栃木県水環境保全計画概要版

W 水環境に関する施策

 

基本目標1 きれいで安全な水を確保する


1

発生源対策

(1)生活排水対策

 1 汚水処理施設の整備

  • 公共下水道、農業集落排水施設、浄化槽等の汚水処理施設を、経済性、効率性等の観点から総合的に勘案し、計画的に整備するとともに、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の促進や維持管理の徹底、公共下水道や農業集落排水施設への接続促進などについて普及啓発を行う。

  • 浄化槽の整備を推進するため、市町村が実施する浄化槽市町村整備推進事業への取組を支援する。

  2 生活排水対策の普及啓発

  • 家庭でできる生活排水対策についての普及啓発を行う。

発生源別BOD汚濁負荷の割合グラフ(平成13年度推計値)

(2)工場・事業場対策

 1 工場・事業場に対する監視、指導

  • 水質汚濁防止法、ダイオキシン類対策特別措置法及び県公害防止条例に基づく立入検査を実施する。

  • ダイオキシン類対策特別措置法及び工場・事業場排水等自主管理要領に基づき、工場・事業場に対し、排出水の水質測定及び結果の報告を求めることなどにより、排水処理施設等の適切な維持管理を指導する。

  • 廃棄物処理施設の安全性を確保するため、廃棄物処理業者等に対する指導監督を強化する。また、産業廃棄物の管理型最終処分場については、公共関与により安全性と信頼性の高い施設の整備を計画的に進める。

  • 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の円滑な運用を図り、家畜排せつ物処理施設の整備を計画的に進める。

 2 工場・事業場の自主的な取組の促進

  • 環境保全に関する講習会の開催や、公害防止や環境管理についての専門知識を有する者を工場・事業場に派遣することにより、事業場の環境保全に関する取組を支援する。

  • 工場・事業場の自主的な環境管理を促し、水環境への負荷を低減していくため、ISO14001や環境活動評価プログラム(エコアクション21)の導入促進を支援する。

  • 中小企業者等に排水処理施設の整備や環境保全事業等の実施に必要な資金を融資する。

(3)その他の汚染源対策

 1 森林地域対策

  • 水源地域において表土の流出防止を図るため、適切な治山対策を講ずるとともに、下層植生に富んだ保水機能の高い森林整備を促進する。

 2 農業地域対策

  • 環境に配慮した農業生産を確立するため、農業生産を安定させながら化学肥料・農薬の使用量を減らし、環境と調和した将来的にも持続可能な「環境保全型農業」を推進する。また、土づくりや減農薬・減化学肥料に取り組む農業者を持続農業法に基づき「エコファーマー」に認定し、環境保全型農業技術の普及定着を図る。

 3 都市地域対策

  • 市街地等のほこりやごみ等が降雨時に河川等へ流出しないよう、道路、道路側溝等の清掃活動を推進する。

 4 不法投棄対策

  • 廃棄物の不法投棄防止のため、関係機関等との連携を密にしながら、ヘリコプターや監視カメラによる監視、不法投棄現場の位置情報の収集等、休日・夜間を問わない監視対策を充実強化する。

2

河川・湖沼の浄化

 1 浄化施設の設置

  • 汚濁した河川の浄化を図るため、地元市町村や河川管理者等から構成される地域協議会において策定された水環境改善緊急行動計画に基づき、各機関連携のもと河川浄化施設の整備を実施し、河川の水質改善を図る。

 2 自然浄化機能の活用

  • 河川や湖沼等の浄化に当たっては、必要に応じて植物や水生生物の持つ自然の水質浄化機能の活用を検討していく。

 3 地域住民による取組の促進

  • 奥日光清流清湖保全協議会等により、地元住民、地元市町村、関係団体と連携し水質保全に取り組む。

  • 地域住民による農業用用排水路の管理や植生の保全など生態系にやさしい水辺の保全活動を促進する。

3

有害化学物質等による汚染の防止

(1)化学物質対策

 1 汚染防止対策の推進

  • PRTR法の円滑な施行のため、制度の普及啓発に努め、工場・事業場における有害な化学物質の排出量の抑制を図る。

  • ダイオキシン類については、環境汚染状況を把握・監視するための調査を行う。

  • 現在、県内では水環境中に内分泌攪乱化学物質が著しく検出されるような状況にはないが、今後も引き続き監視を行い、県内の状況を把握していく。

  • 環境に配慮した農業生産を確立するため、農業生産を安定化させながら、農薬や化学肥料の使用量を削減する等、環境保全型農業を推進する。

 2 化学物質についての情報の共有

  • 化学物質に対する正しい理解を得るため、県民、事業者、行政によるリスクコミュニケーションを推進する。

  • 栃木県化学物質対策連絡会議において、化学物質対策を全庁的に調整し、総合的に推進する。

    (2)水道水等の水質保全

 1 水道水の安全確保

  • 栃木県水道水質管理計画を推進するとともに、市町村(水道事業者等)の策定する水質検査計画について、広域的な視点から必要な助言、指導を行い、計画がより流域の実状に即したものとなるよう協力する。

  • 水道施設における感染性微生物対策の実施を促進するため、公共用水域等におけるクリプトスポリジウムの調査を実施する。

 2 飲用井戸の安全確保

  • 飲用井戸の安全を確保するため、市町村(水道事業者等)と連携し、飲用井戸設置者に対し、適正な管理についての指導を行うとともに、正しい知識の普及を図る。

 3 水源の保護

  • 市町村(水道事業者等)が行う水道原水の水質保全のための行動計画の策定、普及啓発活動を支援する。

  • 水源地域の森林を保全するため、保安林の指定、森林計画に基づく適切な森林整備、治山事業を推進する。

  • 大規模開発に対しては、環境影響評価制度や各種開発関係法令等を厳格に運用し、適切な開発あるいは開発規制を行う。

4

水質の監視

(1)水質監視体制の充実

 1 公共用水域の水質監視

  • 水質測定計画に基づき、河川、湖沼及び地下水の水質常時監視を継続的に実施するとともに、国土交通省、市町村との連携による水質監視の充実を図る。

 2 異常水質対策

  • 栃木県異常水質対策要領により、通報連絡体制を整備し、環境保全に必要な連絡調整及び各種対策調査を行う。また、事業場等における安全管理の徹底、地域住民の水質保全に対する意識の高揚を図る。

  • 事故発生時には、状況に応じて関係自治体や国土交通省とも連絡体制を密にし、発生原因の把握と被害の拡散防止を図る。

(2)環境基準類型指定の見直し

  • 河川水質の一層の保全を図るため、水質汚濁の状況や水利用状況の変化等に対応した適切な類型指定の当てはめや見直しを行う。

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