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更新日:2011年1月28日

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治山施設の整備

 

治山施設とは

治山事業は、保安林の機能(土砂災害を防止したり、水源をはぐくむなどのはたらき)を維持し向上させるために行われる事業です。

治山事業のなかで、山地の荒廃を復旧したり、山地の荒廃を未然に防ぐために設置される人工的な施設や構造物を治山施設と呼びます。 

山地の荒廃

山地の荒廃は、「渓流荒廃」「山腹荒廃」のふたつに分けられます。

渓流荒廃

渓流とは?

 治山事業でいう「渓流」とは、山林の中を、水が集まって流れる部分を指します。 山林を離れて、耕地や集落に流れた部分は対象となりません。

渓流の荒廃とはどんな状態?

  • 浸食の進行

 渓流を流れる水の勢いによって、渓流の底や岸が削りとられている(「浸食」)。

 渓流がクネクネと蛇行し、広い幅の部分を浸食している(乱流)。

  • 不安定土砂の堆積

 浸食によって発生した土砂や、山腹の崩れによって落ちた土砂が、不安定な状態で、 渓流の中に多量に貯まっていること。

渓流荒廃を放っておくと?

 不安定土砂が雨水といっしょに土砂流や土石流として流れ出し、 集落や農地、道路などを襲い、人命や財産に被害を与えるおそれがあります。

 また、渓流荒廃が、山腹荒廃を引き起こす要因となることもあります。

渓流の荒廃模式図

 


山腹荒廃

 

山腹荒廃地

山腹荒廃とは?

山の斜面が崩れて(「崩壊」)落ちた(「崩落」)状態で、さらに崩壊が広がりそうな状態や、崩落した土砂が流れ出しそうな状態のことを言います。

山腹荒廃の種類

山腹崩壊には、山腹の表面の土砂だけが崩落する「表層崩壊」、

山腹の地面深くから崩壊する「深層崩壊」、

そして山腹上に点在する岩石が崩落する「落石」などに分けられ、

雪が深い地域では「なだれ」も含まれます。

山腹荒廃を放っておくと?

崩落した土砂が人家や道路などを襲い被害を与えることが、最も深刻な問題です。

また、一度崩落した山腹の斜面には、放置した状態では樹木などの植物が再生しにくいので、森林の公益的機能を低下させてしまいます。 


  

山地の荒廃を予防・復旧する治山施設

渓流荒廃に関する治山施設

 渓流荒廃に関する治山施設には、主なものとして、「谷止工」・「床固工」などの治山ダム工、「護岸工」、護岸工と床固工を組み合わせた「流路工」などがあります。

 


谷 止 工

コンクリート谷止工 鋼製谷止工
コンクリート谷止工
鋼製谷止工

 

「治山ダム」の代表的なものです。

ダムとはいっても、治山ダムには水を利用する目的のために貯水するようなことはありません。(例外的に、特殊なものとして貯水を目的とするダムを設置する場合もあります。)

谷止工は、コンクリートで造られるのもの(コンクリート谷止工)が主流です。

設置する場所の条件によっては金属の枠のなかに石などを詰めた「鋼製ダム」を使います。

 

 谷止工の機能は、

  1. 渓流の底面の位置を固定することにより、渓流底面の浸食を防止し、土砂の移動を止めること。
  2. ある程度の土砂を受け止め、たまった土砂により渓流の勾配を緩くし、水の流れの勢いを弱めることによって、渓流の底面や岸の浸食を防ぐこと。
  3. たまった土砂により、渓流を挟んだ山の麓(ふもと)を覆(おお)い、山肌の土砂崩れを防ぐこと。

が、主なものです。

 


流 路 工

流路工

 比較的傾斜が緩い山地を流れる渓流は、蛇のようにクネクネと蛇行し、大水が出るたびに流れる範囲を広げながら、山地の土砂を浸食することがあります。

 このような状態を「乱流」と呼び、この乱流を食い止め、水の流れを固定し、土砂の浸食を防ぐのが「流路工」です。

 流路工は、床固工というダムを適所に配置して渓流内の土砂の移動を止め、床固工の間の両岸に護岸工を設置するというのが、基本的な形です。

 護岸工は、コンクリートブロックを積み上げて造るのが主流となっています。

 流路工では、渓流の水を地下に浸透させるため、底面は土砂であることが基本です。

 しかし、流れな急なところでは、写真のような「床張りブロック」というものを敷き詰め底面を保護します。「床張りブロック」には穴があいており、水を地面に浸透させる能力を持っています。

