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更新日:2011年1月28日

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足尾の治山

 

足尾の写真

地域の概要

日光市足尾町は、栃木県の最西端に位置し、利根川の一大支流渡良瀬川の水源地にあり、日本の代表的な銅山の町として発展してきました。


 足尾の荒廃地は、以下のような背景から植生の自然進入が困難なため、特殊荒廃地と呼ばれています。

 

  1. 銅山開発に伴う坑木、薪炭等を供給するための森林の乱伐
  2. 明治20年に発生した「松木の大火」等の幾多の山火事
  3. 銅精錬時に発生する亜硫酸ガスによる植生の衰退
  4. 秩父古成層や花崗岩を主体とした脆い地質と急峻な地形
  5. 夏の集中豪雨と冬の凍結融解

   

    特殊荒廃地は亜硫酸ガスの影響により土壌が酸性に傾き、厳しい自然環境にさらされ、表土の流亡、崩落や崩壊を繰り返し、基岩が露出しているものがほとんどです。表土の残っている部分も、一般的な土壌に比べてペーハー(ph)は低く、理学性に乏しく、保肥力も低い状態です。


  このような特殊荒廃地を復旧するため、昭和31年に国と協議し分担協力して事業を実施することになり、本県は昭和32年から本格的な工事に着手しました。


  県の担当区域は、精錬所に隣接する激害地であり、人家や道路、鉄道の上部山腹を優先し、その後周辺の復旧をする方針で取り掛かりました。基本的な施工方法は、土砂礫の生産活動を抑止するための谷止工、土留工等の基礎工事を行い、その後植生土のう等の筋工を実施し、斜面の緑化を図るもので、現在では大部分の個所の緑化が進み、一部では森林に蘇った個所もみられます。


  緑化が進むことにより、この地域にも鳥や獣が棲むようになり、植栽木や芽生えた草木がシカの食害を受けるようになりました。このため、施工地の周辺には鹿食害防止柵を設置し、被害を防いでいます。   

特殊荒廃地の写真1

特殊荒廃地の写真2

 

足尾の治山

治山事業の流れ

 

基礎工事

  • 土砂の堆積の多い渓流には、谷止工というミニダムを造り、土石流等を防止します。 一般的な荒廃地に比べて、足尾のような特殊荒廃地では特に重要な要素となります。
  • はげ山には、崩壊を押さえ土砂が移動しないように、土留工という石垣を造ります。
  • 人家等の密集地域には落石を防止する鋼製の柵やネットを設置します。

谷止工の写真   土留工の写真

 

緑化工事

  • 基礎工が完了した所には、木柵工・草の種と肥料土を入れた植生土のう筋工・ヤシャブシなどの苗木の植栽工等によって緑化します。
  • 人力による施工ができない所には、ヘリコプターによる航空実播工を実施しています。
  • 基岩が露出した箇所には、種子、生育基盤材(客土)、肥料を接合材で岩盤に吹き付ける客土吹付工を採用しています。

土のう筋工写真 航空実播工写真

 

森林の整備

  •  草地化している所に植栽をして、早期に森林を造ります。
  • 過去に植栽したニセアカシア等の単純林を改良して、多くの樹種を植栽して複層林をつくり、災害に強く、より自然に近い森林に誘導します。
  • 植栽した苗木を鹿などの食害から守るため、獣害対策工(防護筒や柵)を実施します。

植栽の写真 植栽後に獣害対策を実施した写真

 

協働による森づくり

  荒涼としていた足尾地区の山々も、治山工事の導入により、岩山と化していた斜面に土壌が形成され、徐々に緑が蘇りつつあります。

  足尾のような特殊荒廃地における緑化活動を通じて、多くの人達に失われた森林の大切さや治山事業に対する関心と理解を深めてもらうため、環境学習などを通じた普及活動を実施しています。

  また、ボランティア団体による植樹も盛んに行われており、治山施工地における植樹活動は平成15年から行われ、年々参加者は増加しています。治山工事と相まったこれらの活動によっても、足尾の緑は徐々に蘇っています。

ボランティア植栽の写真1  ボランティア植栽の写真2

環境学習の活動写真

 

蘇る緑の山々

 赤倉地区

昭和50年代の写真との比較です。

昭和50年代の赤倉地区の写真

現在の赤倉地区の写真

 

久蔵川付近

昭和60年代の写真との比較です。

昭和60年代の久蔵川付近の写真

現在の久蔵沢付近の写真

 

その他情報

  足尾環境学習センターや足尾歴史館にも治山についての展示があります。

ぜひご覧ください。

お問い合わせ

県西環境森林事務所

〒321-1263 日光市瀬川51-9

電話番号:0288-21-1178

ファックス番号:0288-21-1181

Email:kensai-ksj@pref.tochigi.lg.jp

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