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更新日:2009年2月17日

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平成21年2月議会知事説明要旨

第297回県議会定例会 知事説明要旨 (平成21年2月20日) 栃木県

 第 297回県議会定例会の開会に当たりまして、県政運営に当たっての所信の一端を申し述べますとともに、平成21年度予算案、平成20年度補正予算案並びにその他の議案等につきまして御説明申し上げます。

〔県政運営の基本方針〕

 世界の金融資本市場の危機を契機とした 100年に一度と言われる世界的な景気後退が進む中、日本経済は、輸出の大幅な落ち込みに加え国内需要も停滞し、雇用情勢や企業の資金繰りが一段と厳しくなるなど、景気が大幅に悪化しており、その長期化・深刻化が懸念されています。
 本県においても、地域の中核企業の撤退、新規投資の抑制、大幅な生産調整などが相次ぐとともに、非正規労働者の解雇も全国的に上位となっているほか、中小企業においても経営環境が悪化するなど、大変深刻な事態に陥っています。
 こうした中、国は、世界経済の混乱から国民生活を守り、景気の回復を最優先とし、総額11.5兆円規模の「安心実現のための緊急総合対策」に引き続き、総額64兆円規模の「生活防衛のための緊急対策」を策定し、第一次補正予算、第二次補正予算、そして平成21年度当初予算と切れ目なく対策を実行することとしています。
 本県でも、この経済危機への対応を、当面の最重要課題と位置づけ、昨年11月、新たに私を本部長とする「栃木県緊急経済対策本部」を立ち上げ、これまで、「中小企業の資金繰り対策」、「緊急雇用対策」、「中小製造業の受注確保対策」、「住宅対策」、国の第一次補正予算に対応した公共事業の前倒し実施などに、全庁を挙げて迅速に取り組んで参りました。
 今回、国の第二次補正予算に呼応し、平成20年度2月補正予算とともに、平成21年度当初予算において、経済対策を取りまとめたところであり、可能な限り早期に執行することで、深刻な景気悪化から一日も早く抜け出せるよう全力で取り組んで参る考えであります。
 具体的には、雇用対策として、国の交付金を基に創設する、ふるさと雇用再生特別基金及び緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、雇用機会の創出を図るほか、経済活性化対策として、中小企業向け制度融資の拡充を図るとともに、県単公共事業などの社会資本整備を前倒しして実施することにより、補正予算と当初予算を合わせて、いわゆる「13ヶ月予算」として切れ目のない事業の実施を図り、景気の下支えをして参ります。
 さらに、生活対策として、国の交付金を基に、消費者行政活性化基金、安心こども基金及び妊婦健康診査支援基金を創設するとともに、障害者自立支援対策臨時特例基金の積み増しを行い、これらを活用し、消費生活相談窓口の機能強化や子育て支援、障害者の自立支援のための事業を実施して参ります。
 一方、本県の財政につきましては、過去に大量発行した県債の償還や医療福祉関係経費の増加等に対し、三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減等により、毎年多額の財源不足が生じております。
 これまで「栃木県行財政改革大綱」に基づき、職員数の削減や事務事業の見直しなど、内部努力を徹底してきたものの、財源不足解消には至らず、財政調整的基金を取り崩さざるを得ませんでした。
 平成21年度当初予算においても、財源不足額の圧縮に最大限努めたものの、景気後退による県税収入の大幅な減少から、財政調整的基金をすべて取り崩すこととなり、年度末の残高はゼロとなる見込みであります。
 加えて、今後5年間の収支見通しでは、毎年 300億円を超える財源不足が見込まれるなど、かつて無い危機的な状況を迎えています。
 このため、「財政健全化に向けた基本的な考え方」をまとめ、改めてゼロベースの視点に立ち、聖域なく事業の見直しを進めるとともに、優先順位の見極めによる徹底した選択と集中を図り、収支の均衡した持続可能な財政基盤の確立に、全庁を挙げて取り組むことといたしました。
 まずは、現下の経済情勢を踏まえ、財政健全化に取り組む姿勢を示すため、私を含む特別職の給与カットを実施いたします。また、基本的な考え方に基づく具体的な見直し作業を進め、本年9月には「栃木県財政健全化プログラム(仮称)」を決定し、このプログラムに沿った取組を行って参ります。
 さらに、第二期地方分権改革が本格化し、この春には地方分権改革推進委員会の第3次勧告において、国から地方への税財源の移譲など、最大の懸案である地方税財政制度の改革方針が示されるほか、来年度中には、地方分権改革推進計画の策定、新地方分権一括法(仮称)の制定が予定されるなど、いよいよ正念場を迎えます。
 私は、県総合計画「とちぎ元気プラン」において、すべての県民がお互いの立場や垣根を乗り越え、様々な課題に対して協働して取り組む「新たな“公”を拓く」という考え方を示しましたが、現下の厳しい経済情勢において、深刻な財源不足を克服し、地方分権型社会の構築を進めていかなければならない今だからこそ、その重要性はより一層増していると考えております。
 そのため、引き続き、すべての活動の原動力となる「人づくり」を政策の基本に据え、未来に向けて果敢にチャレンジする県民、団体、企業等を積極的に支援するとともに、住民に最も身近な自治体である市町村と連携しながら、元気で活力ある“とちぎ”の実現を目指し、対話と協調、そして県民中心・市町村重視の県政を推進して参る考えであります。
 さらに、大きな変革のうねりの中で、これからの“とちぎ”のビジョンを描き、県民や市町村などと共有する県政の羅針盤を示すことが重要と考え、平成23年度を初年度とする次期総合計画の策定に着手することといたしました。県民の皆様と、より一層対話を深めながら、県民誰もが安心して生活でき、夢と誇りを持っていただける計画を策定していきたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。 

