第2部 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり


第5章 廃棄物・リサイクル対策の推進

第3節 廃棄物・リサイクル対策

 

一般廃棄物

 一般廃棄物の質の多様化と量の増大に対応するためには、ごみの減量化・再生利用を促進するとともに施設の整備促進及び維持管理面の指導を強化する必要があることから、次のことを重点的に指導した。

(1)ごみの減量化・リサイクルの推進

 「栃木県廃棄物処理計画」に基づいて、ごみの減量化・リサイクルについての意識の高揚や直接的な行動、さらには環境づくりを総合的かつ効率的に推進していくため、15年度は、3R推進月間(10月)にマイ・バッグ・キャンペーンを展開したほか、次の事業を実施した。

 ○ クリーンアップフェアの開催

 県民一人ひとりが地球環境問題への認識を深め、廃棄物問題をはじめ、環境の保全への幅広い理解と協力を得ることを目的として、クリーンアップフェアを開催した。

   期 間:15年10月25日(土)〜10月26日(日)の2日間
   会 場:栃木県子ども総合科学館
   主 催:栃木県・栃木県クリーンアップフェア実行委員会
   来場者:9,600人

 ○ ごみ減量化・リサイクル演劇開催事業

 次世代を担う子供たちのごみ問題に対する意識の高揚を図るため、ごみ減量化やリサイクルをテーマにした演劇を県内で上演した。

   演劇名:「未来によろしく」
   巡回公演(小中学生対象):100回  27,278人

 ○ ごみ減量化・リサイクル広報活動事業

 テレビ・ラジオスポットCM等で県民にごみの減量化・リサイクルの推進について呼びかけた。

(2)ごみ処理の適正化の推進

 ア ごみの適正処理の指導

 ごみ処理施設及び最終処分場の整備について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。

 イ ごみ処理の広域化の推進

 ○ 広域化の計画の概要(栃木県廃棄物処理計画)
  • 広域行政圏を基礎とした10の地域ブロックを設定した。
  • 設定した地域ブロック内の既存施設の稼働状況や更新時期等を踏まえ、整備時期を3グループ化した。
 ○ 市町村等の廃棄物処理施設の広域化の推進
 14年12月から22年度を目途に施設整備を進める第2期グループの地域ブロックに対し、助言・指導を行った。

(3)散乱ごみ対策

 道路や観光地におけるごみ等の散乱は、地域の環境を損なうばかりでなく、収集・運搬の面でも廃棄物行政の大きな課題となっている。このため、関東地方知事会を構成する11都県では、昭和57年から毎年5月30日(ごみゼロの日)を中心に統一した環境美化キャンペーンを展開している。
 15年度も全市町村及び関係諸団体の協力を得て、県内全域での散乱ごみの一斉収集・啓発活動及び小・中・高校生を対象としたポスター・標語の募集を実施した。(表2−5−10、表2−5−11)

表2−5−10 5月30日(ごみゼロの日)を中心とした一斉収集・啓発の結果

表2−5−11 ポスター・標語の応募状況

(4) し尿処理施設

 し尿処理施設の整備及び高度処理への改善について指導するとともに、適正な維持管理の推進を図った。
 浄化槽に関しては、「浄化槽法」及び「栃木県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例」に基づき、保守点検業者の立入検査及び浄化槽保守点検業者に対する講習会等を実施し、浄化槽の適正な維持管理の推進を図った。
 浄化槽管理者(設置者)に対しては、法11条検査にBOD検査を導入し、検査を簡略化した栃木方式11条検査の周知を図り、適正な維持管理の推進を図る。

 

産業廃棄物

 本県では、環境の保全を図り、循環型社会の形成を推進するため、産業廃棄物の適正処理対策や、下水汚泥の資源化、木材の残廃材や建設副産物の再利用など各種の施策を行っている。

(1)産業廃棄物適正処理対策(宇都宮市分を除く。)

