第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり


第4章 騒音・振動・悪臭の防止

第2節 騒音・振動・悪臭防止対策

 

騒音防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

  ア 「騒音規制法」に基づく規制

 「騒音規制法」では、特定施設を設置する工場・事業場(以下この節において「特定工場等」という。)及び特定建設作業から発生する騒音について、地域を指定して規制を行っている。
 地域の指定は、知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して、43市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

  イ 「栃木県公害防止条例」による規制

 「栃木県公害防止条例」では、「騒音規制法」で規制される地域以外について、特定工場等及び特定建設作業から発生する騒音について、規制を行っている。これにより、県内全域が規制の対象となっている。

  ウ 工場等に対する指導等

 特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、騒音公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、騒音防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

(2) 交通騒音対策

 道路交通騒音が深刻な地域について総合的な施策を講ずべく、9年3月に「栃木県沿道環境整備協議会」(会長:国土交通省関東地方整備局宇都宮国道事務所長)が設立され、関係機関により、低騒音舗装などによる「道路構造対策」、道路網の整備などによる「交通流対策」、緑地帯の整備などによる「沿道対策」などの対策を講じてきた。
 高速自動車道については、関係県と連携し、道路公団に対して騒音の低減対策等を要請している。

(3) 新幹線鉄道騒音対策

 東日本旅客鉄道鰍ノおいては、当面の対策としているピーク騒音レベルを75デシベル以下とするいわゆる「75デシベル対策」として、低騒音の新型車両の導入や防音壁の設置等による発生源対策を推進している。
 10年度からは、「第3次75デシベル対策」として、住宅立地地域(住宅が点在する地域を除く。)のうち75デシベルを超える11箇所について対策を講じ、すべての箇所においてピーク騒音レベルが75デシベル以下となった。
 県においては、環境基準達成に向け、沿線の16市町で構成する「栃木県新幹線公害対策連絡会議」で東日本旅客鉄道鰍ノ対し、騒音の低減対策を要請している。

(4) 航空機騒音対策

 宇都宮市と共同で陸上自衛隊宇都宮分校周辺の11地点で航空機騒音の状況を把握するための調査を実施したが、その結果は、63.2〜73.9 WECPNLの範囲であった。

(5) 音風景の保全

 無駄な音、迷惑がられる音である騒音を低減し、好ましい音環境を実現しようとする取組の一環として、環境省において「残したい“日本の音風景100選”」を選定している。
 県内においては、栃木市の「太平山あじさい坂の雨蛙」が認定されている。

振動防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

  ア 「振動規制法」に基づく規制

 「振動規制法」では、特定工場等及び特定建設作業から発生する振動について、地域を指定して規制を行っている。地域の指定は知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して43市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

  イ 「栃木県公害防止条例」による規制

 「栃木県公害防止条例」では、「振動規制法」で規制される地域以外について、振動の規制基準を設定している。これにより、県内全域が規制の対象となっている。

  ウ 工場等に対する指導等

 特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、振動公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、振動防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

悪臭防止対策

(1) 工場等に対する規制と指導

  ア 「悪臭防止法」に基づく規制

 「悪臭防止法」によりアンモニア、アセトアルデヒドなど22の物質を特定悪臭物質として、工場・事業場における事業活動に伴い発生するにおいに対し、地域を指定して規制を行っている。
 地域の指定は、知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域及び一部の学校、病院、老人ホーム等の周辺について、47市町村で指定を行っている。
 なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。

  イ 「栃木県公害防止条例」に基づく規制

 「栃木県公害防止条例」では、特に悪臭が発生する養豚・養鶏施設等8施設を特定施設とし、設置等について届出を義務づけるとともに施設の種類ごとに規制基準(管理上の基準)を定めている。

  ウ 官能試験法三点比較式臭袋法)による指導

 「悪臭防止法」では、従来、単一物質を機器を用いて分析・測定する方法により悪臭が規制されていたが、低濃度多成分による複合臭気には対応できない問題点があった。そこで、法の一部改正により、従来の機器を用いた分析・測定方法に加え、ヒトの嗅覚を用いた測定法も採用できることとなった。嗅覚測定法の積極的な導入を図るため、市町村に対し測定法について普及啓発を行っている。

  エ 工場等に対する指導等

 悪臭に係る規制事務等は、市町村長の自治事務とされており、立入検査等による実態に即したきめ細かな指導が行われ、悪臭公害の未然防止を図っている。
 中小企業者等には、悪臭防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。

(2) かおり風景の保全

 良好なかおりとその源となる自然や文化を保全・創出しようとする地域の取組の支援の一環として、環境省において「かおり風景100選」を選定している。
 県内においては、今市市の「今市竜蔵寺の藤と線香」、日光市の「日光霧降高原のニッコウキスゲ」及び那須町の「那須八幡のツツジ」が認定されている。

 

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