第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第3章 地球環境の保全に貢献する社会づくり

第2節 オゾン層保護対策の推進

1 我が国の取組

大気中に放出されたフロン類等がオゾン層を破壊し、人の健康や生態系に重大な影響を及ぼすことが懸念されている。
 国際的な合意であるウィーン条約及びモントリオール議定書の採択に併せて、昭和63年(1988年)には、オゾン層破壊物質の生産や輸出入の規制、排出抑制の努力義務などを取り決めた「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)」が制定された。
 その後、13年(2001年)6月に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)」が制定され、業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)及びカーエアコン(第二種特定製品)に含まれる冷媒用フロン類の廃棄時の回収・破壊について規定された。また、19年10月には同法が改正され、整備時のフロン類の回収・破壊についても規定された。
 同法では、オゾン層破壊物質、地球温暖化物質であるCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の他、地球温暖化物質であるHFC(ハイドロフルオロカーボン)が対象物質となっている。(表2−3−2)

表2−3−2 オゾン層破壊係数地球温暖化係数
項目 オゾン層破壊係数
(CFC11のオゾン層破壊効果を1とする)
地球温暖化係数
CO2地球温暖化効果を1とする)
CFC 0.6〜1.0 4,600〜14,000
HCFC 0.01〜0.52 120〜2,400
HFC 0 140〜11,700

2 オゾン層保護対策

(1)フロン回収・適正処理の推進

9年1月に「栃木県フロン回収推進協議会」を設立し、回収したフロンの適正処理を積極的に推進している。

ア 業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収

業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)からのフロン類を回収する「第一種フロン類回収業者」の登録が13年12月から開始された。19年度末現在の登録事業者数は689事業者であった。
 第一種フロン類回収業者から報告があった19年度のフロン類の回収量等は、以下のとおりであった。
(表2−3−3)

表2−3−3 第一種特定製品に係るフロン類回収量
項目 平成19年4月1日〜9月30日 平成19年10月1日〜平成20年3月31日  
エアコンディショナー 冷蔵機器
冷凍機器
フロン類の充填量が
50kg以上の
第一種特定製品
エアコンディショナー 冷蔵機器
冷凍機器
合計
整備 廃棄 整備 廃棄 回収量 破壊量
CFC 66kg
(79台)
235kg
(250台)
943kg
(2台)
5kg
(6台)
452kg
(47台)
481kg
(24台)
409kg
(404台)
2,591kg
(812台)
2,051kg
HCFC 12,024kg
(2,349台)
3,869kg
(2,712台)
543kg
(6台)
3,921kg
(607台)
8,656kg
(2,203台)
2,017kg
(215台)
2,595kg
(2,479台)
33,625kg
(10,571台)
19,229kg
HFC 781kg
(172台)
532kg
(908台)
233kg
(2台)
1,241kg
(380台)
331kg
(79台)
3,342kg
(165台)
594kg
(2,255台)
7,054kg
(3,961台)
2,964kg
12,871kg
(2,600台)
4,636kg
(3,870台)
1,719kg
(10台)
5,167kg
(993台)
9,439kg
(2,329台)
5,840kg
(404台)
3,598kg
(5,138台)
43,270kg
(15,344台)
24,244kg

※法改正により年度中に報告様式が変更となったため、9月までの回収量と10月以降の回収量で分けて記載している。
※回収量と破壊量の差分については、再利用量又は年度末の保管量である。

イ 自動車からのフロン類の回収

使用済自動車を引き取り、カーエアコン内の残存フロンを確認する「第二種特定製品引取業者」及びカーエアコンからのフロン類を回収する「第二種フロン類回収業者」の登録が14年4月から開始された。
 なお、カーエアコンからのフロン類の回収等については、17年1月1日から「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に移行されている。
 19年度末現在の登録事業所数は、第二種特定製品引取業が860事業所、第二種フロン類回収業が135事業所であった。
 第二種フロン類回収業者から報告があった18年度のフロン類の回収量及び自動車リサイクル法に基づくフロン類の回収量等は、それぞれ以下のとおりである。(表2−3−4、表2−3−5)

表2−3−4 第二種特定製品に係るフロン類回収量(18年度)
項目 台数 回収量
(a)
年度当初保管量(b) 引渡量
(破壊量)(c)
再利用量(d) 年度末保管量(e)
CFC 382台 152.8kg 313.5kg 89.2kg 223.1kg 154.0kg
HFC 668台 295.4kg 237.1kg 88.9kg 280.6kg 163.0kg
1,050台 448.2kg 550.6kg 178.1kg 503.7kg 317.0kg
(注)(a)+(b)=(c)+(d)+(e)

表2−3−5 自動車リサイクル法に基づくフロン類回収量等(18年度)
項目 台数 回収量
(a)
年度当初保管量(b) 引渡量
(破壊量)(c)
再利用量(d) 年度末保管量(e)
CFC 33,211台 10,735kg 1,364kg 10,599kg 272kg 1,228kg
HFC 51,323台 18,412kg 1,365kg 17,920kg 284kg 1,573kg
84,534台 29,147kg 2,729kg 28,519kg 556kg 2,801kg
(注)(a)+(b)=(c)+(d)+(e)

ウ 家電製品からのフロンの回収

13年度からは「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」により特定家庭用機器に含まれるフロン類については製造業者が回収することとなっている。

(2)県の率先的な取組

「栃木県グリーン調達推進方針」において、県が家電製品等を購入する際には、冷媒等にオゾン層を破壊する物質を使用しない製品を調達することとしており、率先して脱フロン化の推進に取り組んでいる。