〔平成21年度予算編成の基本的な考え方〕

 次に、平成21年度予算編成に当たっての基本的な考え方を申し上げます。
 地方財政計画においては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」等に沿って、引き続き歳出が抑制される中で、昨年12月の「生活防衛のための緊急対策」を踏まえ、地域雇用創出推進費の創設などにより、地方交付税が別枠で1兆円増額されましたが、景気の後退に伴う税収減等により地方における財源不足が拡大したため、臨時財政対策債が大幅に増額されたところであります。
 こうした中、本県の財政は、県税収入が過去最大の減額となり、地方交付税及び臨時財政対策債の増額では対応しきれない、かつてなく厳しい状況となりました。
 このため、内部努力の徹底、事業の選択と集中を進めるとともに、財政調整的基金をすべて取り崩すなどにより財源の確保を図り、現下の最重要課題である経済活性化や雇用創出などの経済対策に積極的に取り組むとともに、「平成21年度政策経営基本方針」に掲げた重点施策や重点テーマ等の施策、また、「とちぎ元気プラン」に掲げた施策について、着実に推進を図ることとしたところであります。
 まず、「平成21年度政策経営基本方針」に掲げた3つの重点施策と3つの重点テーマについて御説明申し上げます。
 はじめに、重点施策でありますが、県民の皆様にとって、喫緊かつ重要な3つの課題に取り組んだところであります。
 一つ目は、災害への対応でありますが、大規模地震やゲリラ豪雨をはじめとする自然災害に備えた対応を進めて参ります。昨年8月の道路冠水による事故を踏まえ、県管理道路のアンダーパスへの監視用カメラ及び冠水情報板について、平成21年度に集中して設置して参ります。また、救急医療用ヘリコプター、いわゆる“ドクターヘリ”を導入することとし、獨協医科大学病院における運行等に対し助成して参ります。さらに、災害時の情報収集手段の確保及び地域間の情報格差の是正の観点から、山間部等の難視地区における地上デジタル放送の共聴施設の整備に対して助成して参ります。
 二つ目は、いじめ、不登校、虐待など、多様化する児童問題への対応についてであります。軽度の情緒障害を有する児童の治療や退所後の相談支援にあたる情緒障害児短期治療施設の整備に対し助成を行うとともに、中央児童相談所に併設する一時保護所について、定員増や機能強化を図るために増改築を行うことといたしました。
 三つ目は、県民文化の継承及び創造への取組であります。栃木県文化振興条例や文化振興基本計画を受け、栃木県文化振興基金を設置し、文化活動団体の多彩な活動や、地域伝統文化の保存・継承事業を支援して参ります。
 次に、元気で活力ある“とちぎ”を県民の皆様と協働して築いていくための、3つの重点テーマについてであります。
 一つ目は、「団塊の世代に着目した“とちぎ”の元気づくり」であります。団塊の世代の皆様の経験や能力を活かしていただいたり、また、首都圏在住の方々に本県にお出でいただくための施策を、平成21年度も引き続き実施して参ります。
 二つ目に、「ブランドに着目した誇り輝く“とちぎ”づくり」でありますが、「無名有力県」である本県が「有名有力県」となるためには、特色ある優れた地域資源を地域が一体となって育て上げ、“とちぎ”ブランドとして全国に情報発信していくことが重要であります。
