栃木の環境-平成15年度版

1 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり
 

6 化学物質対策の推進

化学物質の状況

 現在、私たちは、5万種にのぼるといわれる多種多様な化学物質に囲まれて生活しています。
 これらの物質の中には、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあるため、環境中の化学物質の汚染の状況を調査し、適切な対策を講じる必要があります。

 

化学物質対策

1 ダイオキシン類対策
 ダイオキシン類は、廃棄物の焼却などにより発生するもので、近年、その環境汚染が全国的に問題となっています。
 このため、県は、廃棄物の減量化やリサイクルの推進、焼却施設の統合や施設更新などの施策を講じるとともに、「ダイオキシン類対策特別措置法」の厳格な運用を図り、生活環境の保全に努めています。
 ダイオキシン類を排出する特定施設を設置している工場・事業場に対しては、立入検査を行い指導を行っています。また、県保健環境センターの測定施設 において、ダイオキシン類の行政分析を実施しています。

2 環境ホルモン対策
 内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)は、その働きや健康への影響について、科学的に未解明な部分が多く残されていますが、ヒトや野生生物の生殖機能を阻害するなど、世代を超えた問題を引き起こす 可能性が指摘されています。
 そのため、県は環境ホルモンに関する情報収集に努めるほか、河川水中の環境ホルモン濃度の実態調査を行いましたが、ほとんどが検出限界値未満で、検出 された物質の濃度も、全国の調査結果に比較すると低い値でした。

3 化学物質管理対策
 
11年7月、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化学物質排出把握管理促進法)が公布されました。
 この法律では、354種の化学物質(第一種指定化学物質)を取り扱う事業者が、1年間に環境中へ排出した量及び移動量を行政機関に届け出ることになっています(PRTR制度)。国はそれを集計し、家庭や自動車などからの排出量の推計と合わせて、公表することにしています。
 この制度により、化学物質の適正管理を進めるためには、県民と企業及び行政が、化学物質のリスクについての情報を共有し、理解と信頼関係を築き、効果的にリスク低減を図る「リスクコミュニケーション」を進めることが重要です。県では、化学物質の情報の開示及び「リスクコミュニケーション」のあり方について、検討会を開催することにしています。
 14年度、県内における対象事業者からの第一種指定化学物質の届出は727件で、届出排出量と推計量の合計排出量は、20,524tでした。
 また、合排出量に占める届出排出量は45%で、その内訳は、大気への排出が99%、公共用水域への排出が1%でした。

環境リスク管理とリスクコミュニケーションにおける自治体の役割

発生源別(届出・推計)排出量

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