栃木の環境-平成15年度版

1 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり
 

5 廃棄物・リサイクル対策の推進

循環型社会形成の推進

1 推進体制の整備
 廃棄物による環境への負荷を軽減するためには、廃棄物の発生を抑制するとともに、ものを再使用したり、再生利用していく循環型社会を形成することが重要です。
 国では、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)及びリサイクル(再生利用)のいわゆる3R対策を今後の廃棄物・リサイクル対策の基本として位置付け、「循環型社会形成推進基本法」をはじめ、「家電リサイクル法」、「食品リサイクル法」、「建設リサイクル法」などのリサイクル関連法を整備しました。
 これを受け、県においても循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため「栃木県循環型社会推進本部」を設置し 、14年度は「栃木県分別収集促進計画(第3期計画)」や「栃木県エコスラグ有効利用促進指針」を策定するとともに、各種普及啓発事業を実施しました。

循環型社会のしくみ

2 栃木県循環型社会推進指針の策定
 本県における循環型社会の形成に関する施策を、総合的かつ計画的に推進するため、循環型社会形成の基本原則、役割分担、具体的な政策などを明示した「栃木県循環型社会推進 指針」を14年度に策定しました。
(1)循環型社会のイメージ(4つの循環)
 本県が目指すべき循環型社会の姿を、点(家庭、事業所)・線(地域コミュニティ、市町村)・面(広域、県域)・円(県域外、海外)の4つの循環としてイメージし、それぞれの循環を作り上げていくために県民、事業者、行政が果たすべき役割と取組を示しています。
(2)地域循環モデル
 4つの循環の中でも、地域全体の取組として重要な線循環と面循環の具体的な事業として、地域コミュニティ連携モデル、環境共生型地域循環モデルなどの9つの地域循環モデルを提示しています。
(3)とちの環(わ)県民会議
 
15年度は、県民、民間団体、事業者、行政が連携を図りながら、地球温暖化対策や循環型社会の構築に取り組むため、「とちの環県民会議」の設立を目指しています。

環境共生型地域循環モデル

 焼却処理施設などの廃棄物処理施設やエネルギー供給施設、さらにはリサイクル施設や教育的機能を持つ施設を一体的に整備することにより、環境共生型の地域循環を目指すモデルです。

環境共生型地域循環モデルのイメージ

 

廃棄物・リサイクルの状況

1 一般廃棄物の状況
 一般廃棄物は主に家庭から出されたごみとし尿からなり、ほとんどが市町村などの処理施設で処理されています。
 13年度の本県のごみの排出量は約77万1千tであり、うち約74万1千tが市町村などで処理されています。
 ごみ処理に要した年間の経費は約360億円で、その内、建設・改良費が約149億円、処理・維持管理費が約199億円となっています。
 資源化が可能なごみについては、自治会などによる集団回収が約3万t、市町村などによる直接資源化が約3万9千t、市町村などの清掃工場における資源化が約 7万tと、年間約14万tがリサイクルされています。
 また、し尿(浄化槽汚泥を含む)の排出量は約49万klで、そのほとんどが市町村などで処理され、残りが自家処理されています。

2 産業廃棄物の状況
 産業廃棄物は、農業、建設業、製造業などの事業活動に伴って出される廃棄物であり、排出事業者が適正に処理する責任を負っていますが、一部には不適切な処理の事例も見られます。
 13年度の県内の産業廃棄物の推計総排出量は約729万tであり、種類別にみると動物のふん尿が約300万tで最も多く、次いで汚泥が約249万tとなっています。
 産業廃棄物の最終処分率は、再生利用や減量化が進んでいることから、ほとんどの種類で10%未満となっていますが、廃プラスチック類は26.2%、ガラス・ コンクリート・陶磁器くずは16.5%と高くなっています。
 また、県内における産業廃棄物処理施設の設置数は、中間処理461施設、最終処分48施設となっています。
 

ごみ処理の状況

資源回収の状況


産業廃棄物排出推計割合

 

廃棄物・リサイクル対策

1 一般廃棄物対策
 一般廃棄物の質の多様化と量の増大に対応するためには、ごみの減量化・再生利用を促進するとともに、処理施設の整備促進と維持管理の充実が重要です。
 そのため、クリーンアップフェアなどのイベントやごみ減量化・リサイクル演劇、買い物袋を持参してレジ袋の削減を目指すマイ・バッグ・キャンペーンなどの普及啓発事業を実施しています。
 また、ごみ処理の適正化を推進するために、燃焼管理の徹底や施設改造について市町村等を指導するとともに、「栃木県廃棄物処理計画」 において広域行政圏を基礎とした10の地域ブロックを設定し、ごみ処理の広域化を進めています。

2 産業廃棄物対策
  環境の保全を図り、循環型社会の形成を促進するため、産業廃棄物の適正処理対策や、下水汚泥の資源化、木材の残廃材や建設副産物の再生利用などに取り組んでいます。
(1)産業廃棄物適正処理対策
 廃棄物の排出事業者や処理業者に対し、研修会の開催や事業場などへの立入検査により、再生利用の促進、適正処理の指導・監視を行っています。
 13年度は1,346件の立入検査を実施し、不適正処理等に対しては、許可の取消しや操業停止を含め、厳正に対処しています。
(2)不法投棄対策
 
不法投棄や不適正な処理を防止するため、市町村と協力して不法投棄等の監視体制を整備しています。
 また、不法投棄が多発する夜間・休日の監視パトロールを実施し、不法投棄の未然防止を図っています。
(3)資源化・再利用対策
 
14年に稼働した下水道資源化工場では、県内の流域下水道や公共下水道の終末処理場において発生した下水汚泥から、建設資材となる熔融スラグを製造しています。
 また、木質系資源の分野では、14年度に「栃木県木質資源循環利用推進指針」を策定し、15年度からは主に丸太を製材・加工する過程で発生する残廃材を対象に、再利用や再資源化の方法を検討する地域活動を推進していきます。

ごみの散乱防止と再資源化を進めるためのポスター・標語コンテスト

高等学校の部
★最優秀賞★

福田倫子さん
(宇都宮文星女子高校2年)

主催:関東甲信越静環境美化推進連絡協議会

 
栃木県の一般廃棄物処理にかかる費用(13年度)
処理総費用
211億円
(建設・改良費を除く)
ごみ1トン当たり
27,385円
県民1人当たり
10,512円

 

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