 そのため、かねてより要望の多かったアンテナショップの設置について、市町村や関係団体と具体的な検討を行って参りますほか、「とちぎ食の回廊」づくりでは、平成20年度内に、県内で「食の街道」の整備に係る8つの推進協議会が設立される見込みであり、平成21年度には、そば、いちご、牛乳など、魅力ある地域資源を活用した街道形成を進め、とちぎブランドを全国に発信して参ります。
 また、一元的な情報発信として、本県の優れた県産品を広く全国へ販売するため、インターネットを活用したバーチャルショップの開設を支援して参りますほか、道の駅「にのみや」に、いちご情報館(仮称)を整備し、いちごに関する様々な情報提供を行って参ります。
 こうした取組を、全庁を挙げて積極的に推進し、本県が「有名有力県」となるよう、県民の皆様とともに頑張って参ります。
 三つ目に、「地球と人にやさしい“エコとちぎ”づくり」であります。地球温暖化が世界的な課題となっている中、本県においても県民が主体的に温暖化対策に取り組んでいく必要があります。このため、県民誰もが参加できるレジ袋削減等によるエコポイントモデル事業を実施するほか、とちぎe技術大賞、フードマイレージ削減チャレンジ事業など、企業による取組も促進して参ります。
 次に、重点を置いて予算編成に取り組んだ、特徴的な6項目について、御説明申し上げます。
 第一は、県内産業の活性化と雇用対策の推進であります。
 厳しい経済情勢を踏まえ、制度融資の新規融資枠を拡大し、資金繰りが厳しい中小企業に対する金融支援を行うこととし、特に、昨年11月に創設した緊急環境変化対策資金については、中小企業の経営安定のため、需要も踏まえ、大幅に融資枠を拡大して対応することといたしました。
 また、雇用の安定と人材の育成を進めるため、国の交付金により創設する2つの基金を活用し、積極的に雇用機会の創出を図って参りますとともに、離職者等に対する特別職業訓練の枠を拡大するほか、農業や福祉・介護分野での技術習得、資格取得などを促進し、就業機会の拡大を推進して参ります。
 観光の分野では、体験・滞在型のニューツーリズム創出に向けた検討を進めるほか、温泉観光地の景観整備等を支援するなど、観光宿泊客数のアップに取り組んで参ります。
 また、那須高原地域において、那須町等と共同して、パーク・アンド・バスライドの社会実験を行うことといたしました。10月に3日間の期間を設定し、観光客の皆様に自家用車からバスに乗り換えて移動していただき、全国有数の観光地における渋滞の解消と排気ガスの削減に取り組んで参りたいと考えております。
 農業の分野では、意欲ある農業者による販路の開拓を促進するため、アドバイザーの設置と合わせ、都内に定期的に販路開拓の場を設けて参ります。また、企業等の農業への参画促進のための条件整理や、先進的農業経営者育成のための研修支援制度のあり方について検討して参ります。
 第二は、安全で安心な地域社会づくりであります。
 県立高等学校校舎の耐震補強計画を平成20年度9月補正予算において一年前倒ししたところであり、計画を早めて改修工事を実施するとともに、県有建築物についても耐震診断・耐震改修設計を実施して参ります。あわせて、河川の親水施設に、急な増水に対する注意喚起看板を設置するなど、地域防災力の強化を図って参ります。
 また、身近な暮らしの安全を守るため、高齢者への振り込め詐欺の抑止のための啓発事業を行うほか、緊急通報装置の貸与などDV・ストーカー被害対策にも取り組んで参ります。
 さらに、環境保全と循環型社会づくりにつきましては、生物多様性を確保するため、本県の特性にあった地域戦略の策定を進めるほか、那珂川町に整備する馬頭最終処分場につきましては、住民の皆様の御理解を得ながら、用地取得を着実に推進して参ります。
