18年度)
処分内容 件 数 根拠
1 産業廃棄物管理票の使用等に関する勧告 法第12条の6
2 産業廃棄物収集運搬業許可申請不許可処分 7 法第14条第3項
3 産業廃棄物収集運搬業許可取消し 3 法第14条の3
4 産業廃棄物収集運搬業停止命令 3
5 産業廃棄物処分業許可取消し 1
6 産業廃棄物処分業停止命令 2
7 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可取消し 法第14条の6
8 特別管理産業廃棄物収集運搬業停止命令
9 特別管理産業廃棄物処分業許可取消し
10 特別管理産業廃棄物処分業停止命令
11 産業廃棄物処理施設許可取消し等 1 法第15条の3第1項
12 産業廃棄物処理施設の停止命令 3 法第15条の2の6
13 事業者からの報告徴収 14 法第18条
14 処理業者からの報告徴収 3,512
15 改善命令 3 法第15条の2の6
16 改善命令 2 法第19条の3
17 措置命令 法第19条の5
18 措置命令 法第19条の6
19 告発  
(注) 1 同一業者が2以上の行政処分等を受けた場合は件数は、それぞれ計上している。
2 処理業者からの報告徴収には、全処理業者を対象とした実績報告を含む。
3 根拠条文は、17年度当時のものである。

(エ)「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」による指導
 廃棄物の適正処理を推進し生活環境の保全を図るため、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」により、廃棄物処理施設を設置する際の事前手続等について、指導を行っている。
(オ)公共関与による産業廃棄物処理施設の整備
 県内に産業廃棄物の管理型最終処分場がなく、民間事業者による設置が極めて困難な状況にあることなどから、県営最終処分場の整備を進めている。
イ ポリ塩化ビフェニル廃棄物対策

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、ポリ塩化ビフェニ
ル(以下「PCB」という。)廃棄物を保管する事業者は、PCB廃棄物の保管等の状況を都道府県知事等に毎年度届け出るとともに、28年7月までにこれを適正に処分しなければならないこととされている。
 本県では、法律の趣旨やPCB廃棄物の適切な保管についてホームページ等を利用し、県民に幅広く周知するとともに、届出のあった保管等の状況を管理し、一般の閲覧に供している。
 PCB廃棄物の処理については、国のPCB廃棄物処理基本計画により、日本環境安全事業(旧環境事業団)が整備する5地域の広域処理施設で処理することとされている。日本環境安全事業では、既に福岡県北九州市、愛知県豊田市、東京都江東区、大阪府大阪市の4事業所で処理を開始している。
 本県内の事業者が保管しているPCB廃棄物については、北海道室蘭市に設置される広域処理施設で処理をすることとなっており、20年度から順次処理が開始される予定である。
 19年度は、処理施設の稼働が近づき、より具体的な事務手続きが定まってきたことから、県内PCB廃棄物保管事業者を対象に、「PCB廃棄物保管事業者向け説明会」を行った。

ウ 土砂等適正処理対策

建設残土等の処理に伴う有害物質の混入や無秩序な埋立てに対する不安等によるトラブルが発生していた状況を踏まえ、県民生活の安全の確保と生活環境の保全のため、11年4月に「栃木県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」を施行した。
 また、土砂等の埋立て等に関する事業(特定事業)の一層の適正化を図るため、条例を一部改正し、18年7月から施行した。これにより、県内の市町が県条例対象規模面積以上の特定事業についても所管することが可能となった。
 19年度末において、県条例対象規模面積以上の特定事業について所管している市町は、宇都宮市(旧河内町・上河内町を含む。)、大田原市(旧黒羽町・湯津上村を含む。)、栃木市の3市になる。

エ 産業廃棄物関係諸団体

産業廃棄物を適正に処理するためには、産業廃棄物処理業者の資質の向上、産業廃棄物に関する知識の普及啓発並びに産業廃棄物の適正処理及び再生利用に関する調査研究、研修、情報収集等の推進が必要である。
 これらの諸活動を主目的として、(財)栃木県環境保全公社及び(社)栃木県産業廃棄物協会が組織されており、それぞれが、調査研究活動や研修会等により、産業廃棄物の適正な処理及び再生利用等に向けて活動を展開している。
 県は、両団体の運営等について適正な指導監督を行うとともに、諸事業について必要な援助を行っている。


(3)不法投棄対策

不法投棄に対しては、市町村、警察、近隣自治体等関係機関との連携による監視体制の強化を図るとともに、地域住民や関係団体等の協力も得ながら、不法投棄の未然防止、早期発見・早期対応のため次のような対策を実施した。

ア 廃棄物監視員市町村交付金
 不法投棄、不適正処理の防止及び最終処分場の適正な維持管理を確保するため、廃棄物監視員を設置する市町に対し、その経費の一部を補助する廃棄物監視員市町村交付金を交付している。
 なお、19年度は、24市町に交付した。
イ 不法投棄の監視委託等
 不法投棄が多発する夜間・休日の監視パトロール、ヘリコプターを利用したスカイパトロールを実施することにより、不法投棄の未然防止及び原因者の特定の円滑化を図っている。
 また、13年度からは監視カメラ、15年度からはGPSを利用した廃棄物処理検証システムを導入するなど、不法投棄対策の強化を図っている。
ウ 関係機関との連携
 東京電力(株)栃木支店、(社)栃木県産業廃棄物協会及び栃木県森林組合連合会と「不法投棄等の情報提供に関する協定書」を締結し、関係機関の職員が勤務中に不法投棄等を発見した場合、随時、県及び市町に情報提供をするなど早期発見・早期対応を図っている。
エ 栃木県環境保全対策基金
 産業廃棄物の適正処理を促進するとともに、産業廃棄物の処理に起因する損害に対し補償を行うため、(社)栃木県産業廃棄物協会に昭和63年度に創設された栃木県環境保全対策基金の造成状況は次のとおりである。
 基金造成額(19年度末現在)約4億円
オ 産業廃棄物不法投棄緊急対策事業
 産業廃棄物の不法投棄等による生活環境保全上の支障の未然防止のために、応急的緊急的措置を実施するための基金を12年度に(社)栃木県産業廃棄物協会に造成した。
 基金造成額(19年度末現在)約7千7百万円