  ア 県内に立地している事業所の立入検査

 産業廃棄物の排出事業者など県内に立地している事業所を対象に672件の立入検査をし、産業廃棄物の発生状況、保管状況、処理処分及び委託の方法等について監視指導を行った。

  イ 中間処理・最終処分業者の立入検査

 処理業者の設置している焼却施設等の中間処理施設及び最終処分場を対象に、延べ593件の立入検査を実施し、適正な維持管理の確保について監視指導を行った。

  ウ 指導状況等

 排出事業者及び産業廃棄物処理業者に対し1,265件の立入検査を実施し、そのうち114件の文書指導(勧告)をした他、2件の改善命令、2,461件の報告の徴収を求めた。また、15件の産業廃棄物処理業許可の取消し及び9件の産業廃棄物処理業停止を命じた。 
 今後も、排出事業者、処理業者双方に産業廃棄物の適正な処理、処分について指導していく。(表2−5−12、表2−5−13)

  表2−5−12 産業廃棄物関係立入検査結果(14年度)

  表2−5−13 行政処分の状況(14年度)     

(注)1

 産業廃棄物収集運搬業許可取消しを受けた業者のうち、2業者については特別管理産業廃棄物収集運搬業許可取消しを受けたため、取消しを受けた業者は15業者である。

2

 産業廃棄物収集運搬業停止命令を受けた業者のうち、1業者については、特別管理産業廃棄物収集運搬業停止命令を受け、また、6業者については産業廃棄物処分業停止命令を受けたため、停止命令を受けた業者は9業者である。

3  処理業者からの報告徴収には、全処理業者を対象とした実績報告を含む。
4  根拠条文は14年度当時のものである。

  エ 「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」による規制・指導

 産業廃棄物の適正処理を推進し生活環境の保全を図るため、「栃木県廃棄物処理に関する指導要綱」により、産業廃棄物処理施設を設置する際の事前手続等について指導を行っている。
 なお、10年6月、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正に対応するとともに、法がより有効に機能するための行政指導のあり方を規定するため、指導要綱を改正した。

 ○ 県によるあっせん制度の導入
 ○ 専門的知識を有する者からの意見聴取手続の導入
 ○ 設置許可必要施設の手続の簡略化

(2)不法投棄等、不適正処理対策(宇都宮市分を除く。)

  ア 市町村との連携(廃棄物監視員市町村交付金)

 不法投棄、不適正処理の防止及び最終処分場の適正な維持管理を確保するため、廃棄物監視員を設置する市町村に対し、その経費の一部を補助する廃棄物監視員市町村交付金により不適正処理・処分の防止対策を講じている。15年度は、29市町に交付した。

  イ 不法投棄の監視委託等

 不法投棄が多発する夜間、休日の監視パトロール、ヘリコプターを利用したスカイパトロールを実施することにより、不法投棄の未然防止及び原因者の特定の円滑化を図っている。
 また、13年度には、監視カメラの設置、携帯情報端末を利用した監視連携システムを導入、15年度には、GPSを利用した廃棄物処理検証システムを導入した。

  ウ 東京電力株式会社との連携

 東京電力株式会社栃木支店の社員が、勤務中に不法投棄等を発見した場合、随時、県、市町村に情報提供をする協定を16年3月に締結した。

  エ 栃木県環境保全対策基金の造成

 産業廃棄物の適正処理を促進するとともに、産業廃棄物の処理に起因する損害に対し補償を行うため、(社)栃木県産業廃棄物協会に栃木県環境保全対策基金を造成している。
 造成額(16年3月現在)約3.9億円

  オ 産業廃棄物不法投棄緊急対策事業の実施

 産業廃棄物の不法投棄等による生活環境保全上の支障を除去するための基金を12年度に(社)栃木県産業廃棄物協会に造成し、応急的緊急的措置を実施している。

 造成額(16年3月現在)約1億円

(3)資源化・再利用対策

  ア 下水汚泥の資源化

 下水汚泥の有効利用を促進するため、下水道資源化工場を整備し、14年10月に供用を開始した。
 この工場は、県内の流域下水道及び公共下水道の終末処理場から発生する下水汚泥を集め、焼却溶融施設によりスラグを製造し、建設資材等として、有効利用するものであり、15年度から下水道管渠工事においてスラグの利用を開始した。

