第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第7節 廃棄物処理対策の推進

2 廃棄物処理対策

(1) 一般廃棄物処理対策

一般廃棄物の質の多様化と量の増大に対応するためには、ごみの減量化・再生利用を促進するとともに施設の整備促進及び維持管理面の指導を強化する必要があることから、次のことを重点的に指導した。

ア 栃木県廃棄物処理計画(改定計画)の策定
(ア) 計画改定の背景

栃木県では、14年3月に「栃木県廃棄物処理計画(計画期間;13〜22年度)」を策定し、一般廃棄物や産業廃棄物の減量など、適正処理に関する施策を総合的かつ計画的に推進してきたが、計画の中間年度にあたることや、計画の指針となる「環境大臣が定める国の基本方針」が17年5月に改正されたことを受けて当初計画を見直した。

(イ) 計画目標

a 廃棄物の排出抑制と循環的利用の推進

b 廃棄物の適正処理と処理施設の確保

c 廃棄物処理への信頼の確保と不法投棄の抑止

イ ごみ処理の適正化の推進
(ア) ごみの適正処理の指導

ごみ処理施設及び最終処分場の整備について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。

(イ) ごみ処理の広域化の推進

a 広域化の計画の概要(栃木県廃棄物処理計画)
   (a) 広域行政圏を基礎とした10の地域ブロックを設定した。
   (b) 設定した地域ブロック内の既存施設の稼働状況や
     更新時期等を踏まえ、整備時期を3グループ化した。

b 市町村等の廃棄物処理施設の広域化の推進
   14年12月から22年度を目途に施設整備を進める第2期グループの
   地域ブロックに対し、助 言・指導を行った。

ウ 散乱ごみ対策
(ア) 環境美化キャンペーン

道路や観光地におけるごみ等の散乱は、地域の環境を損なうばかりでなく、収集・運搬の面でも廃棄物行政の大きな課題となっている。このため、関東地方知事会を構成する11都県では、昭和57年から毎年5月30日(ごみゼロの日)を中心に統一した環境美化キャンペーンを展開している。(表2−1−56)

表2−1−56 5月30日(ごみゼロの日)を中心とした一斉収集・啓発の結果(17年度)
一斉収集 参加者 : 262,711人
回収量 : 224.23t
空き缶  51.77t(1,294,161本)
その他 172.46t
啓発資材 ポスター : 2,038枚
リーフレット : 27,280枚
持ち帰り用袋 : 278,000枚
(イ) ごみの散乱防止と再資源化を進めるためのポスター・標語コンテスト

17年度も全市町村及び関係諸団体の協力を得て、県内全域での散乱ごみの一斉収集・啓発活動及び小・中・高校生を対象としたポスター・標語の募集を実施した。(表2−1−57)

○17年度ごみの散乱防止と再資源化を進めるための標語コンテスト・最優秀作品
 (小学校低学年)かっこよく ごみもへんしん リサイクル
 (小学校高学年)最後まで ちゃんと使って リサイクル
 (中学校)   捨てないで 拾う気持ちで 歩くまち


表2−1−57 ポスター・標語の応募状況(17年度)
区  分 ポスター 標語
応募学校数 応募者数 応募学校数 応募者数
小学校 137 1,485 75 1,334
中学校 46 1,157 10 1,160
高等学校 4 19 0 0
合計 187 2,661 85 2,494
浄化槽対策

浄化槽に関しては、「浄化槽法」及び「栃木県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」に基づき、保守点検業者への立入検査を実施し、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。

浄化槽管理者(設置者)に対しては、法11条検査の周知を図り、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。

(2) 産業廃棄物処理対策

産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、汚泥、廃プラスチック類等20種類である。これらの廃棄物は、排出事業者の責任において適正に処理しなければならないが、無許可業者による不適正な処理の事例も見受けられるので、更に適正処理の推進について監視指導の強化を図る必要がある。

ア 産業廃棄物適正処理対策
(ア) 県内に立地している排出事業者の立入検査

産業廃棄物処理施設を設置している排出事業者など県内に立地している事業所(自社処分場を含む。)を対象に918件の立入検査を実施し、産業廃棄物の発生状況、保管状況、処理処分及び委託の方法等について監視指導を行った。

(イ) 中間処理最終処分業者の立入検査

処理業者の設置している焼却施設等の中間処理施設及び最終処分場を対象に、延べ475件の立入検査を実施し、適正な維持管理の確保について監視指導を行った。

(ウ) 指導状況等

排出事業者及び処理業者に対し1,393件の立入検査を実施し指導した結果、そのうち69件の文書指導(勧告)を行ったほか、4件の改善命令を行った。

また、実績報告等3,430件の報告の徴収並びに17件の産業廃棄物処理業許可の取消及び6件の産業廃棄物処理業停止を命じた。

今後も、排出事業者、処理業者双方に産業廃棄物の適正な処理、処分について指導していく。(表2−1−58、表2−1−59)

