○栃木県事務決裁及び委任規則の制定について

平成12年3月31日

人第296号

副知事通知

本庁各課室長

各出先機関長

権限配分の見直しについては、栃木県行政改革大綱(第2期)に基づき、事務処理の効率化、権限と責任の明確化の観点から検討を進めてきたが、今般、本庁における担当グループ制の導入等に伴う栃木県行政組織規程(昭和39年栃木県規則第27号)の改正とあわせて、新たに栃木県事務決裁及び委任規則(平成12年栃木県規則第40号。以下「決裁委任規則」という。)が制定され、4月1日から施行されることとなった。

今回の行政組織規程の改正によって、本庁組織においては係制が廃止され、各担当業務を統括する課長補佐等(リーダー)が配置されることとなるが、これらリーダーについては、これまでの係長が担ってきた部下職員の指揮監督という役割に加えて、課室長の補佐職としての職務権限が付与されたところである。また、林務事務所、土木事務所等の出先機関についても、同様の趣旨から所内体制の改編が行われ、各所内組織の長(リーダー)の役割と権限が明確にされたところである。

これは、事務処理の迅速化を図ることはもとより、人員配置の効率性を高め、分権の時代に対応した自律的な執行体制を確立するとともに、職務権限とそれに伴う責任を明確にすることによって、職員の意識改革と職場の活性化を推進することを目的とするものである。

このため、決裁委任規則では、本庁の課室長の決裁事項のうち、軽易な事務や新たな意思決定を伴わない定例的な事務を中心として、課室長を補佐する職員(課内室長、班長、課長補佐等)に大幅に権限を委譲するとともに、大ぐくり化による体制の強化を図った出先機関についても、所長権限の下位職への委譲が行われたところである。さらに、これまで専決と委任とで分かれていた規定が一本化され、簡明な表形式とされたところである。

今回の権限配分の見直しは、昭和45年から昭和46年にかけて栃木県行政合理化審議会の答申に基づき改正を行って以来、29年ぶりの大幅なものである。

貴職におかれては、上述した見直しの趣旨を十分に認識し、所属職員に周知徹底を図り、下記事項に留意して決裁委任規則を適正に運用するとともに、特に、決裁委任規則によって新たに決裁権限が委譲されることとなる職員に対しては、貴職みずからが率先して範を示すなど、その職務権限と責任の重さについてあらためて自覚を促すほか、所属職員一丸となって活力ある職場づくりに努めるよう命により通知する。

なお、これに伴い、昭和46年4月20日付人第79号副知事依命通知(栃木県事務委任規則の制定および栃木県事務決裁規程の一部改正について)は廃止する。

基本的事項

1 決裁委任規則において新たに決裁権限が付与されることとなる職員は、権限の拡大によってそれに伴う責任も増すこと、自らの判断が最終的な県又は知事の意思として対外的な効力をもつことの重要性を再度認識し、県民のニーズや県政全般の動きを常に念頭に置きながら事案の処理にあたること。

2 決裁権者は、事案の処理にあたって独断専行することなく、上司や同僚との連絡調整に努めるとともに、決裁にいたる過程においては自由濶達な議論を心がけ、部下職員の人材育成、能力発揮にも十分に意を用いること。

3 決裁権者を指導監督する立場にある上司は、所掌事務全般の運営状況を常に把握し、進行管理するよう努めること。また、大局的な見地からの包括的な処理方針等を事前に部下である決裁権者に示し、それに基づき円滑な業務運営が行われるよう指揮監督するなど、上級管理職としての職責を十分に発揮すること。

4 決裁委任規則における権限委譲の最大の目的は、課長補佐等の中間管理職の権限と責任の明確化及び事務処理の迅速化にあり、このため、新たに決裁権限を付与された中間管理職の立場にある職員は、従来の事務処理方法に拘泥することなく、与えられた職務権限を積極的に活用して、部下の指導育成と事務処理の効率化に努めること。さらに、上司である上級の管理職員においても、当該趣旨を十分に認識し、権限委譲の効果が減殺されることのないよう、決裁委任規則を適正に運用すること。

第1条(趣旨)関係

1 本規則は、県の行う事務の決裁及び委任に関して必要な事項を定めたものであり、他の法令等に定めがあるものを除き、この規則によること。

2 本規則に定める委任及び専決事項について、追加、変更、削除等の必要が生じた場合、あるいは第8条第11条第2項の規定による特例処理の必要が生じた場合には、そのつど人事課に協議すること。

