栃木の環境-平成15年度版

3 地球環境の保全に貢献する社会づくり
 

 地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨といった地球環境問題は、人間の社会経済活動が、長年にわたり環境へ負荷を与え続けてきたことにより生じたものです。私たちは、地域における環境保全への取組が、地球環境を守る上で重要な役割を持つことを認識し、地球にやさしい行動を実践していく必要があります。
 県では、地球環境問題の解決に向け、地域からの取組を着実に実施することや国際協力に努めるなどにより、地球環境保全に貢献する社会づくりを進めていきます。

1 地球環境保全対策の推進

 

地球環境問題

  4年(1992年)に世界の首脳レベルが集まり「環境と開発に関する国連会議(地球サミット)」が開催されました。この会議では、「持続可能な発展」を実現するための21世紀に向けた具体的な行動計画として「アジェンダ21」が採択され、以後の地球環境問題への出発点となりました。
 次の9つが典型的な地球環境問題です。
 (1)地球の温暖化
 (2)オゾン層の破壊
 (3)酸性雨
 (4)森林(特に熱帯林)の減少
 (5)野生生物の種(生物多様性)の減少
 (6)砂漠化
 (7)海洋汚染
 (8)有害廃棄物の越境移動
 (9)開発途上国における環境問題

1 地球温暖化
 地球温暖化は人類の生存基盤さえも脅かしかねない問題です。この問題を解決するためには、世界中の人々が協力し、世代を越えて取り組んでいかなければなりません。
 そのため、国際連合は4年に「気候変動枠組条約」を策定し、この条約のもとに9年12月に開かれた「地球温暖化防止京都会議 (COP3:気候変動枠組条約第3回締約国会議)」では、先進各国に対する二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減目標 を定めた「京都議定書」が採択されました。さらに、13年にモロッコのマラケシュで開催された「第7回締約国会議(COP7)」では京都議定書 の詳細なルールが決まりました。14年6月には、「京都議定書」の締結を閣議決定し、国連に受諾書を寄託しました。

2 オゾン層の破壊
 冷蔵庫やエアコンなどに使用されていたフロン類が大気中に放出されると、オゾン層が破壊され、紫外線の量が増加し、人の健康や生態系に被害をもたら すおそれがあります。
 フロン類については、「モントリオール議定書」や「オゾン層保護法」などにより、その生産や輸出入の規制が行われてきましたが、13年6月に、カーエアコンなどの製品中に含まれるフロン類の廃棄時の回収・破壊を規定した「フロン回収破壊法」が制定され、これによりフロン類の大気への放出が禁止されるとともに、適正な回収・破壊が行われることになりました。

地球温暖化の仕組み

 

地球環境保全対策

1 地球温暖化対策
 県の地球温暖化対策を計画的、総合的に推進するため、温室効果ガスの削減目標の設定とそれを達成するための県の施策及び県民、事業者、行政の行動指針を具体的に示した「栃木県地球温暖化対策地域推進計画」を12年3月に策定し、各種対策に取り組んでいるところです。
  14年度は、地球温暖化防止について県民意識を高め、環境に配慮したライフスタイルへの転換を図るため、ラジオキャンペーンを実施したほか、小学校低学年を対象とした「エコキーパーのれんらくちょう」を作成、配布しました。
 また、県自らが活動することによる環境への負荷を低減するための「栃木県庁環境保全率先実行計画」を12年3月に、環境物品等の調達の推進を図るための「栃木県グリーン調達推進方針」を13年7月 以降毎年策定し、全庁的な取組を行っています。

2 エコライフ推進事業
 消費者が消費生活面から地球環境保全を考え、地球環境にやさしいライフスタイルを確立するために、「環境家計簿」を作成し、配布しました。
 また、エコライフネットワーク「とちぎ」や栃木県コミュニティ協会等との共催により、講演会やエコライフ啓発展等を通し啓発を行いました。

3 新エネルギーの導入促進
 県では、新エネルギーの導入促進を図るため、本県の地域特性を踏まえ、県民、事業者、行政が新エネルギーを導入する際の指針となるものとして、13年3月に「栃木県地域新エネルギービジョン」を策定し、太陽光発電やクリーンエネルギー自動車等の率先的導入に取り組んでいるところです。
 14年度は、宇都宮中央女子高校など3か所の県有施設に太陽光発電システムを導入したほか、ハイブリッド自動車を16台導入しました。これにより、クリーンエネルギー自動車等の県有台数は 36台になりました。
 また、子ども総合科学館に風力発電システムを整備しました。

4 オゾン層保護対策
 「フロン回収破壊法」に基づき、業務用冷凍空調機器(第一種特定製品)及びカーエアコン(第二種特定製品)からフロン類を回収するための事業者 の登録が開始されました。栃木県の14年度末の登録事業者数は、第一種フロン回収業者が567事業者、第二種特定製品引取業者が1,376事業所、第二種フロン類回収業者が642事業所です。
 また、14年度における県内の第一種フロン類の回収量は、19,802kgでした。

地球温暖化防止のために私たちはどのように行動したらいいの?

 日常生活や事業活動の中の、ちょっとした工夫でできる行動の積み重ねが、地球温暖化を防止することにつながります。身近でできる温暖化防止行動のポイントは、エネルギーを必要な場所で、必要な時間だけ、最小限度の量だけ使うことです。もう一度、日常の生活や事業活動を見直し、地球温暖化防止に努めましょう。

私たちの行動とそれによる二酸化炭素の削減量

◎これらの行動をすべて行うと、一年間で一世帯当たり9.4%の
 二酸化炭素が削減できます。

〔出典〕「栃木県地球温暖化対策地域推進計画」

 

前の項目へ

11/13

次の項目へ

表紙へ