表2−1−58 産業廃棄物関係立入検査結果(16年度)
  立入検査件数 口頭指導件数 文書指導件数
排出事業者 918 245 43
処理業者 475 121 26
1,393 366 69
表2−1−59 行政処分の状況(16年度)
処  分  内  容 件 数 根  拠
1 産業廃棄物管理票の使用等に関する勧告 1 法第12条の6
2 産業廃棄物収集運搬業許可申請不許可処分 3 法第14条第3項
3 産業廃棄物収集運搬業許可取消し 14 法第14条の3
4 産業廃棄物収集運搬業停止命令 5
5 産業廃棄物処分業許可取消し 1
6 産業廃棄物処分業停止命令 1
7 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可取消し 2 法第14条の6
8 特別管理産業廃棄物収集運搬業停止命令
9 特別管理産業廃棄物処分業許可取消し
10 特別管理産業廃棄物処分業停止命令
11 産業廃棄物処理施設許可取消し等 法第15条の3第1項
12 産業廃棄物処理施設の停止命令 法第15条の6の2
13 事業者からの報告徴収 41 法第18条
14 処理業者からの報告徴収 3,389
15 改善命令 4 法第19条の3
16 措置命令 法第19条の5
17 措置命令 法第19条の6
18 告発  

(注)
1 同一業者が2以上の行政処分等を受けた場合は件数は、それぞれ計上している。
2 処理業者からの報告徴収には、全処理業者を対象とした実績報告を含む。
3 根拠条文は、16年度当時のものである。

(エ) 「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」による指導

廃棄物の適正処理を推進し生活環境の保全を図るため、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱(10年8月)」により、廃棄物処理施設を設置する際の事前手続等について、指導を行っている。

ポリ塩化ビフェニル廃棄物対策

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という)廃棄物を保管する事業者は、PCB廃棄物の保管等の状況を都道府県知事等に毎年度届け出るとともに、28年7月までにこれを適正に処分しなければならないこととされている。

本県では、法律の趣旨やPCB廃棄物の適切な保管についてホームページ等を利用し、県民に幅広く周知するとともに、届出のあった保管等の状況を管理し、一般の閲覧に供している。

PCB廃棄物の処理については、国のPCB廃棄物処理基本計画により、日本環境安全事業(株)(旧環境事業団)が整備する5地域の広域処理施設で処理することとされている。日本環境安全事業(株)(旧環境事業団)では、既に福岡県北九州市、愛知県豊田市、東京都江東区の3事業所で処理を開始しており、その他の地域でも処理施設の整備を進めている。

本県内の事業者が保管しているPCB廃棄物については、北海道室蘭市に設置される広域処理施設で処理をすることとなっており、19年度から処理が開始される予定である。

17年度は、PCB廃棄物を保管する事業者に対して適正な保管及び処理について周知を図るとともに、「栃木県PCB廃棄物処理計画」策定のための調査を実施した。

ウ 土砂等適正処理対策

建設残土等の処理に伴う有害物質の混入や無秩序な埋立てに対する不安等によるトラブルが発生していた状況を踏まえ、県民生活の安全の確保と生活環境の保全のため、11年4月に「栃木県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」を施行した。

17年度は、条例施行後6年以上が経過し、赤土等園芸土採取跡地の埋立ての増加など、新たな状況変化が生じてきたことから、土砂等の埋立て等に関する事業(特定事業)の一層の適正化を図るため、条例を一部改正し18年7月から施行することとした。

なお、11年度〜17年度までの県内の許可取扱い件数は、1,300件(県:326件、市町村:974件)である。

エ 産業廃棄物関係諸団体

産業廃棄物を適正に処理するためには、産業廃棄物処理業者の資質の向上、産業廃棄物に関する知識の普及啓発並びに産業廃棄物の適正処理及び再生利用に関する調査研究、研修、情報収集等の推進が必要である。

これらの諸活動を主目的として、(財)栃木県環境保全公社及び(社)栃木県産業廃棄物協会が組織されており、それぞれが、調査研究活動や研修会等により、産業廃棄物の適正な処理及び再生利用等に向けて活動を展開している。

県は、両団体の運営等について適正な指導監督を行うとともに、諸事業について必要な援助を行っている。

(3) 不法投棄対策の強化
ア 廃棄物監視員市町村交付金

不法投棄、不適正処理の防止及び最終処分場の適正な維持管理を確保するため、廃棄物監視員を設置する市町に対し、その経費の一部を補助する廃棄物監視員市町村交付金を交付している。

なお、17年度は、29市町に交付した。

イ 不法投棄の監視委託等

不法投棄が多発する夜間・休日の監視パトロール、ヘリコプターを利用したスカイパトロールを実施することにより、不法投棄の未然防止及び原因者の特定の円滑化を図っている。

また、13年度からは監視カメラの設置や携帯情報端末を利用した監視連携システムを導入し、15年度からはGPSを利用した廃棄物処理検証システムを導入するなど、不法投棄対策の強化を図ってきた。

ウ 関係機関との連携

(社)栃木県産業廃棄物協会及び東京電力(株)栃木支店と「不法投棄等の情報提供に関する協定書」を締結し、関係機関の職員が勤務中に不法投棄等を発見した場合、随時、県及び市町村に情報提供をするなど早期発見・早期対応を図っている。

エ 栃木県環境保全対策基金

産業廃棄物の適正処理を促進するとともに、産業廃棄物の処理に起因する損害に対し補償を行うため、(社)栃木県産業廃棄物協会に昭和63年度に創設された栃木県環境保全対策基金の造成状況は次のとおりである。

基金造成額(17年度末現在)約3億9千万円

オ 産業廃棄物不法投棄緊急対策事業

産業廃棄物の不法投棄等による生活環境保全上の支障の未然防止のために、応急的緊急的措置を実施するための基金を12年度に(社)栃木県産業廃棄物協会に造成した。

基金造成額(17年度末現在)約8千万円

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