
4年(1992年)に世界の首脳レベルが集まり、「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」が開催されました。この会議では、「持続可能な発展」を実現するための21世紀に向けた具体的な行動計画として「アジェンダ21」が採択され、現在の地球環境問題への取組の出発点となりました。
典型的な地球環境問題には、次の9つがあります。
(1) 地球の温暖化
(2) オゾン層の破壊
(3) 酸性雨
(4) 森林(特に熱帯林)の減少
(5) 野生生物の種(生物多様性)の減少
(6) 砂漠化
(7) 海洋汚染
(8) 有害廃棄物の越境移動
(9) 開発途上国における環境問題
1 地球温暖化
地球温暖化は、人類の生存基盤さえも脅かしかねない問題であり、これを解決するためには、世界中の人々が協力し、世代を超えて取り組んでいかなければなりません。
このため、国際連合は4年に「気候変動枠組条約」を策定し、この条約のもとに9年12月に開かれた「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3:地球温暖化防止京都会議)」では、先進各国に対する二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減目標を定めた「京都議定書」が採択されました。
我が国は、14年6月に京都議定書の締結を閣議決定し、国連に受諾書を寄託しました。京都議定書は17年2月16日に発効し、我が国ではこれを受け、4月には「京都議定書目標達成計画」を策定しました。
2 オゾン層の破壊
冷蔵庫やエアコンなどに使用されていたフロン類が大気中に放出されると、オゾン層が破壊され、紫外線の量が増加し、人の健康や生態系に被害をもたらすおそれがあります。
フロン類については、「モントリオール議定書」や「オゾン層保護法」などにより、その生産や輸出入の規制が行われてきましたが、13年6月に、業務用冷凍空調機器などの製品中に含まれるフロン類の廃棄時の回収・破壊を規定した「フロン回収破壊法」が制定され、これによりフロン類の大気への放出が禁止されるとともに、適正な回収・破壊が行われています。


1 地球温暖化対策地域推進計画の推進
県の地球温暖化対策を計画的、総合的に推進するため、温室効果ガスの削減目標の設定とそれを達成するための県の施策及び県民、事業者、行政の行動指針を具体的に示した「栃木県地球温暖化対策地域推進計画」を12年3月に策定し、各種対策に取組んでいます。
16年度は、「地球温暖化対策推進法」に基づき、栃木県地球温暖化防止活動推進員37名を委嘱するとともに栃木県地球温暖化防止活動推進センターとの連携により、環境への負荷の少ない製品・技術の展示等を行う「エコテックとちの環」を開催したり、地球温暖化防止啓発演劇「ちきゅうがおねつだ!」の公演といった各種普及啓発事業を実施しました。
2 栃木県庁環境保全率先実行計画等の推進
県の事業活動における環境への負荷を低減するため、「栃木県庁環境保全率先実行計画」を12年3月に策定しました。
この計画では、電気使用量や水道使用量、廃棄物の排出量などについて具体的な削減目標を掲げ、毎年その推進状況を集計、公表しています。
16年度は、水道使用量、公用車燃料(軽油)使用量、廃棄物の排出量などにおいて削減目標を達成しました。
また、13年度以降、「栃木県グリーン調達推進方針」を毎年策定し、環境物品等の調達の推進について全庁的に取り組んでおり、16年度は常用物品の調達率が初めて100%となりました。
3 新エネルギーの導入促進
県では、新エネルギーの導入促進を図るため、本県の地域特性を踏まえ、県民、事業者、行政が新エネルギーを導入する際の指針となるものとして、13年3月に「栃木県地域新エネルギービジョン」を策定し、太陽光発電やクリーンエネルギー自動車等の率先的導入に取り組んでいます。
16年度は、那須清峰高校など2か所の県有施設に合計で60kwの太陽光発電システムを導入しました。また、前年度に引き続いてハイブリッド自動車を12台導入し、これによりクリーンエネルギー自動車の県有台数は58台になりました。
4 オゾン層保護対策
「フロン回収破壊法」に基づき登録されたフロン類回収業者等により、業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)及びカーエアコン(第二種特定製品)からフロン類の回収が行われています。
本県の16年度末の登録事業者数は、第一種フロン類回収業者が645事業者、第二種特定製品引取業者が2,182事業所、第二種フロン類回収業者が750事業所です。
また、16年度における第一種特定製品に係るフロン類回収量は、27,877kgでした。