 第三は、人間力の向上と心豊かな人づくりであります。
 子どもたちの基礎学力の習得状況を把握するため、小中学校の全学年に対して県独自の調査を行い、基礎的内容の定着を図るほか、県立高校においては、誇れる人材育成、魅力ある学校づくりなど特色ある学校づくりを推進して参ります。
 また、スポーツの振興につきましては、平成23年度に本県で開催される全国スポーツ・レクリエーション祭の開催準備のため、平成21年度から教育委員会事務局に推進室を立ち上げて対応するほか、グリーンスタジアムについて、J2への昇格を果たした栃木SCの当面のホームスタジアムとして、Jリーグの試合が開催可能となるよう改修を進めて参ります。さらに、総合スポーツゾーンについては、全体構想の策定及び民間活力導入等の整備手法の検討を進めて参ります。
 第四は、保健・医療・福祉の充実と少子化対策の推進であります。
 まず、塩谷総合病院につきましては、国際医療福祉大学への円滑な移譲と診療機能回復のための支援を行うほか、足利赤十字病院の移転整備への助成を行うことといたしました。さらに、国の「緊急医師確保対策」に基づき、自治医科大学医学部への本県入学枠として3名の定員を確保するなど、医師確保対策に取り組んで参ります。
 また、新たに設置する基金を活用し、市町村が実施する妊婦健康診査への公費負担に対し、既に交付税措置がなされている5回を超えて14回までを公費負担する場合について助成するとともに、保育所の緊急整備や放課後児童クラブの設置、保育士の資質向上研修事業等へ助成するほか、さらには障害者自立支援法に基づく制度の円滑な移行のための事業所等に対する支援を行って参ります。
 第五は、元気な地域づくりと生活基盤の整備であります。
 引き続き、「わがまち自慢」推進事業に取り組み、住民自らの創意工夫による個性あふれる地域づくりを支援するとともに、県民生活に身近な生活基盤の整備につきましては、経済活性化の観点からも、通学路の歩道整備をはじめとする必要な社会資本の整備に重点を置きながら、着実に推進して参ります。
 さらに、団塊の世代の「田舎暮らし」の促進と合わせ、過疎化、高齢化の進行する農山村地域の活性化に積極的に取り組んで参ります。
 第六は、新たな「とちぎ」づくりであります。
 県民との協働による県政の推進につきましては、新たに設置する文化振興基金や、とちぎの元気な森づくり基金、日光杉並木街道保護基金では、県民の皆様からの寄附を活用した事業に取り組んで参ります。
 行財政改革の推進につきましては、景気低迷の中、財政出動による経済活性化対策が求められるところでありますが、一方で、県税収入の大幅な減少や財政調整的基金の枯渇が見込まれるなど、財源不足が顕著なことから、これまで申し上げた重点課題等に対応する財源を捻出するため、特別職の給与カットをはじめ、職員数の削減、管理職手当10%カットの継続などの内部努力を徹底するとともに、受益者負担の適正化を図るほか、新たな財源の確保などに取り組んだところであります。
 このような基本的な考え方により編成いたしました結果、平成21年度一般会計予算の総額は、前年度比 0.9%増の 7,669億 4,000万円となりました。県税、地方交付税、地方譲与税等の歳入につきましては、現時点で見込み得る額を計上したものであります。
 なお、県債につきましては、臨時財政対策債が倍増することから、発行額が大幅に増加し、年度末における県債残高は1兆円を超える見込みであります。

