都市計画法に基づく開発許可基準の改正について
趣旨
人口減少・少子高齢化の進行等による地域活力の低下などの課題に対応するため、 市街化調整区域内の既存建築物(業務用)の利活用を柔軟に認める立地基準の創設など、本県における開発許可基準の改正を行いました。
主な改正内容
地域再生等のための既存建築物の用途変更に係る立地基準の創設
地域再生や既存コミュニティの維持・活性化に資するよう、市街化調整区域の既存建築物(業務用)の利活用を柔軟に認める開発許可基準を創設します。
課題・背景等
- 人口減少・少子高齢化の進行等により、空き家の増加が全国的な課題となる中、市街化調整区域においても、既存宅地の確認制度等で建築された業務用建築物が空き家となっている状況が生じています。
- 適切な管理が行われていない空き家は、防災、衛生、景観等の生活環境への影響が生じる一方、その活用が図られることで、地域再生や既存コミュニティの維持・活性化につながるものと考えられますが、本県においては、市街化調整区域内の建築物の用途変更を認める基準が限定的な状況にあります。
- こうした中、まちづくりの主体となる市町からも、建築物の用途変更に係る弾力的な運用について要望を受けたことを踏まえ、地域再生等の観点から、空き家となった業務用建築物の利活用を推進するため、基準を創設するものです。
基準概要
- 用途変更を行おうとする建築物は、適法に建築された業務用建築物であること。
- 建築後おおむね10年以上が経過したもので、用途変更を行うことについてやむを得ない事由があること。
- 変更後の用途は、地域再生等に資するものであり、かつ、都市計画の観点から支障ないと市町が認めたものであること。(例:地場産業施設、シェアオフィス、宿泊体験施設、地域交流拠点 等)
- 申請区域は、幅員6m以上の道路に接していること。
- 増改築は、原則として行わないこと。ただし、やむを得ない場合は従前の延床面積の1.5倍を上限とする。
適用市町
宇都宮市を除く市町
工場増設に係る許可の迅速化
地域経済の活性化等に資するよう、市街化調整区域内における既存工場の敷地拡張に係る許可手続の迅速化を図るため、栃木県開発許可等審査基準を改正します。
課題・背景等
- 国では、地域経済の活性化等を図るため、産業立地のための土地利用転換の迅速化を進めることとしており、令和5年12月に、都市計画法第34条第7号に基づき既存工場を増設する場合の要件の柔軟化を求める技術的助言が発出されました。
- 一方、県審査基準では、法第34条第7号に係る規定はなく、既存工場の増設(敷地拡張)は、同号の許可対象外として運用してきたところであり、今般の国の要請に応え、同号の許可対象として明確化を図るため、要件を定めるものです。
基準概要
- 予定建築物等の用途は、5年以上の操業実績がある既存工場における事業と密接な関連を有する建築物等であり、これらの事業活動の効率化を図るために必要なものであること。
- 開発区域は、原則として既存工場の隣接地又は近接地であること。ただし、既存工場の増設(敷地拡張)の場合は、隣接地、かつ、既存工場と一体的な土地利用が図られること。
- 敷地の規模は、5ha未満であること。ただし、既存工場の増設(敷地拡張)の場合は、従前の敷地面積の2倍以下、かつ、5ha未満であること。
適用市町
知事が開発許可の権限を有する14市町(矢板市、さくら市、那須烏山市、上三川町、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町、壬生町、野木町、塩谷町、高根沢町、那須町、那珂川町)
排水施設の設置に係る基準の見直し
地形等の状況により放流先の確保が困難な場合等において、開発区域の規模によらず、雨水の浸透施設による排水処理も可能とするため、栃木県開発許可等審査基準を改正します。
課題・背景等
- 本県では、開発区域内の雨水排水について、原則として調整池を設置し、区域外の下水道や公共の水域に排出することを義務づけ、区域の面積が1ha未満の場合に限り、浸透施設による区域内処理を認めてきました。
- このため、放流先の確保ができない場合に土地利用上の制限が生じていたことから、流域治水の観点や浸透施設の技術の進展等も踏まえ、地域の実情に応じた排水処理の推進を図るため、要件を改正するものです。
運用概要
1ha以上の開発行為で浸透施設による排水処理を認める場合の考え方は以下のとおり。
- 地形等の状況により放流先の確保が困難であるなど、浸透施設による排水処理とするやむを得ない理由が認められること。
- 浸透施設による排水処理とすることについて、市町と協議が整っていること。
- 継続的な維持管理が可能な構造であると認められること。
適用市町
知事が開発許可の権限を有する14市町(矢板市、さくら市、那須烏山市、上三川町、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町、壬生町、野木町、塩谷町、高根沢町、那須町、那珂川町)
改正基準
運用開始