2章 エネルギーを取り巻く現状と課題

第1 国内外のエネルギー情勢
 4.エネルギーを取り巻く課題と新エネルギー
(1) 地球温暖化防止対策
 地球温暖化は、化石エネルギーの消費に伴って排出される二酸化炭素などの温室効果ガスが主な原因であると言われています。二酸化炭素の約8割は石油や石炭等の化石エネルギー消費に起因していると言われており、地球温暖化防止のためには、化石エネルギーの消費抑制と二酸化炭素の排出を伴わない非化石エネルギーの導入促進が不可欠となっています。
 環境負荷の少ないクリーンな新エネルギーの導入促進は、地球温暖化対策として極めて有効な手段の一つと言えます。

(2) エネルギーセキュリティ(エネルギー安全保障)の確保
 石油、石炭などの化石エネルギーが乏しい我が国では、エネルギーの約8割を海外からの輸入に依存しています。特に石油については、ほぼ全量を輸入しており、しかも中東地域への依存度が8割を超えているなど、極めて安定性に欠ける脆弱な供給構造になっています。エネルギー多消費国である我が国は、エネルギーの石油依存度を低減させ、特定のエネルギー源に過度に依存することのないバランスの取れたエネルギーの供給構造にすることが、エネルギーセキュリティの観点から求められています。
 新エネルギーの導入は、エネルギーのベストミックス(多様なエネルギー源の適切な組合せ)の実現を推進し、エネルギーセキュリティを高めることにつながります。

(3) 限りある化石エネルギーの保全
 主な化石エネルギーの可採年数は、石油で41年、天然ガスで63年、石炭で212年と言われています。可採年数は、新たな資源の発見や採鉱技術の進歩などにより変動することはありますが、今のまま使い続ければ、21世紀中に石炭を除く化石エネルギーが枯渇することが懸念されます。
 特に石油は重要なエネルギー源であるとともに、化学繊維やプラスチックなどの原料になる貴重な資源です。この貴重な資源である化石エネルギーを次の世代に残していくことが我々の世代に課された大きな課題と言えます。
 課題の解決に向けて、化石エネルギーの有効的な利用とあわせて、新エネルギーの導入促進が必要であると言えます。

 
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