〔主な施策の概要〕

 続きまして、平成21年度の主な施策について、「とちぎ元気プラン」の5つの基本目標に沿って申し上げます。
 第一に、知恵にあふれ心豊かな人づくりについてであります。
 小中学校につきましては、本県独自の少人数学級を引き続き推進し、基礎的・基本的な学力の向上を図って参ります。
特別支援教育につきましては、栃木特別支援学校に肢体不自由教育棟の整備を進めるとともに、富屋特別支援学校の児童生徒の増加に対応するため、鹿沼市立西中学校の敷地に分校を整備して参ります。
 いじめ・不登校の問題につきましては、スクールカウンセラーの配置をはじめ、教師・児童生徒・保護者や地域の連携による早期発見・早期対応の取組など、学校・家庭・地域が一体となって、その解消に努めて参ります。
 県立高校の再編につきましては、前期実行計画に基づく科学技術高校の建築工事に着手するほか、後期実行計画に基づき、佐野女子高校の共学化に必要な施設整備を進めるなど、多様な学習ニーズに対応できる魅力ある学校づくりを着実に推進して参ります。
 また、学校の規模等に応じて主幹教諭を配置し、組織運営機能の強化を図って参ります。
 私学教育につきましては、教育諸条件の維持・向上と保護者の経済的負担の軽減を図るため、引き続き私立学校及び私立幼稚園に対し、助成して参ります。
青少年を取り巻く環境の整備につきましては、携帯電話の有害サイトの危険性等について啓発活動を展開し、子どもを有害な環境から守る取組を促進して参ります。
 第二に、いのちをやさしく見守る社会づくりについてであります。
まず、安心して子どもを産み育てられる環境づくりにつきましては、
母子保健対策として、引き続きこども医療費の助成を行うとともに、子ども医療センターの安定した運営を確保していくほか、妊婦の搬送・受入等の調整を図る周産期医療連携センターの円滑な運営を確保して参ります。
 また、「女性自立支援センター(仮称)」につきましては、建物の建設に着手して参ります。
次に、障害者の自立支援につきましては、授産製品の販路拡大などによる工賃倍増5か年計画を推進するとともに、就労支援にも力を注ぐほか、グループホーム・ケアホームの整備を促進して参ります。また、高次脳機能障害の支援拠点機関の設置に向けた体制整備を行って参ります。
 健康づくりと疾病予防につきましては、今後流行が懸念される新型インフルエンザに備え、発熱外来の診療体制整備を図るほか、治療薬の備蓄を進めるなど、積極的に対応して参ります。
 また、安心で良質な医療の確保につきましては、県民の皆様が安心して医療サービスが受けられるよう、救急医療体制の確保に努めるとともに、引き続き、医師及び看護職員の確保対策にも取り組んで参ります。
 第三に、確かな技術と創造性に富む産業づくりについてであります。
 まず、農業の振興につきましては、首都圏に位置する本県の地理的優位性を最大限に活かし、競争力のある強い産地づくり、安全で安心な農産物の安定供給、食品産業等との連携強化などを推進して参ります。
 特に、農産物のブランド化につきましては、「とちおとめ」「とちぎ和牛」などのPRに努め、輸出拡大への取組などを通して、生産者団体自らによる販路拡大を支援して参ります。
また、とちぎ農業未来塾等により、団塊の世代を含めた多様な人材の就農を促進するほか、地産地消・食育の推進の一環として、子どもたちに「おいしいごはん」を実感させる体験活動を実施して参ります。さらに、飼料用米等の生産拡大を図るなど飼料自給率向上対策にも取り組んで参ります。
 林業と木材産業の振興につきましては、住宅用スギ材の用途を広げ、県産材の需要拡大を図るとともに、特用林産物の生産振興対策や林業担い手対策を実施するなど、一層の活性化に努めて参ります。
 次に、商工業の振興についてであります。