3 事務処理の迅速化を図り、効率的な執行体制を確立するとともに、県民サービスの向上を推進するため、今後とも、本庁から出先機関、あるいは所属内部における下位職への権限委譲を積極的に進めること。

第2条(定義)関係

1 本規則で用いる用語の意義について定めたものであり、本条各号に掲げる用語を使用する場合には当該各号に定める意味において用いるものである。

2 本条第2号に規定する「専決」は、知事、受任者その他法令に基づき権限を有する者(以下「知事等」という。)の権限に属する事務の一部を、内部的にあらかじめ指定された職の者が常時知事等に代わって決裁するものであり、文書の施行者名は知事等の名義とするのが原則である。ただし、文書の性質及びその内容により、専決権者等の名義を使用することができることとされている(栃木県文書取扱規程(昭和51年栃木県訓令第5号)第29条)

3 本条第4号に規定する「委任」は、知事の権限に属する事務の一部について、受任者が自己の権限と責任において処理するものであり、当然のことながら文書の施行者名は受任者の名義となる。

4 本条第18号に規定する「総括所長補佐等」は、行政組織規程第92条の規定による所長等の職務を代理する職が基本となっているが、それぞれの出先機関の組織形態によって異なる取り扱いをしている場合があるため、名称のみで判断することなく、別表第1の記載内容を十分に確認すること。

5 本条第19号に規定する「所部長」は、局長、部長、副部長、室長など課長級相当職が基本となっている。出先機関の組織形態によって異なる取り扱いとなっている点は4と同様である。

6 本条第20号に規定する「総括所部長補佐」は、局長補佐及び部長補佐のうち総括的に局長又は部長を補佐することを命じられた者をいうものである。

7 本条第21号に規定する「所課長」は、部長、課長などの職のうち課長補佐級相当職が基本となっている。出先機関の組織形態によって異なる取り扱いとなっている点は4と同様であり、特に、同じ職名を使用していても係長級相当職に対しては決裁権限が付与されていないことに注意すること。

第3条(本庁における決裁及び専決)関係

1 本庁においては、課長補佐相当職であるリーダー以上の職に対して課長権限が委譲されているが、総括課長補佐については服務関係事項を中心として専決権限が付与され、リーダーについては各所管業務について専決権限が付与されている。なお、リーダーの中でも、総務主幹、課内室長及び班長については、一般の担当リーダーよりも広い範囲での権限委譲が行われている。

第4条(出先機関における知事の権限に属する事務の専決)第5条(出先機関の長への委任)及び第6条(委任事務の決裁及び専決)関係

1 本庁と同様、課長補佐級相当職以上の職に対して出先機関の長の権限を委譲することが原則とされている。また、総括所長補佐等については服務関係事項を中心として、所部長及び所課長については各所管業務について専決権限が付与されている点も本庁の場合と同様である。なお、出先機関については、組織構成、人員規模などその業務運営の実態に応じた権限配分となっている。

2 出先機関の長に対する権限の委譲は、委任が原則とされ、法令上知事名によらなければならないもの、対外的な表示において知事名が適当なもの等については、専決によることとされている。

3 知事等の権限を出先機関の部長等に直接専決処理させることは、出先機関の長の指揮監督権との関係から極めて限定的な取り扱いとされている。

4 第5条第2項は、知事が特に必要と認めるものについては、本規則を改正することなく、当該事案に限り一時的に委任を留保して、自らが事務処理を行うことができる旨を規定しているものである。

第7条(別表に定められていない事務の決裁及び専決)関係

1 本条の規定は、法令等の制定改廃により本規則の改正が必要となる場合に改正されるまでの間にあって事務の処理が求められるとき、発生の頻度が極めて少ない事案や予期されない事案を処理する必要が生じた場合等にあって、業務の遂行に停滞を来すことがないようにするために、類似の事務の決裁区分に準じて専決することを認めるものである。これは、あくまでも臨時的あるいは一時的な対応であり、恒常的に発生する事務や法令等の制定改廃があった場合には、本規則の改正手続きを経ることが原則である。

2 本条の規定は、専決権限についてのものであり、委任については適用されないことに注意すること。

第8条(専決の特例)及び第11条第2項(代決の特例)関係

1 第8条又は第11条第2項の規定による専決又は代決は、所属内の一部の組織が遠隔地にあるなど本規則に定める決裁区分によることが困難なときに、所属長(これより下位の職を含む。)に付与されている権限の一部を当該遠隔地に勤務する職員の中の適当と認められる者に委譲するような場合に限って特例的に認めるものである。