 さらに勾配が急な場所などでは、底が浸食されないように、コンクリートで底面を覆うこともあります 。

 


 その他の渓流荒廃に関する施設

 渓流荒廃に関する施設には、ほかにも、水や細かい砂利は止めないで大きな岩石だけを止める「スリットダム」や、水の流れる方向を変えて、岸辺に水流がぶつからないようにする「水制工」、など、様々なものがあります。


 

山腹荒廃に関する治山施設

 山腹荒廃地での施設は、「山腹基礎工」と「山腹緑化工」に分けられます。

 「山腹基礎工」とは、崩れを食い止める基本的な構造物で、土の重さを受け止める働きをします。

 「山腹緑化工」は、山腹の表面の動きを止めるとともに、早い時期に植物が生育するようにします。

  


土 留 工

土留工

 山腹基礎工の主なものが、「土留工」です。

 崩れた山腹の最下部や、中腹のところどころに、等高線に沿った形に壁を設置します。

 土留工の役割は、山腹をしっかりと固定することで、上部から落ち崩れようとする土砂を抑えます。

 設置場所や土質によって、コンクリートや、コンクリートブロック積、

 金属の枠に石などを詰めたもの(鋼製土留工)、

 丸太を組んだものなど、様々な材料を使用します。

 大きな土の圧力がのしかかる部分ではコンクリート製を、

 あまり土の圧力がかからない部分ではコンクリートブロック積製を使うのが一般的です。

 設置する地盤が柔らかかったり、土に浸みた水の圧力がかかるようなところでは、

 歪みに強く水を通しやすい「鋼製土留工」を使います。

 


 

木 柵 工

木柵工

 木柵工は、その名の通り、丸太で造られた柵です。

 分類としては「山腹緑化工」に含まれますが、基礎工と緑化工の中間的な働きをします。

 高さは、地上に出ている部分で50センチメートル前後のものが一般的につくられています。

 木柵は、上部からの大きな土の圧力を受けるようなことはできませんが、

 山腹のごく表面の土砂の動きを止めることができます。

 表面の土(「表土」)の動きを止めることは、森林を再生させるために、非常に重要なことです。

 表土が動いている限り、植物の種子などが落ちて発芽しても、その芽はすぐに流されてしまい、いつまでたっても植物が再生しません。

 しかし、表土の動きが止められると、自然の植物がきわめて再生しやすくなります。

 


 

筋  工

筋 工

 筋工と伏工は、山腹緑化工の代表的な方法です。

 筋工は、斜面の等高線に沿って、細かい帯を何本も入れていくような緑化工です。

 筋状にすることで、筋と筋のあいだに樹木の苗木を植栽できることが大きな特徴です。

 筋工による緑化では、植物の種子が含まれた資材や苗木を帯状に並べるのといっしょに、その支えとなるものを設置することが一般的です。

 支えとするものとして、現在もっとも使用されているのは、丸太です。

 丸太筋工と呼ばれ、木柵を低くしたようなもの(高さは10cmから20cm)を設置し、それに沿って植物の種子が付着している布状のもの(植生帯)を張り付けたり、苗木を植えたりします。

 丸太筋工のほかには、土のう(土を詰めた袋)を並べた「土のう筋工」、石を積んだ「石筋工」、木々の細い枝を束ねて並べた「そだ筋工」などがあります。 

 


伏  工

伏 工

伏工は、斜面全体を植物の種子などが含まれたシートなどで覆(おお)い、金属などのピンで固定する方法です。

 斜面が急で、筋工などの方法が使えないような場合に使います。

 シートとはいっても、その材料は様々で、「稲のわら」をつなぎ合わせてシート状にした「わらむしろ張り伏工」や、天然繊維や化学合成繊維のネットを使用した、「ネット伏工」などがあります。

 現在では、重量が軽く強度のある化学合成繊維のネットが、もっとも多く使われています。

 「わらむしろ伏工」は、小規模な部分でよく使用されています。(「木柵」の写真に写っているものです)