 本県の強みや特徴を活かした産業振興を図るため、とちぎ産業振興プロジェクトの重点振興産業分野について、これまでの自動車・航空宇宙産業の2分野に続き、医療機器・環境・光産業の3分野を新たに追加したところであり、関連企業の連携や技術力の向上等を支援して参ります。
 企業の立地・定着促進につきましては、引き続き優遇措置としての助成制度を継続していくほか、特に大規模立地については補助率の拡充を図ることといたしました。
 人材の育成と円滑な就労の促進につきましては、県内3箇所の高等産業技術学校について、地域のニーズ等を踏まえ、カリキュラムの変更等の再編整備を行うとともに、離職者の再就職支援のための相談業務や合同面接会の開催等に積極的に取り組んで参ります。
 第四に、快適でにぎわいのある交流地域づくりについてであります。
 まず、快適で活力ある暮らしの基礎となる道路や河川、生活排水処理施設等の社会資本整備につきましては、県民ニーズを踏まえ、通学路の交通安全対策などに重点を置きながら、計画的、効率的に整備を進めて参ります。
 次に、公共交通ネットワークの整備に関しましては、引き続き第三セクター鉄道に対する支援を行うとともに、市町村による生活バス路線の運行改善の取組を支援して参ります。
 また、県土60分構想に基づき、体系的な道路網の整備を計画的に推進するほか、活気あふれるまちづくりでは、市街地再開発事業や土地区画整理事業などにより、中心市街地における都市基盤の整備を進めて参ります。
 次に、いきいきとした農山村づくりにつきましては、団塊の世代のとちぎ暮らしや都市と農村の交流促進を図るとともに、継承したいふるさとの田園風景を「とちぎの田園風景百選」として認定し、地域づくりに活用して参ります。また、引き続き、農地や水などの豊かな地域資源の保全活動を積極的に支援いたします。
 次に、魅力ある“観光とちぎ”づくりを推進するため、本県の豊かな観光資源を積極的にPRするとともに、観光客の満足度を向上させるための施設整備を推進するほか、観光ホスピタリティの向上を図る研修会等を開催するなど、おもてなしにも配慮し、市町村や観光関係者と連携し、魅力ある観光地づくりを進めて参ります。
 また、国際化の推進につきましては、インディアナ州との友好交流が10周年を迎えることから、記念事業を実施するなど友好交流を深めて参りますほか、外資系企業の誘致、県産品の海外販路拡大など、経済活動の国際化も積極的に支援して参ります。
 さらに、とちぎボランティアNPOセンターを核として、ボランティア活動など、県民の社会貢献活動の定着と発展を図って参ります。
 第五に、安心のくらしを支える環境づくりについてであります。
 まず、環境問題につきましては、県民との協働で取り組んでいくため、県民共通の基本理念を掲げる「とちぎ環境立県戦略(仮称)」を策定して参ります。
 また、地球温暖化防止対策につきましては、「とちぎの元気な森づくり県民税」を活用した森林整備において、新たに獣害防止対策を実施するなど、森林吸収源対策にも積極的に対応して参ります。
 野生鳥獣による農林業被害の防止につきましては、引き続き、防護柵の設置促進やイノシシの個体数調整等の取組を支援して参ります。
 次に、安全で安心なまちづくりの推進につきましては、警察官を増員するほか、交通事故の発生を抑止するため、交差点の改良や通学路の歩道の整備、視認性に優れた標識・標示の整備を計画的に進めて参ります。また、新たに創設する交通安全基金を活用し、高齢運転者に対する参加・体験・実践型の講習会等を開催するなど、交通事故防止に努めて参ります。
 安心できる消費生活の実現につきましては、消費者行政活性化基金を活用し、消費生活相談の機能強化等を図って参ります。
 防災対策につきましては、地域の消防力の強化や治山・治水対策の推進を図るなど、地域防災力の向上に努めて参ります。
 以上、県政運営に当たっての所信の一端や予算編成の基本的な考え方、主な施策の概要について御説明申し上げましたが、ここに改めまして、県議会議員各位の御理解と御協力をお願いいたします。