2 事務執行上これらの規定の適用の必要があると認めるときには、所属長は、指定する事項、指定する吏員及びその理由を明らかにして、あらかじめ総務部長の承認を得なければならない。

第9条(特例事項に関する措置)関係

1 本条では、専決権者及び受任者において、事案が各号に定める要件に該当すると認めるときには、上司の指揮を受けるべきことを定めたものである。重要、異例等の判断は、専決権者及び受任者が自らの責任において行うものであり、処理すべき事案について、自らの職責の範囲にあるか、より上位者の判断を要するか、あるいは他部課等との調整を要するかなど十分に検討のうえ的確な判断をすること。

2 指揮を求められた上司は、より幅広い見地から検討を行い、本規則の規定に照らし自己の決裁すべき事項と判断した場合には自ら決裁し、そうでない場合にはさらに上司の指揮を求めること。

3 専決権者及び受任者は、明らかに自己の権限に係る事項についてまでいたずらに上司の指揮を求めるなど権限委譲の効果を減殺することのないよう、その職務権限と責任を十分に認識すること。

第10条(特例事項に係る事案の処理)関係

1 本条は、権限委譲に伴い、その上司の必要とする情報の不足を補うために、専決権者及び受任者の上司に対する報告義務を規定したものである。

2 専決権者及び受任者は第9条各号に該当する事案が生じた時には速やかに上司に報告することはもとより、それ以外の場合にあっても、上司が必要としている情報については適時適切に報告し、円滑な業務運営に努めなければならない。その際には、情報の取捨選択に心がけ、上司が真に求めている情報を的確に伝えること。

第11条(代決者)関係

1 代決は、決裁権者が不在であって、かつ事案の決定について緊急を要するとき、あるいは定例的な事務処理等で決裁権者の在庁を待つ必要性が低いときに例外的に認められるものであるので、その趣旨を十分に理解して適正な運用を図ること。

2 代決権者及びその順位は次の考え方によって定められたものである。

(1) 決裁権者を補佐する職が置かれている場合は、当該補佐職を第1次代決者とする。ただし、幹事課の企画調整担当、課内室及び班の分担事務においては、総務主幹、課内室長、班長を第1次代決権者とする。

(2) 決裁権者を補佐する職が置かれていない場合は、当該決裁権者の直近下位のポスト職を第1次代決者とする。

(3) 第2次代決者は、(1)(2)と同様の考え方から、第1次代決者の補佐職又は直近下位のポスト職とする。

(4) 代決権を付与する範囲は課長補佐級相当職以上を基本とし、本庁にあってはリーダー、出先機関にあっては所課長までとする。このため、第2次代決権者が存在しない場合がある。

3 代決者の欄に掲げる職の者が複数いる場合には、当該事務を分担する者のみが代決することができるものであること。

第12条(代決の制限)関係

1 本条の運用にあたっては、第9条関係に記載した事項に留意すること。

第15条(回議等の場合の準用)関係

1 本条は、決裁権者の決裁を受けるまでの過程における事務処理について、代決に関する規定の準用を定めたものである。例示すると、部長専決事項について部長の決裁を受けるまでの過程において、課長に代わって総括課長補佐等が決裁する場合、合議を受けるべき者が不在の時にその者に代わって決裁する場合等である。

1 総括所長補佐とは、行政組織規程第91条の4第4項に規定されている所長補佐、場長補佐、園長補佐及び院長補佐をいうものである。

2 行政組織規程第91条の3第2項の規定により、所長の補佐を任ぜられている局長、部長及び室長については、総括所長補佐等と所部長の両方に分類されている。

1 本庁関係及び出先機関関係共通事項のうち服務に関する事務の項に掲げる事務について、総括課長補佐又は総括所長補佐等を2人以上置き、その事務を処理させる者をあらかじめ指定する場合にあっては、原則として職員の服務に関する事務を分担する者を指定すること。

例示すると、職員の出張命令を総括課長補佐が決裁する場合、出張の目的である業務を分担する総括課長補佐ではなく、服務に関する事務を分担する総括課長補佐が決裁することとなる。

2 同じく本庁関係及び出先機関関係共通事項の服務に関する事務の項の職員の旅行命令及びその復命の受理における旅行の日数については、自治研修所で数日単位の研修を受ける場合のように、宿泊を伴わなくとも、当初から連続した日程の出張が予定されているものについては、当該連続した日数分の旅行として取り扱うこと。

栃木県事務決裁及び委任規則の制定について

平成12年3月31日 人第296号

(平成12年3月31日施行)

体系情報
第1編 務/第1章
沿革情報
平成12年3月31日 人第296号