大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とする社会がもたらす環境負荷は、自然の持つ再生能力や浄化能力を超え、自動車排ガスによる大気汚染や生活排水による水質汚濁といった都市生活型の公害から地球温暖化などの地球規模の問題まで、様々な環境問題を引き起こしています。
これらを解決するためには、従来からの公害対策を着実に推進するとともに、私たちのライフスタイルや社会経済システムを見直して、環境への負荷の少ない循環型社会を
構築することが必要です。
県は、社会経済活動のすべての段階を通じて、資源やエネルギーの効率的・循環的な利用を進めるとともに、汚染物質や廃棄物の発生を抑制することにより、自然の物質循環に与える影響の少ない社会づくりを推進していきます。

人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として、二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダント、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン
、ジクロロメタン及びダイオキシン類の10物質について環境基準が定められています。
本県では、浮遊粒子状物質及びベンゼンが一部の測定局で達成されておらず、光化学オキシダントは、すべての測定局で達成されていません。その他の7物質については、すべての測定局で基準が達成されています。
光化学スモッグについては、14年度注意報発令日数は11日で、健康被害の届出はありませんでした
。

酸性雨発生の仕組み

1 大気環境監視事業
二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダント、炭化水素について、県内36カ所の測定局による大気環境情報システムを用いて常時監視を行っています。
2 光化学スモッグ対策
県では光化学スモッグによる被害を未然に防ぐため、光化学スモッグ予報を関係市町村、報道機関、協力工場等に通報するほか、緊急時には注意報などを発令し、県民への周知や工場に対するばい煙排出削減の要請を図っています。
また、14年度には、ホームページ「とちぎの青空」を開設し、情報提供体制を強化しました。
3 有害大気汚染物質モニタリング調査
有害大気汚染物質については、工業団地周辺など県内7地点でモニタリング調査を行っています。
また、ダイオキシン類についても県内17地点でモニタリング調査を行っています。
4 自動車排出ガス対策
天然ガス自動車、ハイブリッド自動車などの低公害車を導入することは、大気汚染の解決のみならず、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出量の削減にも極めて有効です。そのため、県では、奥日光で電気バスやハイブリッドバスを運行するほか、公用車に天然ガス自動車やハイブリッド自動車を導入していくことにしており、
14年度は、ハイブリッド自動車16台を導入しました。
また、自動車の駐停車時におけるエンジン停止を呼びかける「アイドリング・ストップ運動」などの啓発事業も行っています。
5 工場等に対する規制と対策
工場などから排出される有害物質については、「大気汚染防止法」による全国一律の基準に加えて、県の条例でより厳しい基準を定め、規制を行っています。
また、工場などに対して立入検査を実施するほか、ばい煙量等の自主測定及び結果の報告を求めることなどにより、施設の適切な維持管理を図るよう指導しています。
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