〔その他の議案〕

 次に、その他の議案について申し上げます。
 第2号議案から第11号議案までの10件は特別会計予算、第12号議案から第17号議案までの6件は企業会計予算であります。
 第18号議案は、平成21年4月1日から平成24年12月8日までの間、知事等の給料月額及び期末手当の額を減額するため、新たに条例を制定するものであります。
 第19号議案から第34号議案までの16件は、条例の制定、一部改正等について、それぞれ議決を求めるものであります。
 第35号議案は、大田原市及びさくら市の境界変更について、議決を求めるものであります。
 第36号議案は、全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について、議決を求めるものであります。
 第37号議案及び第38号議案は、公の施設に係る指定管理者の指定について、それぞれ議決を求めるものであります。
 第39号議案は、包括外部監査契約の締結について、議決を求めるものであります。
 第40号議案は、栃木県道路公社の定款の変更について、議決を求めるものであります。

〔平成20年度補正予算案等の概要〕

 次に、平成20年度補正予算案並びにその他の議案等について、御説明申し上げます。
 まず、第41号議案は、平成20年度一般会計補正予算であります。
 今回の補正予算は、国の「生活防衛のための緊急対策」に呼応し経済対策を実施するとともに、予算の執行状況を精査の上、今後の安定的な財政運営の確保に配慮して編成したものであります。
 歳入につきましては、減収が見込まれる県税を減額するほか、国の補正予算に伴う交付金、交付額が確定した普通交付税及び地方特例交付金、繰越金等を追加計上し、あわせて歳出不用額の整理を行うことにより、財政調整基金の取り崩しの一部を取り止めることといたしました。
 歳出につきましては、国の交付金を基にした各種基金の積立、公共事業費や県単公共事業費の追加等を行うとともに、平成20年度に廃止する県庁舎建設基金の残余金を県債管理基金に積み立てるほか、事業費の確定した経費について所要の補正を行うことといたしました。
 この結果、補正予算の総額は66億 3,806万円の増額となり、補正後の予算総額は 7,711億 9,209万円となります。
次に、第42号議案から第46号議案までの5件は特別会計の補正予算、第47号議案から第52号議案までの6件は企業会計の補正予算であります。
 第53号議案から第58号議案までの6件は、消費者行政活性化等のための基金条例の制定について、議決を求めるものであります。
 第59号議案は、栃木県障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正するものであります。
 第60号議案及び第61号議案は、栃木県県庁舎建設基金条例及び栃木県交通災害共済事業基金条例の廃止等について、それぞれ議決を求めるものであります。
 第62号議案から第64号議案までの3件は、県の行う建設事業等に対し市町村が負担する金額の変更について、それぞれ議決を求めるものであります。
 第65号議案から第67号議案までの3件は、工事請負契約の締結について、それぞれ議決を求めるものであります。
 第68号議案は、地方自治法第 179条の規定による専決処分事項について、承認を求めるものであります。
 第69号議案は、訴えの提起について議決を求めるものであります。
 報告第1号は、地方自治法第 180条の規定による専決処分事項の報告であります。
以上が、今回提出いたしました議案等の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、議決されますようお願い申し上げます。 

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