 伏工に使用される植物の種子は様々ですが、多くのものには牧草類が混入され、

 なるべく早い時期に草の根によって斜面が安定するように配慮されています。

 近年では、様々な製品が開発され、ある程度の時間がたつと、微生物などによって分解され土になる、

 「生分解性」の化学合成ネットや杭なども使用されます。


厚層基材吹付け工(客土吹付け工)

厚層基材吹付け工(客土吹付け工)

土砂の層が薄い山腹崩壊地では、岩盤が露出してしまうことがあります。

 岩盤では、表土がないため、筋工や伏工などの緑化工法では植物が育ちません。

 そういう場合に、厚層基材吹付け工という方法で緑化します。

 厚層基材吹付け工とは、植物が生育しやすい基盤材や土、肥料、水、そして植物の種子をタンクの中で混ぜて、泥のようになったそれらを圧力ポンプでホースに送り、岩盤に吹付ける方法です。

 岩盤の表面には、種子入りの泥が付着しやすいように、あらかじめ金網などを張っておきます。

 


 

 

法(のり)枠工

法(のり)枠工

 急傾斜の斜面で、亀裂が多く入り、崩れやすくなったような岩盤では、

 厚層基材吹付け工ではとても斜面を抑えきることができません。

 そのような場合、格子状のコンクリートなどで斜面を抑えつけ、その枠の中に厚層基材吹付け工をおこないます。

 この工法を、「コンクリート法枠工」と呼びます。

 コンクリートの枠は、斜面の状況によっては柱のように太くしたり、写真のように半円形に吹付けたりと、

 いくつかのバリエーションがあります。

 小規模な斜面では、丸太を格子状に組んだ「丸太法枠工」を施工することもあります。

 


 

 その他の渓流荒廃に関する施設

 山腹荒廃地での施設は、他にも、モルタル吹付け工、水路工、暗渠工など様々ありますが、それらの工法をとりまぜて、崩壊した山腹を安定させ、緑に戻してゆきます。


 

山地災害に遭わないために

  • 自分の住んでいる場所の地形的特性を把握しておきましょう。

水が集まりやすい地形であるとか、流れてきた水の排水経路はどうなのか、また過去に近くで土砂崩れがなかったか、知っておきましょう。

  • 避難経路や避難箇所を確認しておきましょう。
  • 集中豪雨があったときなど、山際にお住まいの方は、山地災害に注意してください。

     過去何十年にもわたって土砂崩れがなかったからと言って、安全だと思いこむのは危険です。

  • 土砂災害の予兆に気をつけましょう。

わき水が増えた、わき水が止まった、わき水や沢の水、井戸などが急に濁った、裏山に亀裂が発生した、小さな石や土の塊がぽろぽろと落ちてきた、地なりが聞こえた、雨が降っているのに川や沢の水が減った

    ・・・などの現象は土砂災害の予兆である可能性があります。注意しましょう。

 

『山地災害に備える』 のページをご覧ください。

 

  

栃木県の山地災害危険地区

 ふだんからの災害時への備えや避難行動等に役立てていただくため、降雨等により山や沢など(山地)から発生する土砂災害のおそれがある地区(山地災害危険地区)の情報をお知らせしています。

 


 

土砂の流出や山腹崩壊の・予防や復旧のご要望は

 お住まいの近くで、山から土砂の流出があったり、山腹崩壊があったっときは、お住まいの市町村の担当課までご連絡ください。

 県での治山事業の計画は、市町村からの要望によって実施します。

 ただし、治山事業の実施に関しては、「保安林」に指定されている山林が対象となっておりますので、ご注意ください。

 (ごく近い将来、確実に保安林指定ができる地域に関しては、事業の計画を実施できます。)

 また、治山事業は保安林内の土砂流出や土砂の崩壊を対象にしており、雨水だけが流れ出てくるような場合は事業の対象外となりますので、ご了承ください。

お問い合わせ

県西環境森林事務所

〒321-1263 日光市瀬川51-9

電話番号:0288-21-1178

ファックス番号:0288-21-1181

Email:kensai-ksj@pref.tochigi.lg.jp

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