栃木県水環境保全計画概要版

W 水環境に関する施策

 

基本目標2 豊かな水を育む流域を保全する


1

水の有効利用の推進

(1)節水の推進

 1 節水意識の醸成

  • 「水道週間」や「水の週間」行事の実施等を通じて、水の大切さや節水等について、県民意識の醸成を図る。

 2 水道配管の漏洩防止

  • 水道配管からの漏水等に対処するため、水道事業者等が実施する老朽管の更新を促進する。

(2)水の循環利用の推進

 1 雑用水利用の普及

  • 公共施設等において、雨水等の再利用による雑用水利用を推進し、県民への普及を図っていく。

 2 処理水の利活用

  • 下水処理場や農業集落排水処理施設からの処理水を修景用水、農業用水などに再利用する。

 3 工業用水の回収利用

  • 工業用水は、一度使用した水を回収して繰り返し再利用するなど、有効利用が図られているが、今後とも回収率の向上を図り、再利用に努める。

 4 農業用水の効率的な利用

  • 農業用水の反復利用を推進するとともに、水管理制御等、水の有効利用に向けた施設の整備を支援する。

    (3)地下水の保全と適正利用

 1 地盤・地下水の現況把握

  • 地盤沈下の状況を把握するため、精密水準測量を継続して実施する。

  • 地盤沈下観測所における地下水位、地盤変動の測定を継続して行う。

 2 地下水の適正利用

  • 栃木県地下水揚水施設に係る指導要綱に基づき、揚水施設による地下水の採取に関し、採取量や揚水機の規模等が適正な施設となるよう指導する。

  • 地盤沈下対策のため、地下水の過剰な採取を規制する条例の制定を検討する。

2

森林の保水機能の向上

(1)森林の保全

 1 森林の整備

  • 森林計画に基づく水源地域の特性に応じた適切な森林整備に対して支援を行う。

  • 水源地域における森林の保水機能を高めるため、荒廃森林等の整備や人工林の複層林施業*1に対して支援を行う。また、路網整備とともに除間伐・枝打ち等を実施する。

 2 保安林の指定及び適切な整備

  • 水源かん養等の公益的機能を高度に発揮させる森林を保安林として指定し、その保全と適切な森林施業を促進する。

 3 平地林の保全

  • 里山の保水機能を確保するため、保安林の指定などを推進し、平地林の適正な管理に努める。

平地林の写真
平地林

(2)開発等における保水機能への配慮

  • 開発等に当たっては、必要に応じて雨水浸透や貯留施設の設置等の代替措置を講じるよう指導するなど保水機能の低下抑制に配慮する。

3

農地の保水機能の向上

(1)農地の整備保全

 1 耕作放棄地の活用

  • 耕作放棄地の発生防止と解消に向けて、担い手への農地の集積を図るとともに、生産性の高い農業を確立するため、その基盤となる圃場整備事業等の農業生産基盤整備事業を実施し、農地の適切な維持管理を推進する。

  • 景観作物等の導入や援農ボランティアによる農地の保全、復旧を図る。

 2 棚田・谷津田の保全

  • 国土保全や水源のかん養など、多面的機能を持つ棚田や谷津田の保全整備を促進する。

  • 多様な地域住民活動やボランティア活動による農業生産活動を通じて耕作放棄地の発生を防止する。

 3 優良農地の確保と保全

  • 自然環境や地域の特性に応じた農業振興地域制度の適正な運用により、農業以外の土地需要に対する利用区分の明確化を図り、優良農地の確保と保全に努める。

    (2)農業生産基盤の整備

 1 環境に配慮した農業用用排水路の整備

  • 農業用用排水路の機能を維持しながら、多自然型工法など環境に配慮した整備について、関係土地改良区及び農業者の合意を得ながら進めていく。

  • 生態系に配慮した整備手法を講じるなど、環境との調和に配慮した農業農村整備を推進する。

 2 ため池の整備

  • 生態系等の水辺環境に配慮するとともに、農業用水の安定的な確保や洪水調整による農地の浸食防止を図るための整備を推進する。

4

都市部及びその周辺部の保水機能の向上

(1)雨水の流出抑制

 1 雨水貯留・浸透施設の設置

  • 降雨時における河川への急激な雨水の流出を抑制し、地下水のかん養を進めるため、水質の保全に配慮しながら雨水貯留・浸透施設の設置の普及を図る。

 2 透水性舗装の整備

  • 地下水のかん養や街路樹の育成を助けるなど多面的な効果が期待できる透水性舗装*1の導入を推進する。

(2)緑地の整備

 1 都市公園の緑化の推進

  • 緑の保全、創出を図るため、都市公園の緑化を進める。

 2 都市緑化の推進

  • 地域の特性に応じた道路・河川・公園等の公共施設の緑化、緑地協定の締結、民有地の緑の保全など都市緑化を推進するため、市町村が地域住民と協力しながら作成する緑の基本計画の策定を促進する。

 3 緑化活動の推進

  • 学校緑化や地域緑化に貢献する緑の少年団活動を支援するとともに、様々な森林・緑づくり活動の支援に活用されている緑の募金を推進する。

  • 道路、河川、公園愛護等のボランティア活動を支援し、緑地の保全と緑化の推進を図る。

(3)開発等における保水機能への配慮

  • 開発に当たっては、できる限り現在の緑地を生かして開発を行うよう配慮するなど、改変に伴う地下水のかん養や保水能力の低下の抑制に努める。

(4)河川の維持流量の確保

  • 安定的な水資源の確保を進め、既得取水の安定化と河川環境の保全等を図る。

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