  イ 木材の残廃材の再利用

 県内の林業・木材産業が生産活動の中で発生する残廃材の再利用を促進する。
 残廃材は、森林内で生産した素材(丸太)を製材品(柱、板類等)や木材チップに加工する過程で発生する鋸屑、端材等の木質系残廃材が主である。
 これらの木質系残廃材については、各事業体ごとに自社及び委託により処理されており、原木市場・製材工場における主な処理・利用状況は、表2−5−14のとおりである。
 なお、14年度に「栃木県木質資源循環利用推進指針」を策定し、15年度には県内をはじめとする木質資源循環利活用の先進事例を調査した事例集を作成して、主に林業・木材産業関係者を対象に普及・啓発を図ったところである。
 併せて15年度からは、指針に従った木質系残廃材の循環利活用を検討する地域活動に対して、支援を行っている。

  2−5−14 原木市場・製材工場等における処理・利用状況

単位:千m3/年

種類 排出量

処理・利用方法

チップ原料 成形燃料 燃料 家畜敷料 生育基材 焼却 不明
鋸屑 24 0 1 0 19 0 1 3
樹皮 56 0 0 0 16 15 2 23
上記以外 11 6 0 0 0 0 3 2
91 6 1 0 35 15 6 28

(注)1処理・利用量が少量の項目も“0”に含まれる。
   2指針策定時のアンケート調査による推計値である。

  ウ 建設副産物の再資源化

 建設工事から発生するアスファルト・コンクリート塊等の建設副産物の再資源化・再利用を促進する。
 14年度における栃木県内公共工事(県・市町村)の建設副産物の排出量及びリサイクル率は表2−5−15、表2−5−16のとおりである。

  2−5−15 建設副産物排出量(14年度)

(注)表中の建設廃棄物その他については、県事業0.266万t、市町村事業0.079万tの搬出となり、その合計は0.345万tである。表2−5−15

表2−5−16 建設副産物リサイクル率(14年度)    (単位:%)


(注)表中の( )書き数字については、焼却を含めた数値である。

(4)ダイオキシン類削減対策

 栃木県環境保全資金の融資対象に産業廃棄物処理施設を追加して、処理業者が設置する焼却施設の改造等を支援している。

(5)ポリ塩化ビフェニル(PCB)対策

 13年7月に「ポリ塩化ビフェニルの適正な処理の推進に関する特別措置法」が施行され、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保管する事業者は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管及び処分の状況を都道府県知事等に届け出るとともに、15年以内にこれを適正に処分しなければならないこととなった。

(6)土砂等適正処理対策

 建設残土等の処理に伴う有害物質の混入や無秩序な埋立て等に対する不安等から、建設残土等の土砂による埋立てについて周辺住民とのトラブルが発生していた。
 このような状況を踏まえ、県民の生活の安全の確保と生活環境の保全のため、11年4月に「土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」を施行し、県内における土砂等の埋立ての適正処理を推進している。
 なお、県条例の規制対象面積未満(3,000m2未満)の埋立てについては47市町村が条例を制定している。

(7)産業廃棄物関係諸団体

 産業廃棄物を適正に処理するために、産業廃棄物処理業者の資質の向上、産業廃棄物に関する知識の普及・啓発並びに産業廃棄物の適正処理及び再生利用に関する調査研究、研修、情報の収集等を推進する。
 これらの諸活動を主目的として、(財)栃木県環境保全公社及び(社)栃木県産業廃棄物協会が組織されており、それぞれ調査研究活動や研修会等により、産業廃棄物の適正な処理及び再生利用等に向けて活動を展開している。県は両団体の運営管理について適正な指導監督を行うとともに諸事業について必要な援助を行っている。

 

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