U 人と自然が共生する潤いのある地域づくり

3 生物多様性の保全

1 野生生物の生息等の状況

1 多様な野生生物の生息・生育

  • 本県は、地形・標高の多様性や気候の変化域に当たるなどの特性から、多くの種類の野生生物が生息・生育しています。
  • 17年には「奥日光の湿原」がラムサール条約に登録されるなど、多くの生物が生息・生育する湿原等の湿地(水辺)の保全への県民の関心が高まっています。

2 野生鳥獣による農林水産業被害

  • 近年、ニホンジカやニホンザルなどの特定の野生鳥獣の生息数増加や生息域の変化により、農林水産業被害や自然植生に対する食害が発生し、大き な問題となっています。

3 絶滅の危機に瀕している動植物種の増加

  • 県では、16年度に「レッドデータブックとちぎ」を発行し、県内における野生生物の生息・生育状況を明らかにしましたが、他県と同様、絶滅の危機に瀕している種が増加しています。

4 外来種の移殖・移入による影響

  • 従来その地域に存在していなかった動植物が人為的な要因により持ち込まれた結果、その地域特有の生態系等に影響を及ぼしていることが問題となっています。
  • 本県においても、オオクチバス等の外来魚を中心に複数の外来種が確認されるなど、生態系への影響が懸念されています。

2 生物多様性の保全対策

1 多様な野生生物の保護

  • 野生生物の生育状況等の調査研究を進め、野生生物の保護・救護、情報の収集提供、保護意識の啓発の充実を図るとともに、大規模な開発事業の実 施に当たっては、事業者に対し適切な調査と必要な保護対策の実施を指導するなど、野生生物の保護に努めています。

2 貴重な野生動植物種の保護

  • レッドデータブックとちぎ」を広く県民に周知するとともに、希少種など貴重な野生生物の分布や生息・生育環境等の各種調査や情報収集を行い、保護対策を推進しています。
  • 県内4ヶ所に生息が確認されているミヤコタナゴについては、それぞれの地域性に合わせた生息環境の保全や保護増殖のための事業を推進しています。

3 野生生物の生息・生育空間の確保

  • 農村地域における農地・水路・ため池等の二次的な自然は、有機的に連携して多くの生物相を育み、多様な生態系や自然環境を形成していることから、これらの田園自然環境の保全・再生を行うための地域の自主的な活動を支援しています。
  • 多様な野生生物の生息・生育する湿原については、人為的な影響による乾燥化を防止し、適正な利用を図るとともに、その保全に努めています。

4 野生鳥獣の適正な保護管理

  • 「第9次鳥獣保護事業計画」に基づき、鳥獣保護区の指定を進めました。
  • シカ、サル等について、生息環境の保全や健全な地域個体群の維持を図るとともに、農林水産業被害対策を進めるため、「特定鳥獣保護管理計画」を策定し、関係機関とともに科学的・計画的な保護管理を推進しています。


シカ侵入防止柵

5 外来種の生息・生育状況の調査等

  • 生態系や農林水産業等に係る被害を及ぼす外来種対策を進めるため、外来種の生息等に関する情報や効果的な防除方法に関する情報の収集に努める とともに、県民等に対し、外来種の移植・移入の防止及び防除に関する普及啓発に努めています。


県民参加によるオオハンゴンソウの除去作業

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