第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策
第5章 共通的基盤的施策の展開
第1節 | 環境影響評価の推進 |
1 環境影響評価制度の概要
環境影響評価とは、工業団地や住宅団地の造成等、大規模な開発事業を行う際に、事業の実施が環境に及ぼす影響を事業者があらかじめ調査、予測及び評価し、その結果を事業内容に反映させることにより、環境の保全に適正に配慮しようとするものであり、9年6月に公布された「環境影響評価法」及び11年3月に制定された「栃木県環境影響評価条例」の適切な運用に努めている。
(1)本県の環境影響評価制度の歩み
昭和50年3月 | 「開発事業に対する環境影響評価の実施に関する方針」の策定 |
平成3年4月 | 「栃木県環境影響評価実施要綱」の施行(制度内容面の充実) |
9年6月 | 「環境影響評価法」の制定(法制化・制度内容面の充実) |
11年3月 | 「栃木県環境影響評価条例」の制定 |
6月 | 「環境影響評価法」の施行 |
「栃木県環境影響評価条例」の施行 |
(2)本県の環境影響評価制度の特徴
- ア 対象事業
- 対象事業は、道路、ダム、飛行場、工場・事業場、廃棄物処理施設、住宅団地、工業団地、スポーツ・レクリェーション施設、自動車用テストコース等18種類であり、それぞれ事業を実施する地域に応じて規模要件を設けている。
- イ 評価項目
- 評価項目は、大気質、水質等典型7公害の項目、動植物、生態系等自然環境に係る項目、廃棄物、温室効果ガス等の項目としている。
- ウ 手続の流れ
- 事業者は、まず対象事業に係る環境影響評価を行う方法(環境影響評価の項目や調査、予測及び評価の手法)を記載した「方法書」を作成し、続いて予測及び環境影響評価を行った結果を記載した「準備書」、最後に「環境影響評価書」を作成する。これらはそれぞれ公表し、方法書及び準備書については、住民、市町村長及び知事の意見を聴くこととしている。(図2−5−1)
- エ 住民参加の機会
- 方法書、準備書について、環境の保全の見地からの意見を有する者は、知事に対して意見を提出することができる。また、準備書については、必要に応じて、環境の保全の見地からの意見を直接述べることができる公聴会を開催することとしている。
- オ 事後調査
- 工事着手後の環境の状況を把握するための、いわゆる事後調査に関する計画を評価書の記載事項とし、事業者はこれに従って工事着手後に調査を行い、調査結果を知事に報告することとしている。
- カ 栃木県環境影響評価技術審査会
- 環境影響評価に関する技術的事項を調査審議するために、学識経験者から構成される「栃木県環境影響評価技術審査会」を設置し、知事が方法書及び準備書について意見を述べる際には、審査会の意見を聴くこととしている。
2 環境影響評価の実施状況
19年度は、自動車用テストコースの造成の事業1件について準備書が提出され、環境影響評価条例に基づき公告・縦覧を行い、住民及び関係する市長の意見並びに栃木県環境影響評価技術審査会での審議を踏まえて、環境保全の見地から知事の意見を述べた。また、18年度に環境保全の見地からの知事の意見を述べた廃棄物処理施設に関する方法書1件について、事業内容の変更により対象事業に該当しないこととなった旨の届出書が提出され、同条例に基づき公告を行った。
図2−5−1 栃木県環境影響評価条例に基づく手続の流れ