3章 栃木県における新エネルギー導入の基本的方向性

第1 栃木県における新エネルギー導入の基本的考え方
 3.新エネルギーごとの推進方策
(1) 重点的に導入を図る新エネルギー
太陽光発電  太陽エネルギーは、天候に左右されるものの、無尽蔵に利用できるエネルギーです。太陽光発電は、技術的には既に実用レベルにあり、県内においても急速に導入が進んでいます。利用可能量も大きく、県民など各主体の導入意向も高いことから、今後の新エネルギーの中核的役割が期待されます。
  現段階においては、既存電源と比べ経済性が高いとは言えませんが、需要の拡大により、導入コストの低減が期待されます。
  そこで、公共施設への積極的な導入を推進するとともに、普及啓発を重点的に行うことにより、比較的経済性が高い住宅用を中心に導入促進を図ります。
太陽熱利用  太陽光発電と同様に、太陽エネルギーは天候に左右されるものの、無尽蔵に利用できます。本県は、太陽熱利用によるエネルギーの利用可能量も大きく、県民等各主体の認知度や導入についての意識も高いことから、今後も住宅用を中心とした身近なエネルギー源として期待されます。
 そこで、太陽熱利用に関する情報提供等を行い、住宅用を中心に導入促進を図ります。
クリーンエネルギー自動車  人口当たりの自動車台数が全国的に見て多い本県において、ガソリン車等からクリーンエネルギー自動車への転換を進めていくことは、エネルギーの効率的利用や地球環境保全等の観点から非常に有効であると考えられます。
  そこで、現段階では、価格や燃料供給の面で導入が容易なハイブリッド自動車を中心に普及啓発に努め、導入促進を図ります。その他の車種についても、今後の技術開発の状況やインフラ整備の動向を踏まえ、導入促進を図ります。

参考:太陽光発電・太陽熱利用に対する県民の導入意向(平成11年度アンケート調査)

 

(2) 効果的に導入を図る新エネルギー

廃棄物エネルギー 一般廃棄物については、まず、発生抑制や再使用、再生利用を進めることにより減量化を図ることが基本ですが、排出される廃棄物を焼却しなければならない場合には、周辺環境の保全に配慮しながら、地域の特性に応じたサーマルリサイクルを促進します。
産業廃棄物についても、廃棄物の有効利用という視点から、マテリアルリサイクルを基本とし、処分する場合には、周辺環境の保全に配慮しながら、エネルギーとしての有効利用を促進します。
風力発電  全県的には風力が弱く、大規模な風力発電の実施はなかなか困難ですが、局地的には風力が強く設置が容易な場所もあると考えられます。
 最近では、従来のものより低風速でも発電が可能な小規模な風力発電システムも開発されており、風力が比較的弱い地域においても導入できるようになりました。
 また、観光資源、環境学習教材としての効果が期待できることから、経済性を考慮しながら、公共施設等への導入を促進します。
中小水力発電 ダムの建設にあわせた発電や河川維持流量を利用した発電、砂防ダムや水路の遊休落差を利用した発電などについて、自然環境にも配慮しながら、個別に導入の検討をします。
また、農業用水路などで利用できるマイクロ水力発電についても活用を促進します。
バイオマス
エネルギー
本県においては、森林・農産・畜産バイオマスともに利用可能量は多くありますが、ほとんど利用されていないのが現状です。
エネルギーとしての利用方法については、直接燃焼以外にも様々な方法があり、研究開発段階のものも多いことから、当面は、バイオマス利用に関する技術開発の動向を見守りながら、農林業関係者等への普及啓発を行い、導入の促進を図ります。 
その他排熱利用
(工場排熱)
 
本県の産業構造は、第二次産業、特に製造業の比率が全国に比べて高いという特徴を持っています。製造業においてエネルギーの効率的利用を図ることは、本県のエネルギー使用量の削減において非常に有効です。
工場排熱利用は、技術的には実用レベルに達しており、他県においても導入事例があることから、工業団地など比較的熱需要地が近接している場所を中心に普及啓発を行い、導入促進を図ります。
天然ガス
コージェネレーション
都市ガスを効率的に利用できるシステムで、電力と熱を同時に供給することができます。技術的にも十分に実用レベルにあり、電力需要と熱需要の適切な組合せが可能な場合には総合エネルギー効率が70〜80%に達します。さらなる普及のためには、一層の低コスト化やシステムのコンパクト化の実現と都市ガス供給エリアの拡大が必要です。
今後は、都市ガスの供給エリアを考慮しながら、熱需要地が近接している病院、ホテルなどの民生部門、工場などの産業部門を中心に、普及啓発を行い、導入の促進を図ります。
燃料電池 施設内での利用から可搬型に至るまで規模が自由に設定できることから、幅広い用途への利用が期待できます。
現在、実用化に向けて研究開発が進んでいることから、その動向を踏まえて、天然ガスコージェネレーション同様、病院やホテルなどの民生部門、工場などの産業部門を中心に導入促進を図ります。

(3) 個別事例に応じて導入を図る新エネルギー
温度差エネルギー 河川水温度差エネルギー、下水処理水温度差エネルギーなどについては、熱需要地との近接性、熱供給における経済性(熱需要の量との関連)を勘案して、個別のケースに応じて導入を検討します。
地下水温度差エネルギーについては、上記のような経済性の問題のほか、地盤沈下の回避が大きな課題となることから、導入は個々のケースでの経済性や地盤沈下の回避について考慮しつつ検討を行います。
地熱エネルギー 地熱エネルギーについては、地域によっては熱源として有望なところもありますが、いずれも山間地や自然公園であり、発電施設の立地は困難です。
そこで、温泉水を地域の熱利用に使用するといった、熱源に近接した地域での熱利用を対象に、個別に導入を検討します。
その他排熱利用
(変電所排熱)
変電所排熱については、全県的にみた利用可能量は他の新エネルギーに比較してそれほど高くありませんが、熱需要地が近接している場合での利用は有効なので、経済性等を勘案して、個別のケースに応じて導入を検討します。
 
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